今回は2名のキャリアコンサルタントの方に「メールと電話」の敬語マナーについて解説していただきます。
まずは、毎年200名以上の大学生を大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定させているキャリアコンサルタント井上真里さんから、メールにおける敬語のマナーを解説していただきます。
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・意外と知らないメールマナー
・電話応対で押さえておきたいポイント
・最低限覚えたい敬語表現
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就活で電話と同じくらいよく使うようになるのが、メールです。携帯電話でのメールコミュニケーションに慣れているからこそ「ケータイの常識が非常識」になってしまうことが、実はたくさんあります。私も採用担当をしていて様々なメールをやりとりする中で「やれやれ……」と思ったこともありますが、逆に「キチンとしているなあ」と印象がよくなったメールもたくさんありました。
知っていればできることを、知らないままでいるのはもったいない! 今やビジネスに必須のメール。マナーについてもこの機会に知って、どんどん就職活動で使っていきましょう。
就職活動を始めるときは、メインで使うメールアドレスを決めましょう。学校などで提供されるメールアドレス(@xx.ac.jp)でも、自宅のメールでも、Yahoo!、Gmailなどのフリーのアドレスでも、何でも構いません。ちなみに私の就職活動では、Yahoo!のフリーメールアドレスを使っていました。
ポイントは、外出先でもすぐに確認できるかどうかで決めることをおススメします。就職活動が本格化してくると、面接の案内なども頻繁に送られてきますし、中には、複数の面接日程から希望の面接日を先着順で選べるものなど、すぐに確認できる方が便利です。
フリーメールのアドレスだから、印象が悪くなるといったことも全くありませんので、利便性で選んでください。ただし、フリーメールのアドレスの設定(@より前の部分)は慎重に!
履歴書に書かれたメールアドレスを見て「これ、どんな意味?」と役員面接で聞かれる学生さんを、私は見たことがあります。もちろん、それをきっかけにアピールができるかもしれませんので、聞かれても恥ずかしくないようにはしておきましょう。
気を付けたいのは、迷惑メールボックスに企業からのメールが振り分けられてしまうこと。企業からのメールは応募者に一斉送信されることも多いので、迷惑メールフィルタに引っかかりやすいのです。重要なお知らせを逃さないように、定期的に確認するようにした方がいいですよ。
私が人事をしているときから、たくさん見てきた就活生のメールを元に、やってしまいがちなメールのマナー違反をご紹介します。友達とやりとりするプライベートのメールと違い、就職活動では相手に対して、しっかり配慮することが大切です。自分のメールに心当たりがないか、確認してみましょう。
1. 唐突に要件から始まる
携帯電話のメールやLINEなどのショートメッセージと同じように、自分が誰かを名乗ったりすることなく要件だけのメッセージを送る人がいます。「誰?」ということもしばしば。
ビジネスのメールでは、宛名から書きはじめて名乗ってから要件を伝えるのが基本のマナーです。つまり、誰に(宛名)・誰が(名乗り)・何を伝える(要件)という順番ですね。宛名はこのように書きます。
※宛名がわかっている時
株式会社○○
○○部 ○○様
※宛名が不明な時
株式会社○○
採用ご担当者様
そのあとに自分が誰か名乗ります。
例)
株式会社○○
採用ご担当者様
先日は面接ありがとうございました。
○○大学○○学部 ○○ ○○です。
2. 誤字脱字だらけ
ある著名な方が、誤字脱字が多い人は心が乱れている……と書いていました。慌てていると、誤字脱字がでてしまいますので、メールを送信する前に確認は必須です。大切なメールは誤字脱字がないか、声に出してざっと読み上げてみるくらいがいいでしょう。読み上げてみると、読みにくい部分がわかるので修正できます。
また、確認する時には「社名や部署名」「名前」「数字」を間違えやすいので、もう一度あらためて確認します。
社名は、○○株式会社や株式会社○○と略さずに書きます。「株式会社」が前についているか後ろについているかは企業によって違います。間違うことは失礼にあたりますので、ホームページやパンフレットで確認しましょう。
