企業から内定をもらい、就職活動を終えられたみなさん、これまで本当にお疲れ様でした。
自己分析に業界研究、企業研究、面接対策など……これまで就活に費やした時間が、その一社につながったのだと思います。そしてみなさんは就活を終えたことで、これから夏休みを楽しんだり、卒業論文に着手したりと、学生生活の集大成・そして社会人の準備期間がスタートします。実はここから来春の入社まで、これまでの就職活動とはまた違う悩みが出てきてしまう学生が例年多くいます。今回は、内定者研修、内定者同士の関係性、内定ブルーなど、内定を取得し、就活が終わった学生ならではの悩みを、年間3000名の面談をしているキャリアアドバイザーにアドバイスをいただきました!
Q.就活が終了してゆっくり休んでいるんですが、何か入社までにしておくべきことはあるのでしょうか。
A.やっておいた方がよいことと、気を付けた方がよいことがあります。
― 就職活動お疲れ様でした。精神的にも肉体的にも疲れがたまることの多い就活ですから、まずはゆっくり休んでくださいね。さて、就活を終えた後ですが、企業が課題を出さない限り、しなければいけないこと、というのはありません。それが困るという話なのですが、実はそれこそが「社会人の準備」です。社会人になると、これまでのように宿題やテストがあるのではなく、自分で考え必要なものは自発的に学習し行動していくことの繰り返しなのです。もしおぼろげながらに何かをしたいと思うのであれば、客観的に見て自分が足りないものを補っていく時間にしていきましょう。イメージがつかない方には、以前JOBRASSマガジンで企業の人事担当者の方に、「内定者に入社までにしておいてほしいこと」をアンケート調査していますので、ぜひこちらを参考にしてみてください。
一点、気を付けておくべきこととしては、「卒業単位・卒論」など大学卒業で必要なこと、「自動車運転免許」など、応募資格ではあったものの入社までに取っておいてくれればいいからなど、企業から言われていたものなど「必ず必要なものは終えておくこと」です。
Q.就活が終わった途端、何をするにもやる気が出ません。
A.まずはしっかり休んでください。
―活動期間は関係なく、就職活動はみなさんが思っている以上に体にも精神的にも負担がかかっています。まずはしっかりと休息を取って下さい。次の段階としてだらだらと過ごすのではなく、何かに没頭してみましょう。しっかりと時間がとれるのは今の時期だけです。趣味やいままでやってみたかったことなど、自分が楽しいと思えることで全く問題はありませんので、自主的に行動してみると良いかもしれません。
Q.本当にこの会社でよいのか、今でも悩んでしまいます。
A.自分の中で何が不安なのかをまずは考えてみましょう。
―毎年多くの学生が就活を終えた後も、入社する企業や自分が決めた進路に対して迷いが生じています。アイデム調査によると、内定学生の悩みのもっとも多い理由が「もっとよい企業があるのではないか」という結果も出ていますが、みなさんが持つ不安にはさまざまな原因が考えられます。
L第一志望群の業界・職種を目指してまたチャレンジしたい。
L内定会社を調べていくと違うかもと思い始めた。
など「第一希望群への夢をあきらめられない場合」と「現在内定を持っている企業への不安」が主に考えられます。共通して言えることは「正解がない」ということです。もしどうしてもあきらめきれない場合は、受験しても構わないし、不安があまりにも大きいのであればまた就職活動をすればよい、という若干厳しい回答になってしまいます。ただし、サイトに秋採用が募集されたから、まだ掲載され続けているから、という理由で今内定を持っている企業を辞退するのは避けた方がよいでしょう。秋採用というのは、春採用よりも採用数も少なく、留学生や公務員、体育会系の学生など何かに特化した学生であったり、春採用で採用できなかった層を補てんする企業も多いからです。もちろん、春採用同様に採用を行う企業もありますが、倍率としてはかなり高くなってきます。そうした状況はキャリアセンターや先輩などから聞いて、自分の選択肢は無謀ではないのかをきちんと確認した上で判断するようにしましょう。
また、内定を持っている企業への不安についても、ネット上など口コミサイトだけで判断するのは避けるようにしましょう。
Q.内定をいただいたが、やむを得ない理由で辞退しなくてはいけなくなったのですが……
A.企業の担当者に早めに連絡をしましょう。
―家庭の事情や、他の企業の状況などで、内定を辞退することもあるかもしれません。その際は、マナーを守ってきっちりと担当者の方に伝えるようにしましょう。また、決まった場合は早めに連絡をする必要があります。なぜならば企業側も何名採用したいという計画の元、行動しているため、1人入社するか辞退をするのかは大きなことだからです。焦る必要もありませんが、ギリギリまで辞退報告をしない、連絡をとらないということは避けるようにしましょう。
