就活生がクリアしなくてはいけないのが、面接。大体聞かれることは定番化しており、代表的なのが「学生時代に(一生懸命)やったこと」。もちろん勉強でもアルバイトでもサークルでも良いのですが、数多くの学生に会う面接官は「またか……」と思うことも少なくないんだとか。
そんな面接官への対策として、最近では、奇抜なエピソードを披露する学生も目立つそう。でもそれはそれで、薄いペラッペラの「体験」であることも面接官はお見通し。でも、だったら、面接官は学生から何を聞きたいっていうワケ!?
学生の言葉にありがちなのが、
「お客様から○○を学びました」
「ボランティアをすることで、ひとに喜ばれることの大切さを感じました」
「サークルでリーダーをやっていて、まとめることの難しさを知りました」
「バイトで仲間内にトラブルがあり、自分が中心になって場を収めました」
といったもの。面接対策としては、「自分の経験」と「自分がそこから何を学んだか」をセットにして語ることが基本とされており、上記のような回答は“優等生”です。
でも、それだと他の学生と自分は違うということが面接官に伝わりにくい! 自己PRのためにも、自分ならではのひと際目だったエピソードが欲しい! というわけで、最近は、面接で話すための「ネタ」を作るためにわざわざ旅行に行ったり、珍しいバイトにあえてチャレンジしたりする学生も多いそうです。
PR会社で採用を担当したことがある会社員(42歳)は、こう話します。
「目立ったのは、ブッシュマンに会いに行ったとか、なんとなく行くのが困難そうな地域に行ってきたということを話す学生。自分にとって珍しい体験でも、こちらとしては、正直、遊びやバイトで何をどう学んだり感じたりしようが、あまり興味ありませんね……。もし話が盛り上がったら、それは他に何の魅力もないから、仕方なく雑談をしているだけの可能性も高いです。個人的には、だったら、勉学に打ち込んでいたという学生のほうが好感が持てます」
企業が学生を面接するにあたり、重視するTOP3は「人柄」「その企業への熱意」「今後の可能性」。学生が必死になってアピールする「アルバイト経験」「クラブ・サークル活動」は重要度が低いのです。
だったら、どうして「学生時代、何をやっていましたか?」などという質問をするのでしょうか?
これについての答えは明確です。面接官は学生の「回答内容」よりも、むしろ「答え方」をみているのです。そのエピソードを選んだ理由、そのエピソードとの向き合い方、話し方、等々。
これは面接でなく、例えば友人や異性とのコミュニケーションでも、よくあることです。
「なんかあの人の話し方、引っかかる」「大勢ではいいけど、2人きりで話すのは辛い」など、具体的に何かの質問の答えが気に入る・入らないというよりも、トータルでの話し方をみて、「この人は細かそうだな」「信頼できそうだな」といったことがわかるもの。ましてや百戦錬磨の面接官は、数分話しただけでもおおよその“相性”をつかむことができるのです。
もちろん、学生時代に何もしないよりはしていたほうが良いかもしれません。でも、付け焼き刃で何かをやってもダメ。心底打ち込んでいたとか、熱意をもってやっていたことなら、エピソード自体はよくあるものでも、話し方に説得力があるなど、違いは自ずと生まれるものです。
まとめると、「学生時代、何をやっていましたか?」という質問で学生がみられているのは、「ものごとに対する姿勢」と「これからの可能性」。自分で考え、熱意をもって何かをやっていたなら、会社に入っても仕事に対して一生懸命取り組んでくれそうです。また、「これからの可能性」については、“最低限、これから社会人として生きていくだけの要素があるかどうか”ということ。それは例えば身だしなみやマナー、言葉遣いといった基本的なことです。
自分に際立ったエピソードがない! とか、もっとアルバイトをやっておけば良かった! などと「ネタ」そのものを重視し、焦っているうちは、何を話してもダメかも。学生時代、どう過ごしていたかをとことん見つめなおし、どうして自分はそうやって過ごしてきたのかを、誇りをもって話すことです。