就活は、「社会人とはどういうものか」を学ぶうえでも貴重な時間と言って良いでしょう。例えば電話も、相手が友達なのか企業担当者なのかでは、心構えや言葉の選び方が異なります。また、見落としがちなのが電話を掛ける時間です。
人には、それぞれ都合というものがあります。友達ならば深夜帯でも「どうしたの?」と心よく応じてくれるかもしれません。では、企業も同じでしょうか。たとえ担当者の携帯電話番号を知っていて「分からないことがあればいつでも」と言われていても、その言葉を鵜呑みにすると失礼になる可能性があります。
何か特別な事情で、緊急を要する場合があるかもしれません。そうした場合を除き、一般的に午前8~9時頃から夜9~10時頃が、電話を掛けて良い常識の範囲内と言えるでしょう。これは、企業のみならず知人相手でも同じです。さらにこれが企業相手となると、相手の営業時間を考えなくてはなりません。
では就活生という立場で、営業開始直後に電話しても良いでしょうか。結論から言えば、これは避けた方が無難です。なぜなら始業時間から1時間程度は、1日の業務を始めるための準備で忙しい時間帯だからです。朝礼やスケジュールチェック、連絡事項の確認、メールチェックなど、社会人は本来の仕事を始める前に必ず行わなければならないことが山積みです。そんなタイミングで電話が掛かってきたら、どう感じるでしょうか。もちろん丁寧に応対してくれるでしょうが、内心では苛立ったり、煩わしく思ったりしているかもしれません。
そう考えると、まず朝の時間帯であれば、相手企業の始業時間+1時間後からが適切となるでしょう。午前9時始業であれば、10時以降ということです。
ただし、昼12時から午後1時までは休憩時間という場合が多く、この時間帯も避けた方が良いでしょう。社内で食事をとっていれば、手を止めさせてしまうことになります。また、外で食事をしていれば不在となりますが、企業では誰かしら電話番がいます。こちらが配慮すれば、電話番の人に余計な手間を掛けさせなくて済むのです。
そのため、午後は2時~5時頃までが電話可能な時間となるでしょう。ただし始業と同じく、終業時間ギリギリの電話も避けたほうが無難です。なぜなら、就業前は1日の業務のまとめや報告を行わなければならない場合もあるからです。例え残業していたとしても、本来ならば業務時間外。そのような時間帯に、電話によって作業を中断させることは割けるべきでしょう。営業時間は就活の採用情報に記載されていることが多いので、必ずチェックしておいてください。
また、時期にも注意しましょう。特に月初めや月末は、普段以上に忙しい場合があります。ただし、面接当日に急な病気や事故による交通機関の乱れなど、約束の時間に間に合わないといった際はこの限りではありません。むしろ、できる限り速やかに担当者へ連絡するように心がけましょう。
ここで、電話をかける際のマナーについても確認しておきましょう。まず基本となるのは、必ず相手が電話に出たら名前を名乗ることです。
ホームページやパンフレットに記載されている電話番号は、ほとんどが企業の代表電話番号となっています。その番号に電話する場合、最初は誰が出るか分かりません。もし人事担当者の番号が記載されていても、離席などで別の人が出ることがあるでしょう。例え聞き慣れた声の相手だとしても、「大学名」「学部」「氏名」を最初に話し、自分が何者なのかを伝えます。そのうえで、簡単な用件と電話をつないで欲しい担当者名を言いましょう。具体的には、次のような流れです。
「お世話になっております。私は△△大学□□学部3年の、☆☆ ☆☆と申します。採用面接の日程についてお伝えしたいことがあり、お電話いたしました。恐れ入りますが、人事部採用担当の×× ××様はいらっしゃいますでしょうか。」
就活生にとって、企業に電話する際は誰でも緊張してしまうものです。しかし、緊張のあまり先に用件を言ってしまったり、どこの誰なのか名乗らずに待ってしまったりすることは失礼です。不安ならば、例文を参考にメモを残し、それを見ながら話すと良いでしょう。要件なども、まとめておくことで簡潔に伝えられます。
尚、電話は顔が見えない分、相手の気持ちなどが分かりません。また、電波状態によっては声が聞こえづらいこともあるでしょう。必ず周囲が静かな場所から掛け、聞き取りやすいようハキハキと大きな声で話すことが大切です。
また、電話を終える際には必ずお礼を述べるようにしましょう。いきなり「ガチャン」では、相手に与える印象が良いはずもありません。用件を伝え終えたら「お忙しい中ありがとうございました」とお礼を述べ、そのうえで「失礼致します」と伝えて電話を切ります。
電話を掛ける際には時計を見て、営業時間を確認すること。それと共に、相手の立場から「お昼を食べているのではないか」「忙しいのではないか」と考えましょう。せっかく丁寧に電話できても、相手を配慮しない時間帯では不快に思われてしまうかもしれません。