▼参考記事:内定をいただいたけど、辞退したい。キャリアコンサルタントが教える正しい内定辞退の仕方
・訪問編
・電話編
・メール・手紙編
Q.任意の内定者研修は、参加したほうがいいですか。
A.必要と思ったならば、積極的に参加してみましょう。
―企業は秋~冬にかけて入社前に任意の研修を行うケースが多くあります。任意といわれても参加しなくてはいけないのか?と迷ってしまいますよね。入社前の任意研修は、入社後も同様の内容の研修をすることが多く重なる部分もあります。ただし、これらは「入社後に必要なスキルや知識」だからこそ研修を行います。もし、不安に思っている部分や身に付けておきたいスキルなどに関連する研修が行われているならば積極的に参加するようにしましょう。人事担当者や社内の先輩と交流ができるのも良いですよ。
Q.親、親戚に内定企業について話したら反対されました。どうしたらいいでしょうか。
A.自分の意見や気持ちもしっかりと伝えた上で判断しましょう。
―せっかく内定を貰えたのに企業名を親に伝えたら反対された……という声も多く聞かれるようになりました。一概には判断できませんが、一つ言えるのは「親の意見を理由に判断しない」ということ。親や親戚といえど、あくまでもひとつの意見。どうするかはみなさん次第なのです。入社先の企業を反対された場合はまず皆さんが「なぜこの企業が良いと思ったのか」「今後何をしていきたいのか」をきっちりと説明することからはじめましょう。
ただし、親御さんは社会人の先輩。社会人から見て「あきらかに行かない方が良い企業(激務・業態が不明確など)」である可能性もあります。お互いが企業や業界のイメージで意見を交わすのではなく「みなさんが何をしたいのか」と「親御さんはなぜ反対しているのか」を明確にして、話し合いをするようにしましょう。
Q.自分は就活が終わったのですが、友人に就活が終わったのかなかなか聞けません。友人関係で何か気を付けるべきことはあるでしょうか。
A.就活は特殊な時期。友人との関係性が不安定になってもおかしくはありません。
―みなさんも経験されたのでわかると思いますが、就職活動をしている最中は不安、悩みでいっぱいになったり、ときには泣いたり、切れてしまったり……非常に感情が不安定になることがあります。そのような時期はいくら友人関係といえども、関係性が悪くなってしまうこともあります。当然就活の状況を共有しやすい人もいるかもしれませんが、「就活が終わるまではあまり会わないようにしていた/就活の話に触れないようにしていた」という先輩もいます。この時期に気を付けることは友人は内定を持っていない可能性もあるということ。だからといって気を使いすぎることもありませんが、「自分が行きたい会社に内定もらった」「就活楽勝」といった言葉は友人といえども、相手を不快にさせる可能性もあります。少しだけ慎重になってもよいのかもしれません。
Q.内定者研修に参加したところ、タイプの違う人たちがたくさん……今後仲良くできるか心配です。
A.無理して仲良くする必要はありません。仕事ができる良い関係性を築きましょう。
―会社に入るとわかりますが、会社にはこれまでに出会ったことのない性格の人がたくさんいます。これまでは自然と(特に高校・大学)似たような考え方の人を中心に交流してきたため、入社後ギャップを感じることも多いはずです。それは内定者同士も同様。グループワークなどをすると全く話がかみ合わないという人に出会うこともあります。
そこでお伝えできることとしては「同期は友達ではない」ということです。この言葉だけだと、きつく聞こえるかもしれませんが、あくまでも同期は仕事をする仲間であるということです。学生時代のように仲良くすることが目的ではなく、仕事が上手く進むことが目的です。だからといって自分と気が合わない人と付き合わないというのは良くありません。「どの人とも仕事をできる関係性」を心がけると良いかもしれません。また、内定~入社後は主に内定者だけで物事を進めることが多いので、仲良くなれないと分かると不安になることも多いでしょう。しかし、本配属をされると、同期だけではなく、先輩、上司、お客様などもっと多くの人たちとの関係性が出来てきます。もし同期との関係性だけで悩んでいるのならばもったいないことです。
もちろん新卒の同期ができるのは人生で一回だけ。大事な関係性です。気が合った同期とは公私ともに仲良くしてくださいね!
就職活動は終わっても悩みは尽きないもの。今回ご紹介した悩みには残念ながらこれが正解という答えがないものばかりです。しかし、これから入社までじっくり考えられる時間がみなさんにはあります。こうした時間は入社するとなかなか作りづらくなってしまいます。この記事を参考にしてぜひ自分自身で考えてみてください。