就活生はスーツを着ることが定番となっていますが、最近は企業側から私服を指定する動きも目立っています。学生の皆さんとしてはリクルートスーツを前提に考えているので、急に「私服で」と言われると戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は急に私服指定をされても戸惑わずに堂々と参加できるよう、NG例などを交えながら正しい考え方や判断方法をお伝えしたいと思います。
学生の皆さんは企業担当者と会う際、リクルートスーツを着用するという事が当たり前であり、企業と学生の間でも暗黙の了解となっています。そんな中、私服での参加を促す企業が増えてきている目的や背景は何でしょうか。
その理由は大きく分けて4つのパターンがあるようです。
・学生の素のキャラクターを見たい
リクルートスーツを着る事で相手に不快感を与える心配は無くなります。しかし同じような格好をしているため、男女ともに同じような人物に見えてしまう事は確かです。そのため、少しでもキャラクターを知る手段として「普段どおりの服装で」という発想が生まれたのではないかと思います。
企業の担当者が「普段どおりの服装でOK」と言ってきた場合は、変に勘ぐらずに(相手に不快感を与えない範囲内で)言われた通りの指示に従う事も大事です。自社の社風に会うかどうかを知りたいケースも多いので、社風や会う相手などを考慮して判断してください。
・一般常識の力をチェックしたい
「私服でいらしてください」という、言わば「お題」に対してどのような対応をする人物なのか? を面接とは別の部分でチェックしようとする企業も多いようです。営業会社や、お客様対応を必要とする職種において、適切な服装をチョイスできるか否かはその会社にとって大事な要素です。
顧客の前では担当の営業ないし販売員が「会社の顔」になるだけに、客先に出しても恥ずかしくない人間か?相手目線の判断ができる人間なのか?マナーはまともでも、センスの面で問題がないか? などを総合的に判断しようとする目的があったりします。営業会社、販売系の会社で私服指定をされた場合は一つの選考と心得て対処しておくと良いと思います。
・より自然体でリラックスして参加してほしいから
リクルートスーツを着る事で、学生も少なからず就活モードであったり普段とは違う緊張した雰囲気になる事を少しでも緩和させてあげたい、少しでもリラックスした状態で、腹を割って話をしたい時などに担当者が私服指定してくる場合もあります。
また夏場など明らかにスーツを着るには大変だと思う季節も同様で、学生側に負担をかけまいと考慮してくれているケースも多いと思います。あくまで好意で配慮してくれていると判断できる場合は、せっかくの事ですのでお言葉に甘えて正解です。
・自由でフランクな社風を学生にアピールしたい
私が採用担当者だった時も、最終選考で社長に会って貰う際は私服指定をしていました。社長自体が非常にフランクで人当たりの良い方だったので、その要素を最大限に演出したいと考えたからです。その甲斐あってか最終選考でグッと入社意欲が高まる学生が多かった印象があります。
リクルートスーツを着ない事によって心の距離を縮める効果があるようです。またそういった柔軟な考え方をする組織である事をアピールする狙いもあると思います。
結論から言えば、企業から指定された通りに従って正解です。原則として何も問題ありません。逆に、変に考えすぎて敢えてスーツを着ていく事の方が印象は悪いかも知れません。企業は上記のように何か意図があって私服を指定してきているので、それを無視する事は失礼にあたる可能性もあります。
ただ、一部の企業ですが、私服指定しておきながら、それでもスーツを真面目に着てくるかどうか?(油断をせずにスーツで参加する事を良い判断としているケース)を試してくる企業もあるそうです。私個人の独断と偏見ですが、非常にくだらない方法だと思います。(学生に対して失礼です)このような企業は、社内に何かしらの人的な問題を抱えているか、社長または人事担当者の考え方が歪んでいる(失礼)ため、わざわざ入社するに値しない企業と判断して正解です。もっと良い企業は沢山あります!
マナーの基本は、一緒にいる相手が不快な気分や、違和感を与えることのないように心がける事です。そのためにはTPOをわきまえて、誰と会うのか? どんな雰囲気が想定されるか? どのような場所で会うのか? などをしっかり考えていれば問題ないと言えます。アパレル系の企業や個性を打ち出すべき職種の場合も同様で、相手(企業)が自分に対して何を求めているのか? を感じ取って判断する事が大切です。
毎年就活が長引いてしまう学生の中で、この「相手目線」が足りていない事が原因になっているケースが多いのも事実です。たかが服装と軽視せずに、その人の考えや感性を表す大事な要素である事を意識しておきましょう。
私服指定だからといってなんでも良いと勘違いする人も多いです。ここでは一般的なNG例をいくつかご紹介します。
1.男女共通のNG例
・履物がブーツ、サンダル
・ハイブランドでトータルコーディネートをしている
・パーカー、トレーナー、ジャージのようにリラックスした服装
・香水を強めにつけてくる
・帽子を被ってくる
・派手な柄、派手な色
・全身「黒」。または「黒」のイメージ全開なコーディネート
・アクセサリーが派手(2点以上の装飾は危険です)
2.男性特有のNG例
・ダメージ加工された服装(本当のダメージも含みます)
・ドクロ柄、入れ墨のような和柄など、アウトローなデザイン
・半ズボンを履いてくる(7分丈も含みます)
・革ジャン、スカジャンなどの派手な上着
・整髪料を使用しない、または髪型がボサボサ
3.女性特有のNG例
・やたらと高いヒールの靴
・ノーメイクのまま来社する
・ストッキングが夜のお仕事風
・スカート丈が短い、またはホットパンツ
・上半身(主に胸元、肩、腕など)の露出が目立つ
・お財布と携帯くらいしか入らなそうな小さなバック
・派手なネイルアートを施している(派手な色、キラキラとした装飾)
4.企業や相手によってNGになる際どいケース
・ジーンズ
・スニーカー
・リュックサック
・上着はジャケット、カーディガン、セーター
・シャツやジャケットのインナーは、丸首ではなく襟付き
・男性の基本色は紺、グレー、黒、カーキ、水色
・女性の基本色は上記の色に加えて、ペールカラー(淡いピンク、水色、グリーンなど)
・女性のスカート丈は膝が隠れる程度の長さ
・女性の髪型はピンやゴムなどで綺麗にまとめる
・シャツなどの柄は無地または薄めのストライプやチェックが無難
・靴、ベルト、カバンの素材は革。色は黒または濃いめの茶色が無難
皆さんの判断だけでは不安だと思うときは、身近にいる先生や保護者の方に相談して、大人の方からの意見を聞いてみてください。きっと安全な方法を教えてくれると思います。