企業の選考を受ける際、エントリーシートに自由記述欄(スペース)があるとどのように書けばよいか迷ってしまいますよね。
また、内容が決まっていたとしても、少しの工夫で周りの学生と差をつけることができます。今回は、エントリーシートの自由記述欄を作成する工夫をお伝えします。
自由記述欄が通常の設問と異なる点は、言葉通り表現方法も内容も「自由」だということです。通常の履歴書やエントリーシートの設問は、罫線が引かれているため、文字で表現すること、与えられた行数に納めること、という暗黙のルールがあります。しかし、自由記述欄の場合、そのルールは無くなり、文章だけではなくイラストや写真で表現することもでき、極論文字を入れないということも可能なのです。
自由に表現できるからこそ、この自由記述式は企業にとって「学生の本質(考えていること)がわかる」「表現能力が把握できる」「読みやすいことが多い」というメリットがあります。人気業界の食品・飲料・自動車などメーカー、商社、マスコミ、航空業界で課せられることが多い設問スタイルです。これらの業界に興味のある人、人気・有名企業を受けようとしている人は必ず対策をしておきましょう。
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エントリーシートの自由記述欄には企業ごとにさまざまな設問が課せられます。ただし、いくつかに分類することができるのでそのパターンを今のうちに知っておきましょう。
A.みなさんのこと(自己PR、エピソード)
…「自分が成長したと感じること」や「周囲に影響を与えたこと」「感動したこと」などエピソードを軸に設問が出されることが多く、エピソードから、自己PRにつなげていくというパターンが多いように思います。
B.会社のこと(商品企画)
…「●●を使って新サービスを企画」など、「業界研究」「企業研究」、「発想力」などをみることができる企画系の設問です。食品・飲料メーカーなど、誰でも知っている商品を持っている企業は、それらを使い、新サービスの企画をするように課せられます。また「若年層」「高齢者」「10代女子」「海外」に向けてなどある程度、ターゲットを絞った企画を求められることも多くあります。
これらをふまえていくと、自由記述欄を作成するには次の2つのポイントを意識する必要があります。
1)企業担当者への見せ方…企業の担当者が読んだときに、どのような印象を持つのか、持たせたいのか…などをふまえて書いていきましょう。
2)考え方…設問に対して、どのように考え、調べたのかといった中身・質を高めていきましょう。
そして最も大事なのはこの2点のバランスを取ることです。どちらかに労力や時間をかけすぎると、いざ読んだときに残念ながらみなさんの思いが十分に伝わっていない可能性がありますし、どちらかが不足していると、読んだときに物足りなさや惜しい印象を与えてしまいます。
アイデアは立派なのになんとなく読みづらい、見た目は色付けもしてあり読みやすいが、中身が伴っていない……といったことはままあることです。
「人は第一印象が大事」とは就職活動でも言われることですが、ESや履歴書でも同じこと。字が汚かったり、色が薄くて読みづらいといった印象を一度与えてしまうと、どれだけ中身が素晴らしくても、マイナススタートになってしまいます。特に自由記述欄は、何千、何万のエントリーがある企業が行うケースが多く、「第一印象が悪い」のを挽回するのは難しくなってしまいます。
書類の第一印象が悪いということは「読み手(相手)のことを考えて行動できていない」という評価になることが多いのですが、だからといって字の綺麗さについては有段者であるなど、特別な綺麗さは正直求めていません。(綺麗に越したことはないのですが)「丁寧」であるか、の方が大切かもしれません。不思議なもので、何百枚、何千枚のESを見ていると、「この学生は急いで書いたな」「あまり考えて書いてないな」などがパッと見ただけでわかるようになります。
また、案外やりがちな「色の多用」。見やすいだろうな、と思ってさまざまな色を使う方も多いのですが、逆に見えづらくなることもあります。みなさんも参考書や教科書で蛍光ペンを引きすぎて何が大切なのかわからなくなった、という経験があるかと思いますが、その感覚は担当者も同じ。色などES内の演出が多すぎると、「結局何が大切なのか」「何を一番伝えたいのか」わからなくなってしまうのです。一度作ったら周りの人にみてもらい、フィードバックをもらうのもよいでしょう。