名前は、送る側にはもっとも気づきにくく、受け取る側が最も気づきやすい、また気になるポイントです。過去のメールや、名刺で見直しましょう。
訪問日時に関するメールは、数字が重要ですね。必ず月日、時間、曜日に誤りがないか確認します。
3. 文章が長くて読みにくい
間違いということではありませんが、メールの文章の長さにはセンスが問われます。あなたも、LINEやFacebookでちょっとしたことをものすごい長文で送られてくるとゲンナリしませんか? 長いのに読みにくいともう最悪です。メールは受け取る側の読みやすさに配慮して、送信前に「一文」「一行」「1段落」の量を確認してください。
まず、一文が長くなりすぎていないか確認します。長い文章は、意味不明な文章のモトになります。ダラダラ文章が続かないよう、「。」で区切るようにしましょう。次に、一行は30文字以内を目安に、言葉の意味が途切れないところで改行します。適切に改行しないと、ただ長くなるだけではなく受け取り側のメールソフトで「自動改行」が行われてしまい、意味の通らないところで、文章が切れてしまうことがあります。
最後に、1段落。メールは、チャットではありませんので、用件を端的に伝えます。1段落で伝える内容も、多くて3~5行を目安にします。この構成を守るだけで、同じ内容でも読みやすさが全く変わってしまいます。
4. メールの件名が「無題」
件名がないと、見落とされたり、迷惑メールに勘違いされたりするかもしれません。件名を読めば、「何について書かれたメールか」がわかるように書きましょう。
例)【御礼】本日の二次面接について
相手からのメールに返信する場合、件名を変える必要はありません。これはひとつの理由として、相手が件名を見て何のメールに対する返信なのか、すぐにわかるようにしています。
例)Re:【○○株式会社】会社説明会のご案内
5. 返信にも関わらず、これまでのやりとりを消してしまう
件名と同じように、相手のメールに返信する場合はこれまでのやりとりは下に残しておきます。相手が返信内容について、これまでのお互いのやりとりをすぐに確認することができるようにするためです。
6. 添付ファイル忘れ
添付ファイル忘れはありがちです。応募書類や課題をメールで送るときは過不足なく送るようにしましょう。送信する前に添付ファイルが漏れていないか確認します。
7. 絵文字や記号をたくさん使う
友達とのメールではスタンプや顔文字をたくさん使っている人も、就職活動のビジネスメールは、基本的には句読点のみを使うようにします。また、半角カナや①などの丸付き数字も文字化けしやすいので使わないのがマナーです。
送信前にちょっと確認の時間をとることで、相手に読みやすいメールになります。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、急がず慌てず確認する習慣をとって、慣れていきましょう。
私は、本人と直接お会いする前にメールをやりとりすることも多いのですが、メールのやりとりでその人の性格が透けて見えてしまうことがあります。あなたがメールで好印象を持たれるための対応マナーについてお伝えします。
1. 読んだらすぐ対応、原則24時間以内に返す
メールは、相手からするとちゃんと届いて、読んだかどうかわからないとろが弱点でもあります。そこで、相手からメールをもらったら、読んだということがわかるように1日以内に返信するのが望ましいです。就職活動では、毎日1度はメールをチェックしたいですね。いつもマイペースな人は意識して返信スピードを上げましょう。
メールでの依頼事項や、最終の日程確認が届いた場合は心の中で「わかりました」と思っているだけではなく、内容を確認したという旨を必ず返信しましょう。
例)「内容について、確認いたしました。よろしくお願いいたします。」
すぐに回答ができない内容の場合も、必ず1度返信します。
例)「お待たせして申し訳ありませんが、○日までには改めてご連絡いたします。」
2. 急ぎの用件は、メールで送らない
前日遅い時間や、当日の予定変更や緊急の連絡にはメールを使いません。相手がメールを確認できる状態にあるとは限らないからです。話しづらい内容でも、責任を持って電話をしましょう。
実際には、わたしも学生時代に知らないことが多かったくらい……今となっては反省していることもたくさんあります。シンプルなことでも、実際には出来ていない人の方が多いんです。だからこそ、今挙げたような基本がしっかり守られているだけでも相手に好印象を与えることができますよ。
