最近、就活でグループディスカッションによる選考を実施する企業が増えています。そもそも、なぜ企業はグループディスカッションを選考過程に入れるのか。あるいは、採用担当者はディスカッション中にどんな点を見ているのかは、気になるところでしょう。さらにその進め方など概要を事前に知っておくことで、慌てずに対応できるようになります。
企業が選考過程にグループディスカッションを取り入れるのは、エントリーシートや面接という通常の選考では分からない、または分かりづらい点を判断するためです。
具体的には、まず他の学生とのコミュニケーションから、最低限のマナーや対学生における感じの悪さなど、減点項目がないかを見ています。そしてディスカッションを通して結論を導くまでの過程からは、次のような点が現れてくるでしょう。
・協調性(チームワークで仕事を進められるか)
・発信力や論理性(自分の考えを堂々と主張できるか)
・与えられた役割を果たすことができるか など
こうした能力は、いずれも組織仕事で必要となる力です。
グループディスカッションは、4~9名程度の人数で行われます。選考の初期段階に実施され、所要時間は一時間未満ということか多いでしょう。まず議論のテーマが提示され、ディスカッション中の姿を1~3名の社員がチェックします。最後に発表役となった人が、グループで議論した内容や結論を発表するのが一般的な流れです。
与えられるテーマは、企業によって大きく異なります。例えば、以下のようなテーマは出題されやすい内容となるでしょう。
・自社サービス/商品に関すること
・企業が求める人物像について考えさせるもの
・就職活動に関するもの
・時事問題や業界のトレンドについて
・現在自社が取り組んでいる問題について
いずれのテーマも、明確な正解があるわけではありません。グループディスカッションでは正解を求めているのではなく、あくまでも議論の中で見える人間性や能力を判断しているのです。
グループディスカッションでは、いくつか注意すべきポイントがあります。次の点をよく理解し、マイナス評価を受けないように気を付けてください。
企業側はディスカッションを通して、まず学生のコミュニケーション能力や協調性を見ています。次のような点は、そのうえで最低限のチェック項目と言えるでしょう。
・人の意見を聞くことができるか
・言葉のキャッチボールができるか
・話す際や聞く際の態度
・様々な個性の人と協調しながら議論を進めることができるか
ディスカッションの会話では、普段からどのようなコミュニケーションを行っているかが現れます。そのため、就活に向けて準備するというより、日常から意識的に友人・家族と交流していくことが大切です。
言葉遣いについては、基本的に敬語を使用します。学生の中には、知らず知らずのうちに誤った敬語表現で会話している人も多いでしょう。これもまた普段の生活から意識し、とっさの状況でも正しい敬語が出るように訓練することが重要です。
テーマや時間制限が決まっているディスカッションでは、いくつかのルールがあります。次のような点に合わせて、適正な議論を進めていきましょう。
・自分の役割を意識する
グループディスカッションは、まず書記や進行役を決めてスタートします。時間制限があるため、必然的に一人あたりの発言時間も決まってくるでしょう。それらを無視して自分だけ多く発言したり、進行役を無視して議論を進めたりすることは、大きな減点対象です。あくまで自分の役割を理解し、意識しながら会話を進めるようにしましょう。
・他人を配慮・支援する
面接官は、発言している人だけに注目しているわけではありません。発言を聞いている態度、あるいは他人の発言に対するフォローなども見ています。自分だけでなく他人への配慮などは、グループディスカッションで重要な観点です。選考のためつい自分のことばかり考えがちですが、自己中心的な言動はマイナス評価となってしまうでしょう。
・タイムマネジメント
グループディスカッションでは、限られた時間の中で得られた結論を上手くまとめる必要があります。議論は無駄なく、論理的に、できるだけ周囲との理解を共有しながら進めましょう。残り時間を意識し、タイムマネジメントすることが大切です。もし自分が進行役になった場合は、特に注意しておきましょう。
就活の選考では、誰もが自分をアピールしたいと考えます。しかしグループディスカッションは、他人に対する気配りも重要であることが分かるでしょう。だからこそ、面接では分からない部分を判断するため、企業はグループディスカッションを実施しているのです。日常でディスカッションの場を設けることは、なかなか難しいかもしれません。その場で慌てないように、友人などと練習の場を作っておくことをおすすめします。