毎年、エントリーシートの添削などでたくさんの学生のみなさんの文章を読む機会があります。せっかく時間をかけて書いた文章の中には「結局何を言いたかったのだろう」と思ってしまうものも正直あります。
プロを目指すという場合は別ですが、文章力は少しのコツで意外と読みやすくなるものです。
今回は、エントリーシートや履歴書に使用できる【少しの工夫で文章力を身に付ける方法】をお伝えします。
▼自由記述欄の書き方で迷っている方はこちら▼
エントリーシートに自由記述欄があったとき、知っておきたい差が付くポイント
<「●●」についてあなたの意見を100字以内で書きなさい>
というお題が出た場合、みなさんはどのように文章を作りますか?
とりあえず書いてみる…!という方は要注意。
おそらく「とりあえず文章を書く」→「書いていたらちょうどよく100字ぐらいになった」→「消すのも面倒だしこれでいいか」という流れなのではないでしょうか。
こうして書かれた「とりあえず文章」は、読み手からすると「結局何が言いたかったのかわからない」というものになりがちです。
文章を書く際に重要なのは、実は「文章を書き始める前」です。
本番の用紙にいきなり書くのではなく、いらないメモ用紙などに「誰に」「何で」「何を伝えたいのか」をまとめておくことをおすすめします。
例:
「人事担当者」に「履歴書」に「自分の強みを書く」
「大学の教授」に「メール」で「卒論の進捗状況を伝える」
「サークルの先輩」に「メール」で「OB訪問が可能かどうか聞く」
この「誰に」によって、適切な文章の丁寧さや、柔らかさなどが変わってきますし、「何を伝えたいのか」によって、書く内容が当然変わってきます。
みなさんがよく利用するLINEやSNSは「誰に」が予めシステムで選択することができ、気軽にコミュニケーションが取れる一方で、普段連絡取らない「誰か」に「何かを伝える」ための文章を書こうとすると、なかなか書けない……という方も多くなっているように思われます。
同じ遅刻したことでも友人であればLINEで「ごめん5分くらい遅れそう!!!」とスタンプで済みがちですが、人事担当者であれば、メールなど文章を書くよりもまず、電話にするべきです。
こうした「誰に」「何で」「何を伝えたいのか」をまとめていくと、文章でないほうがいいということすらあるのです。
そして以上の情報をまとめたあとは、「何が一番言いたいのか」をもう一度振り返り、ずれが生じていないのかを確認します。
冒頭に挙げた<「●●」についてあなたの意見を100字以内で書きなさい>といった課題の場合、よくありがちなのは「●●」の説明で終わってしまうこと。肝心の「あなたの意見」が入っていない場合、こうした課題で高評価を得ることは難しいです。
就職活動の定番である「あなたの強みを100字以内で書いてください」という設問で、ありがちなのは強みの根拠となるエピソードで終わってしまうこと。エピソードだけでは読み手のあなたへの印象は「そんな経験をしたのね」で、とどまってしまいます。「●●のエピソード」から本題である、「○○という強み」を身に付けられた、というふうにしなければ、企業が求める答えとは言えません。
文章を書き終わった後は必ず、自分自身で文章を読み返してくださいね。
できあがった文章を読んでみても、なぜか「いまいち」「わかりづらい…」になってしまう方には以下のような原因が考えられます。
1.文章自体が長い
…1文がかなり長文であることが原因です。「~して、~して、さらに…」といった句点でつなげられた文章は読みづらさにつながります。文章は長さではなく、読みやすさを意識して作成してみましょう。
2.文章全体が長い印象を与えている
…1文1文はそこまで長くないのに、文章全体を読むとなぜか長く感じてしまう文章の原因は、ずばり「同じことを繰り返している」「なかなか本題にいかない」ということです。
問いに対して、答えをなかなか出さず、前置きや前提が長すぎるために、読んだ後、いまいちよくわからない文章になっていると考えられます。「課題に答えられているのか」「一番伝えたいことが書けているのか」を意識することが大事です。
3.主語と述語があっていない
…主語と述語があっていないと「結局何がどうなったんだ?」という文章になりがちです。
こうしたことが起きる原因は1.につながるのですが、長文、複雑な文章になっているからです。文章を考える場合は「誰が」「何をする/した」ということをシンプルにまとめ、それを伝えることに注力して意識をしていきましょう。
4.曖昧な言葉/きれいな言葉が多く具体性がない
…「さまざまな/いろいろな/多くの経験が学ぶことができた」と言った文章を書いていませんか?確かに文章としてはきれいなのですが、こうしたあいまいな表現は、具体性がなく、特に就職活動など「個」をPRする機会の場合、適した文章とは言えません。企業としては「あなた自身が独自で持っていること」を聞きたいのですから、「さまざまな」「いろいろな」といった言葉で返されてしまうと「具体的には?」と思ってしまいます。全く使ってはいけないということではありませんが、多く使うことは控えましょう。
5.漢字が多すぎる/少なすぎる
読み手にとっては文章内の「漢字は硬く、ひらがなはやわからい」印象を与えます。
例えば「ぜひごこうにゅうください」という文章を「是非御購入下さい」と「ぜひご購入ください」では、やや印象が違うはずです。さらに漢字が続くと、読みづらさにもつながりますので、「ぜひ(是非)」などの副詞や「~いただく(頂く)」「~しにいく(しに行く)」補足的に使用する動詞は、ひらがなにするなど、工夫してバランスを取るようにしましょう。
□主語と述語があっているか
□誤字脱字がないか
□サービス名、社名に間違いがないか(英語やカタカナなどは要注意)
…漢字はもちろん、英単語のスペル間違い、企業名の間違いなどには気を付けましょう。
□句読点が適切に利用されているか(”、”が多すぎないか、少なすぎないか)
□あいまいな表現を多用していないか
□設問に対してきちんと答えられているのか
…書き終わったことに満足をして、企業が求めている設問に答えられていないということはありませんか?
□事実が書かれているか
…みなさん自身のことはもちろん、「本当にそのサービスはその企業が行っていることなのか」なども確認してみましょう。意外と、同業他社が行っていることをそのまま書いてしまう学生さんが見受けられます。
いかがでしたか。ちょっとしたポイントで文章の印象は大きく変わります。今回の記事のポイントを利用して「読みやすくわかりやすい文章」を書けるようJOBRASSの就活プロフィールの自己PR欄などを利用して、練習をしてみましょう。