マナーや対応のポイントを理解したところで、どんな目的でもおよそ共通に使える基本の構成についておさえておきましょう。
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1. 宛名
○○株式会社/株式会社○○
○○部
○○様
※部署がわからない場合は省略、担当者名がわからない場合は「採用ご担当者様」などと書きます。
2. あいさつと名乗り
A)初めての場合
突然のメール、大変失礼いたします。/はじめまして。○○大学○○と申します。
B)過去にやりとりや、面識がある場合
こんにちは。○○大学○○です。
注)通常ビジネスでは、社外宛に「お世話になっております」社内宛に「お疲れ様です」と挨拶ことばを入れますが就職活動ではそぐわない表現なので、使用しなくてもかまいません。
3. 用件の主旨を簡単に書く
この度、○○についてお伺いしたく、ご連絡いたしました。/面接日程の希望日について、ご連絡いたしました。など
4. 用件の詳細を書く
…………
※メールは、相手が聞き返せない状況でもありますので、込み入った内容の連絡には不向きです。5行程度で収まるように、わかりやすく・端的に書きます。内容によっては箇条書きを使うと、読みやすくなります。
5. 依頼内容(このメールを読んだ相手にしてほしいこと)
お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信いただけると幸いです。/お手数ですが、ご確認のほどお願いいたします。など
6. 結びのことば
以上、よろしくお願いいたします。/今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
7. 署名
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学校名 学部 学科 ○年
名前
電話番号
メールアドレス など
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状況に応じて柔軟に変更してかまいませんが、メールになれていない時はこのひな形を参考に書くと整ったメールになります。新しく作成したメールの場合、タイトルを忘れていないか送信前に確認しましょう。
就活でよく使う例文は、テンプレートとして保存しておくと便利です。いろいろご紹介していきますね。
1. 選考日程の調整メール(例:こちらから、日程候補を連絡する場合)
○○株式会社
○○部 ●●様
○○大学○○学部 ○○ ○○です。
この度は、面接のご案内をいただきありがとうございます。
面接日程の希望についてご連絡いたします。
下記の日程で、貴社にお伺いすることが可能です。
・1月14日(月)10:00~16:00
・1月16日(水)15:00以降
面接日程のご連絡をお待ちしております。
↓何かメッセージを追加したい場合
前回の説明会では、社員の方の声を実際にお聞きすることができて希望する企画職への興味が更に高まりました。面接への参加が楽しみです。
以上、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
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●●大学○○学部○○学科3年
○○ ○○
Tel:090-0000-0000
E-mail:xxxx@gmail.com
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2. OB訪問の日程調整メール(例:先方から日程の候補をもらえた場合)
○○株式会社
△△部 □□様
○○大学○○学部の●●●●です。
お忙しい所、早速のご連絡ありがとうございました。
それでは、下記の日程で[お伺いします/お伺いしてもよろしいでしょうか]。
日時:X月X日(X)XX:00
お待ち合わせ場所:○○駅○○口
私の連絡先は下記の通りになります。
ご予定の変更等ございましたら、ご連絡ください。
氏 名 XXX-XXXX-XXXX
この度は、本当にお忙しい所ありがとうございます。
○○様にお話をお伺いできることを楽しみにしています。
当日は、どうぞよろしくお願いいたします。
――――――――――――――――――――
●●大学○○学部○○学科3年
○○ ○○
Tel:090-0000-0000
E-mail:xxxx@gmail.com
――――――――――――――――――――
