毎年、就活生のあいだで必ずと言っていいほど議論になる「『私服で来てください』問題」。説明会や面接などで事前に企業側から「当日は私服でお越しください」などというアナウンスがされると、「本当に私服で行くべきなのか」と就活生が迷うのが毎年の定番だ。
無難にスーツで行く人もいるようだが、「あえて私服で来るように指定する背景には、何かが隠されているのではないか」と疑心暗鬼になってしまってもおかしくない。そこで今回、実際に面接に「私服で来るように」と指定をしたことがある企業の採用担当者に、その理由・意図を聞いてみた。
「私服のセンスの良さや面接という場で、どんな格好をするのか見たくて」
「ファッション感度を見るためですが、ほとんどの方が無難な着こなしをしてきます」
「社会人としての私服をどのように考えているのか。またなぜその服装を選んだのか理由を聞くため」
面接官のなかには私服でセンスを図っているという声もあった。また、その場に適した服装を選べるか、言い換えれば空気を読んで適切な行動がとれるかという部分も評価されているのかもしれない。いくら若者に人気のおしゃれコーディネートをしても、おそらく面接官は30代以上の人が多いため、理解されないこともあると思う。そう考えるとやはり、万人受けするような無難な着こなしを選ぶべきだ。
「少しでも普段の生活スタイルがわかるような要素を面接に取り入れたいから」
「私生活に近い雰囲気のなかで、本質的な考えを見たい」
「スーツではなかなかありのままが見えないので」
スーツを着てしまうと、なんだか全員同じ殻に囲まれているような感覚を抱く採用担当者もいるらしく、なるべく普段の生活を読みとれるような要素を増やしていきたいという考えから、私服で来てほしいとアナウンスするようだ。
「遠くから来る人は大変だろうと思っただけで、特にこだわりはない」
「できるだけリラックスした雰囲気で臨んでほしいから。とは言ってもほぼ全員スーツで来るので気にしていない」
「楽な格好で来たい人もいるだろうから言っただけであまり意味はない」
ただ純粋に遠くから来る人のための配慮や、「リラックスしてほしい」、「ちょっとでも楽にしてほしい」という心遣いからという回答もいくつか見られた。遠方から来る人は素直に甘えても問題はなさそうだ。
企業の採用担当者からの意見では、センスの良さを見たいとの声もあったが、これは「ファッションセンスが優れているか」よりも「対人センス(空気が読めるかどうか)」を試していることが多いので、私服で行く場合でも攻めすぎずに無難な服装でまとめるべきだろう。なかには「私服と事前に知らせても、しっかりスーツでくるかどうかを見ている」という意見もあったので、アパレル業界などの特殊な場合を除き、迷ったらスーツを選んだ方がよさそうだ。それでマイナス評価になることは、ほぼないだろう。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース2016調べ(インターネット調査)
調査期間:2014年12月24日(水)~2015年1月5日(月)
対象:企業の採用担当者207名のなかで面接に私服で来るようにと指定をしたことがある人29名