初めての会社訪問は緊張するもの。目的地となる会社の場所はどうやらここで合っているようだ。地図をもう一度確かめてから、ピカピカに磨かれたガラスのドアを恐る恐る開けて、受付に一歩ずつ向かう……。そうしたことの繰り返しです。
オンラインでの会社説明会や面接も増加し、はじめての会社訪問で緊張するという人も多いようです。私も過去10年間人事担当者として受付で就活生を迎えてきたことがありますが、受付の印象には1人1人差があります。社会人になれば、営業などで会社を訪問する機会を重ねるうちに慣れてしまうものでしょう。しかし就職活動で、まだ慣れていないうちは何かとよくわからないこともあり、その不安や戸惑いが印象に現れてしまっている人もいます。そこで、今回はこれだけはおさえておきたいというマナーをご紹介します。ポイントをおさえておくことで、堂々と余裕をもって訪問できるようになりましょう!
〈目次〉
1. 事前準備は「案内を確認・地図・緊急連絡先」
2. 到着時間は20分~30分前
3. 訪問時間は5分~10分前
4. 受付では「あいさつ・名乗り・目的」をはっきり伝える
5. 受付電話やベルは、指示通り操作して邪魔にならない場所に待機
6. 指示された部屋に通されたらかばんは隣、コートは鞄の上に
7. 面接する相手には立って挨拶が基本
まず、当日慌てないためには以下の3つの準備をしておきましょう。
・事前の案内を読んで持ち物を揃える
事前の案内には、受付の方法や持ち物が書いてあります。忙しくなってくると準備が当日になるという人も多いですが、履歴書の作成が間に合わない。家のプリンターがインク切れで受付票が印刷できない。ということにもなりかねないので当日チェックは危険です。前日には必ず読み返しましょう。
・訪問先の地図を準備する
スマートフォンで確認したり、Googleマップのアプリも最近は高性能で便利ですが、充電が切れてしまったりしないようにモバイルバッテリーを準備するなどしておきましょう。紙でわかりやすい地図を印刷しておくと、より安心です。電車を利用するときはどの出口からでるのかが重要なこともありますので、チェックしておくといいですね。出口を間違えるだけで、駅からの距離が全然変わってしまうということもよくあります。
・緊急連絡先をメモしておく
事前の案内などに記載されている、電話番号の連絡先があればメモしておきましょう。急な電車遅延や道に迷ってしまったときなどにはメールではなく電話で連絡します。
遅刻はよっぽどの理由がない限り厳禁です。会社の選考など、重要な約束に遅れてくる人は社会人になっても大事な場面で時間を守れない人になるのではないかと思われても仕方がありません。会社によっては、遅刻の回数を記録して○回以上は選考の内容に関わらず不合格という基準を決めている場合もありますし、記録をしていなくてもよく遅刻をする人だなと思われたら間違いなくマイナスな印象を与えます。
そこで、特に初めての場所に行くときは、訪問時間より20分~30分は余裕をもって現地に到着できるようにしておくと安心です。早めに着くように計算しておけば、ちょっと道に迷っても、交通機関の遅れがあっても間に合います。
かくいう筆者も、就職活動で昔ギリギリに家を出発して遅刻しそうだからとタクシーに乗り、場所がわからないので電話で確認させていただいて……というドタバタで訪問した会社があります。結局面接には遅刻し、当然のように不合格でした。また、最終面接で緊張して、初めての場所ではなかったのに道を間違えてしまったという人もいました。ちょっとした時間で余裕をもった行動がとれるので、事前準備は本当に大切ですね。
会社を訪問すると、ビルの前でスーツを着て立っている社会人を見ることも増えると思います。それは、会社の前で約束の時間になるのを待っている人たちです。
会社の前まで時間よりかなり早めに着いたとしても、早すぎる訪問は、利用する予定の場所がまだ使えなかったり、人事担当者や面接官が前の予定に対応していて対応できなかったりすることがあります。そうすると、相手に気を遣わせてしまいます。
ビジネスマナーでは、到着時間は5分前~指定時間ちょうどに訪問するのが一般的には適切とされていますが、就職活動では開始時間のほかに開場時間が指定されている場合はその時間以降に、開場時間が指定されていない場合は5分~10分前くらいに訪問するくらいで良いでしょう。
受付に人がいるときは、まずあいさつをしてからフルネームで名乗り、何の目的での訪問かをはっきり伝えます。ちなみに私はこれまで過去一度だけ経験しましたが、セキュリティがしっかりしているビルでは身分証明書または名刺の提示を求められることがあります。学生証を持ち歩いていると安心です。
補足として、新卒採用の面接で訪問先の人の名前まで特定して訪問することはめったにないと思いますが、担当する部署や名前が予め伝えられている時は、そのまま「〇〇部の△△様にお約束いただきました」と伝えます。
(例)
× あの…説明会に参加する〇〇と言います…
○(会社の受付で)こんにちは。本日14時からの会社説明会に参りました、〇〇大学の〇〇と申します。
○(他の会社も入っている総合受付の場合)こんにちは。本日13時から、(企業名)の面接にまいりました〇〇と申します。
最近では受付が無人の会社もあります。その場合は事前のメール案内または、受付での案内板の指示に従って操作しましょう。受付の電話口でのあいさつは、前項と同じです。
操作後は、フロアにずかずかと入っていくのではなく通常は受付の近くで待機します。指示された場合はその指示に従います。受付にはほかの方もどんどん訪れますので、邪魔にならないように配慮しましょう。
部屋に通されたら個室の場合は「失礼します」と一声あいさつしてから入室し、指示された場所に座ります。
かばんは、何も指示がなければ座っている椅子の横(床)に置きます。コートかけがあれば使用して構いませんし、特になければ鞄の上にたたんでおきます。
当日面接など話をする相手が既に部屋にいる場合は、立ったままで挨拶をします。
もし、相手が後で入室してくる場合は、座って待っていて構いませんがノックがあり入室して来たらすぐに立ち上がって挨拶するのが基本です。目上の人に対して座ったままの挨拶は失礼にあたります。「おかけください」と言われたら「失礼します」と言って着席します。
以上が、受付から入室までのマナーです。イメージをして一度訪問すれば特に大きく困ることも間違いもないでしょう。そして二回目以降は初めての訪問ほど大きな緊張感もなくスムーズにいくと思います。
実際、受付での対応で面接の合否が決まるということはありませんから安心してください。大切なのはそのあとです。しかし、第一印象は受付から始まっていることがあります。不安でおどおどしている様子は誰の目から見てもいいものではありません。また、受付だからと普段の素が出てしまったり、偉そうにふるまったりするのも良くありません。丁寧な明るい対応で、好印象な訪問でスタートしましょう。