メールは性格があらわれます。読む人への配慮を忘れずに、それでいて簡潔に伝わるメールを心がけましょう。
続いて、延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じてきたキャリアコンサルタント佐藤大さんから、電話における敬語のマナーを解説いただきます。
結論から言えば、電話応対は「人物評価に影響する」と思っておいた方が良いといます。お互いにほんの数分のやりとりではあるし、相手が目の前にいないという状況のため、知らずのうちに気が緩むケースもあるかも知れません。また、面接などの重要なシーンと比べてつい軽視してしまう方もいるからこそ、応対の良し悪しがハッキリ出やすく、たった数分でプラスの印象を与える人と、逆にマイナスな印象を持たれてしまう人がいる事を認識しておきましょう。
誰もが意識的に対策をしてきている面接では「意識して対策をしてきた◯◯さん」(もっと言えば)「つくられた◯◯さん」として人事から見られている場合もあります。しかし、電話応対については意識が行き届いていない事も多く、結果的に「素の◯◯さん」を垣間見る事も多いのです。
面接とは違い、「すき間」のシーンであってもしっかりとしたコミュニケーションを取れる人は、相対的に良い印象を持たれて評価が上がるケースもあります。また逆も然りで「おや?」と思われてしまう方の場合は、評価にまで影響する場合があるので注意しましょう。
マナーに対する価値観や着眼点は個人差があるので、様々な方に出会う事を想定して、できるだけ普段から慣れておく必要があります。
・明確、簡潔な会話を心がける
電話をこちらからかける際も、またはかけていただく際も、先方は自分のために時間を割いてくれている、という意識が大切です。「いつでも気軽に電話をかけてきて良いですよ」と仮に言われたとしても、ご好意で言ってくれていると受け止め、緊張感を持って簡潔で分かりやすい伝達を心がけましょう。具体的には、結論から先に伝える事。また、誰が? いつ? どこで? 何をする? という事柄を、明確に伝える事を意識しておきましょう。慣れない人は、電話をする前に、どんな目的で電話をしようとしているのか、何を質問したいのかを一旦整理してから電話をすると良いと思います。
・メモ用紙、ペン、手帳はすぐに取り出せる状態にしておく
電話の特徴は、メールや手紙とは違い記録性が無い事です。ですから、それを補うためにメモを取る事は重要です。友人や家族との会話とは違い、社会人の方を相手に「もう一度教えてください」という依頼は極力無いようにしたいです。会話中、どのタイミングで大事な事柄が出てきても良いようにメモの準備は常にしておいてください。また会話の中で日程確認や時間についての相談も頻出します。スケジュールを確認できる手帳も同様に準備しましょう。くれぐれも「少々お待ち下さい(ゴソゴソとメモを用意する)」という事がないようにしたいです。また日時や電話番号などのような大事な事は、必ず復唱をして、行き違いがないように努めましょう。
・周囲の状況に気を配る
電話機のマイクは思っているよりも集音してしまうので、仮に少し騒がしいかなと思う程度の場所で話していたとしても、電話の相手は予想以上に騒がしく聞こえている事があります。繁華街のガヤガヤとした騒音、お店のBGM、自宅であれば、テレビの音声、家族の会話などが聞こえてしまう場合があります。大事な話をする状況なのに、このような環境で気にせずに会話をしてしまうというのは「配慮ができない人なのかな?」と思われてしまうでしょう。企業の担当者との電話応対は、静かな場所に自ら移動して、相手が聞きづらかったり不快にならないように配慮しましょう。
また、「ながら電話」は大変失礼なので厳禁です。パソコンのキーボードを打つ音や、物を動かす音、飲み物を飲む音などは予想以上にマイクが拾っていたりします。企業の方と電話をしている最中は、相手への敬意も込めて、会話に集中しましょう。
・相手の都合に合わせた時間や曜日を意識する
企業の担当者に電話をかける際に、適した時間帯は基本的には10時から16時までと認識しておきましょう。また、お昼休みの12時〜13時の間も避けましょう。月曜日の午前中は多忙なケースも多いため、これも避けた方が良いです。どうしてもその時間にかけなければならない場合は「お忙しい時間にお電話をしてしまい大変申し訳ございません。今お時間は大丈夫でしょうか?」などと、一言配慮の言葉を添えるようにしましょう。
・自分から名前を名乗る
