就活ではほとんどの企業で「自己PR」を書く、もしくは面接で話すことになります。そのため就活が始まると、多くの学生が「自分の強みは何だろう」と考えることでしょう。
しかし、その前にちゃんと自己分析を重ねておかないと、自分の長所や短所、適性などを性格に把握できません。面接などでも、スムーズに解答できなくなってしまいます。自信を持って堂々と人に話せるよう、自己PRをまとめ、練習するのは大事なことです。
自分自身をPRするということは、思っている以上に難しいもの。まず多くの場合「自分のどこがアピールポイントになり得るのか」に躓いてしまいます。これまでの学生生活で「自分を他人に売り込む」という経験をしてきたことの無い人も少なくないはずです。履歴書・面接いずれでも「自己PRが何より苦手」という学生は多く見られます。
自己PRでよく使われるのは、次のような言葉です。
「誠実に物事に取り組む性格です。」
「協調性があり他者と力を合わせて目標を達成するために行動できます。」
「コミュニケーション能力に自信があります。」
「粘り強い性格でコツコツ努力できるのが強みです。」
「リーダーシップがあり、一つの目標に向かってみんなを引っ張っていく自信があります。」
しかし他人と同じようなPRでは、相手に対して強く印象づけることは難しいでしょう。特に「粘り強い」というワードを自己PRに含める学生は多く、どうしても画一的な表現や文章になりがちです。そこで、この「粘り強さ」を強みとした場合の具体的な自己PRについて、例文を挙げながらポイントを見ていきましょう。
「私は大学に入ってから今に至るまで、高齢化社会に役立つロボットを研究開発するサークルで活動してきました。個人としてこれまで得た知識だけでなく、チームを組んで高齢者施設や病院などを訪問し、そこで働く人々がどのような点でロボットの助けを必要としているかを調査させて頂くなどの活動も行いました。ロボットを作るには発想力のほかに粘り強さが必要です。さまざまな改良を積み重ね、多角的に安全を考え、その上で働く人の役に立つロボットをチーム一丸となって完成させることができたときには自分が粘り強い性格で本当に良かったと感じました。貴社におきましても、きっとこの粘り強さが役に立つと確信しております。」
ここでのポイントは、自分の粘り強い性格がどのようなことで活かせたのかを具体的に述べている点です。ひたすら“私は粘り強い”と連呼しても、相手は「どんなところが?」と疑問に思うだけ。また、例文のように“粘り強さ”を発揮したことで、どんな結果をもたらすことができたかを盛り込むことも大切です。そうすれば、その自己PRに強い説得力が生まれます。
「私の長所は粘り強さです。それが最も役に立ったのは、認知症に対応するグループホームでアルバイトしていたときです。認知症の高齢者はその特性から、繰り返し同じことを話したり、たった今行ったことを忘れて再び行ったりということがあります。そのようなことから身のまわりのお世話だけでもかなりの根気が必要です。こちらの言うことをなかなか聞いてもらえない時などは「もう辞めようか。」と思ったこともありますが、意思の疎通が上手くいき笑顔を見せてくれた時などは、粘り強く接することができて良かったと心から感じました。この経験を必ず貴社でも活かすことができると思います。」
ポイントは、“粘り強さ”の対象が人間であることです。他者とコミュニケーションを図るには、時として“粘り強さ”も必要となります。企業活動は経済活動ですが、人間同士の関係が無ければ成り立ちません “粘り強さ”が時間的あるいは金銭的、物的成果ではなく、対人関係における長所と感じてもらえるような自己PR。これも、1つの差別化要因となるでしょう。
「私は結果を出すためには“粘り強さ”が不可欠だと思います。得意なことの一つに水泳がありますが、少しでもタイムを縮めるために地道に努力してきました。練習のたびに同じことを繰り返す粘り強さも大切ですが、それに加え、進歩するために色々な角度から研究しコツコツ取り組むことも必要です。例えば、自分の泳ぎのどこに欠点がありそれを克服するためにはどこの筋肉を鍛えればよいか、日々研究し実践することで地域の大会で入賞するという成果を上げることができました。貴社でも粘り強さと研究心を持って成果につながる仕事をしたいと考えています。」
ポイントとなるのは、“粘り強さ”がもたらした結果を具体的に述べていること。その結果が誰にても分かるものであれば、なお良いでしょう。また、「結果が出るまでは途中で投げ出さない」という姿勢を感じてもらうことができます。そこに結果を出すまでの時間が定められて、いれば言うことはありません。なぜなら、企業での仕事は学問とは違い、どれだけ時間をかけても良いというものではないからです。つまり、時間と効率も考慮した上での“粘り強さ”が求められています。
粘り強さは、確かに企業にとっても大きな強みになります。ここでご紹介した例文とポイントを参考にしながら、自分の長所・短所をよく振り返ったうえで自己PRを作ってみてください。