次に考えていきたいのは「考え方」。先に書いたようにいくら字が綺麗で、イラストもあって、写真があって見え方が綺麗であったとしても、内容が薄ければ担当者としてはがっかりしてしまいます。先程「自己PR」と「企画」が設問として多いとお伝えしましたが、まさしく「考え」が必要で、それをまとめるには「時間」が必要です。前提として、企業のESが開示されたらすぐに確認をし、準備にとりかかるようにしましょう。
「自己PR」の場合、気を付けておきたいのは「結局何を伝えたいのか」を絞ること。自由記述欄は文字の大きささえ変えてしまえば、意外と多く文章を書くことができるので、とにかくたくさんのアピールをしたり、文章をとにかく長く書いてみたり……意見がまとまっていないようなものも見受けられます。しっかりと深堀をし、一つのエピソードから、「エピソードの登場人物」「エピソードの起承転結」を明確にし、自己PRにつなげていきましょう。
詳しくはこちら
>元採用担当者が語る自己PRが自由記述式だったときの考え方と参考例
https://agent.jobrass.com/magazine/measure/11935/
そして「企画」の設問の場合、必要なのはまず「業界研究」と「企業研究」です。業界・企業のビジネスモデル、既存のビジネスなどを調べ、課題点・改善できそうな点を抽出し、自分のアイデアを加え書いていく作業が重要です。
こうしたアイデアを出すことを苦手とされる方も多いので、今回は参考までに筆者のアイデアを出す方法をお伝えします。
>企業の改善点や印象を書き出す場合
・ESを出す企業・業界に対して「自分が消費者だったときに感じたこと」をとにかく書き出してみる
L思いつかなかったら実際にサービスが行われている現場に行ったり、商品を買ったりなど消費者になる
L友人・家族などの意見も聞くとなおよし
・インターネットの意見なども見てみる
>「10代の女子に受ける商品を考えなさい」などターゲットを限定されて企画をする場合
1.ESを出す企業・業界に関わらず「そのターゲットに受けている商品・サービス」をいくつか挙げ、その「共通項」をみつける
L 難しくなく「かわいいもの」「ピンクのものかな」「500円以下」「instagram発信で売れてるんだな」などでOK
2.ESを出す企業・業界で「すでに10代に向けて行っていること」を挙げてみる
3.ESを出す企業・業界で「10代対象ではないけれど、少しアレンジすると1.で挙げた共通項につながりそう」
といったように「ESを提出する企業・業界内」の取り組みと、「それ以外の企業・業界」の取り組みを上手く組み合わせていくことで、新たな発想としてアイデアが生まれる可能性があります。ぜひ参考にしてみてください。
自由記述欄を書き終えた段階で、最後に確認しておきたいポイントをあげておきます。
□設問に対してきちんと答えられているのか
…書き終わったことに満足をして、企業が求めている設問に答えられていないということはありませんか?
□あいまいな表現を多用していないか
…「たくさんの」「さまざまな」「夢・希望」「将来性」など、あいまいな表現や概念を多用してしまうことは、一見まとまっているように見えますが、具体性が無く、中身が薄い印象を与えてしまいます。
□漢字・語句の用法が間違っていないか
…漢字はもちろん、英単語のスペル間違い、企業名の間違いなどには気を付けましょう。
□事実が書かれているか
…みなさん自身のことはもちろん、「本当にそのサービスはその企業が行っていることなのか」なども確認してみましょう。意外と、同業他社が行っていることをそのまま書いてしまう学生さんが見受けられます。
□ただの自慢になっていないか
…自己PRでは、みなさんの凄さを語っていただいてもちろん構わないのですが、「入社したら●●として貢献します」「だから○○に入社したい」といった企業への志望動機などにつなげていくとさらによいでしょう。
自由記述欄はかなり手間がかかる項目ですが、しっかりと行うことで、考えの整理や自己分析にもつながります。早目に作成して、ぜひ友人・先輩・キャリアセンターの職員・OBOGなどに確認をしてもらいましょう。たくさんの意見をもらうことでよりよいESを完成させることができますよ。