自分から連絡する際は(当然ですが)学校名とフルネームを自分から先に伝えましょう。人事の担当者は膨大な数の学生を相手にしていますので、「先日のセミナーに出席しました〜」など、担当者が記憶を辿りやすいように伝える事も良いと思います。また何の用事で電話をしたのかを伝える事も大切です。「◯月の会社説明会の開催日時について質問があり、ご連絡させていただきました」など、具体的に伝えましょう。
・姿勢や表情も大事
「声のハリ」を意識する事は、地味ですが実はとても大事な事です。そして声のハリを左右するのは体の姿勢であったり、笑顔などの表情である事も覚えておいて下さい。相手から見えないからと言って、だらしない姿勢で話をしたり、疲れた表情のまま話すだけでも、不思議な事に相手には伝わります。ましてや普段から沢山の人と会う機会の多い社会人の方が相手であれば、すぐに見抜かれてしまいます。
・自分都合ではなく、相手都合で話を進める
企業の方と話す中で、こちらから日程の打診をしたり、何かのお願いをするケースもあるかと思います。そんな時は要望が明確であったとしても「です、ます」と言い切る事は一方的な印象を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。そんな際は、語尾を「?」に変えて疑問形にする事で、相手にも判断の余地を譲るような表現に変える事ができます。
例えば、
・「説明会に参加したいと思います。」ではなく「説明会に参加する事は可能でしょうか?」
・「◯日の◯時にお伺いします。」ではなく「◯日の◯時にお伺いしてもよろしいでしょうか?」
というように変化させましょう。
・相手より先に電話を切るのはNG。
これも基本中の基本なのですが意外に出来ていない人も多いです。実は私自身がまさにこのマナーを知らず、バンバンと先に切っていました。(今思い出すとゾッとします。)電話を切る際は会話が終了して、一呼吸おいて(私の場合はゆっくり3秒待ちます)、相手が電話を切った事を確認してから切るようにしましょう。
・折り返し電話は最速で行いましょう。
企業から電話がかかってきても、授業、アルバイト、友人とのランチなどで出られない事もあります。もし企業からの不在着信に気付いたら一目散に折り返しをしましよう。人事担当は折り返しを待ってから、次のスケジュールを組もうとしている事が多いため、早い折り返しは好印象にも繋がります。多忙で、仮に数分しか話せないとしても、まずは折り返す事そのものが重要です。
仮にマナー本などに載っている敬語を片っ端から丸暗記しても、流暢に敬語を織り交ぜながら話す事はできません。英単語をどんなに覚えても英語が話せないのと同じです。少しでも早く慣れるために、緊張感のある相手とできるだけ多く話す機会を作りましょう。
・最低限覚えたい敬語表現(普通→尊敬語→謙譲語)
「話す・言う」→おっしゃる→申し上げる
「する」→なさる→致します
「見る」→ご覧になる→拝見する
「行く」→いらっしゃる→うかがう、参る
「聞く」→お聞きになる→承る、伺う
「訪ねる」→お訪ねになる→うかがう
「知る」→ご存知→存ずる
「会う」→お会いになる→お目にかかる
「帰る」→お帰りになる→帰ります
「外出する」→お出かけになる→外出致します
「始める」→お始めになる→始めます
「待つ」→お待ちになる→待たせていただく
・頻出する電話時の表現(普段の話し方→電話応対時)
×わたし、僕→◯わたくし
×そちらの会社→◯御社
×ちょっと待って下さい→◯少々お待ち頂けますか?
×やります→◯致します
×できません→◯申し訳ございませんが、致しかねます
×どうでしょうか→◯いかがでしょうか?
×何ですか?→◯どのようなご用件でしょうか?
×後で電話をします→◯後ほどこちらからお電話致します
×すみませんが→◯申し訳ございませんが
×わかりました→◯承知致しました
×その通りです→◯おっしゃる通りです
×どうしましょうか?→◯いかがいたしましょうか?
×そうです→◯左様でございます
×来てください→◯お越しいただけますでしょうか?
・普段から使ってしまっている「若者言葉」に注意!
「若者言葉」が気になるという人事の方の意見をよく耳にします。とても軽々しい印象を与えるので、普段の癖で使ってしまわないように気をつけましょう。
×宜しかったでしょうか?→◯宜しいでしょうか?
×わたし的に〜→◯私としては〜
×マジですか?→◯本当ですか?
×めっちゃ〜→◯とても〜
×すいません→◯申し訳ございません
×〜になります→◯〜です
×はっ?(えっ?)→◯ハイっ、もう一度おっしゃっていただけますか?
×私は一応〜です→◯私は〜です
×〜って大変じゃないですかー→◯〜は大変ですので〜。
普段の言葉遣いのまま電話をしてしまうと、本人は緊張感を持って話しているつもりでも、馴れ馴れしく、上から目線な話し方に感じられてしまう事があります。私が実際におや? と思った事例を参考にしてみて下さい。
・企業に電話をするシーン
×「すいません、人事の田中さんはいらっしゃいますか?」
◯「◯◯大学経営学部の高橋と申しますが、来週開催の説明会の件でお電話いたしました。ご担当の田中様はいらっしゃいますでしょうか?」
→まず自分の名前、学校名、用件を先に伝えるようにしましょう。そして最後は疑問形で問いかける事も忘れずに。
・企業から電話を受けるシーン
×「はい。」 「もしもし。」
◯「はい、渡辺です。」
→就職活動を開始したら、企業の方からも沢山電話がかかってきます。家族や友人に対する出方とは区別をして出ましょう。明るい声のトーンで出る事も大事です。普段より2トーンUPを意識しましょう。
・OBやOGへ電話をする
×「すいません、OB訪問をしたいと思い、電話をしました。」
◯「突然のお電話失礼致します。OB訪問をお願いしたく、学校のキャリアセンターでご連絡先を教えて貰い、このたびご連絡いたしました。今お電話よろしいでしようか?」
→OBやOGだからといってリラックスした雰囲気は避けましょう。
誰から連絡先を教わったのか、何の用件かも伝えましょう。
・予定の変更
×「熱が39度もあるので、選考はお休みします。」
◯「昨晩より体調が悪くなってしまいまして、大変申し訳ないのですが、予約をしておりました選考はお休みさせてください。別の日程をいただく事が出来るのであれば、ぜひ参加したいのですが、可能でしょうか?」
→体調管理の不手際ですから、まずはお詫びをしましょう。また志望意欲が乏しいと思われる事がないように、日程の調整をお願いして積極性を見せましょう。
・よくあるマイナートラブル
×「いま電車なので、すいません!」
◯「すみません。いま電車の中ですので、後ほどこちらからお電話させていただいてもよろしいでしょうか?」
→まずは今通話ができない状況を伝え、お詫びをして、自分からかけ直す事を伝えましょう。先方から再度かけて貰う事が無いようにしましょう。
×「さっきお電話をいただいたんですがー。」
◯「◯◯大学の吉田と申します。先ほどお電話いただいたようですが、出られず申し訳ありません。折り返しをさせて頂きましたが、ご担当者様はいらっしゃいますか?」
→電話の相手がわかりやすいように、まずは自分の名前を伝え、電話に出られなかった事についてのお詫びと、なぜ今かけているかの説明をしましょう。
最低限の敬語マナーはいったん覚える必要があります。変な癖をつけたまま、社会人慣れする事がないように基本を大事にしましょう。また沢山の目上の方と緊張をしながら話す時間は特に勉強になります。ぜひ、アルバイト先の社員の方や学校の先生など、普段は話す事の無い目上の方と会話をする機会を自分から作ってみてください。
井上 真里(いのうえ まり)
キャリアアドバイザー。石川県金沢市生まれ。慶応義塾大学経済学部在学中より、人材教育企業にて学生キャリア支援のサポートに関わり、卒業後は東証一部上場の富裕層向け住宅メーカー・IT企業にて中途・新卒社員採用をはじめ、教育研修、異動や退職など学生のキャリア選択から、社会人のキャリアに関する領域を幅広く経験。新入社員マナー研修講師としても高い支持を受ける。現在は全国の高校生や大学生を対象に面接トレーニング、キャリア、マナー分野でのマンツーマン指導やセミナーを多数開催。毎年マンツーマン指導や勉強会に参加した200名以上の大学生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定している。
佐藤 大(さとう だい)
神奈川県出身。採用コンサルタント。就活アドバイザー。神奈川県の自動車販売ディーラーにて人事、採用に関する業務に約8年携わり、累計で延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じる。「人」の持つ可能性や組織に与える影響のの大きさを数多く目の当たりにしてくる中で、さらに追求すべく2015年より独立。高校生、大学生に向けての就職指導、企業の採用支援、採用担当者育成などにに携わり現在に至る。