(※このコラムは2015年2月14日に2016年卒学生対象メディアの就活NEWSにて公開されたものです。)
これから就職活動をはじめる皆さんに、このようなことを言うのは野暮かもしれませんが、就職活動は人生で1回とは限りません。
定年まで働くという人がいれば、転職して何社も渡り歩く人もいます。
もしかしたら「定年までいると想定しての就職活動」と「転職する前提での就職活動」では、やり方も変わってくるのかもしれません。
学生にとって転職というものは、就職以上にイメージが沸かないものでしょう。
そこで今回は、34才にして4回の転職、現在は5社目の大手マンション・ビルの管理会社に勤めているGさんに“転職のスペシャリスト”としてのご意見を聞いてみました。
<プロフィール>
2003年3月に理系大学を卒業
1社目:新卒でIT系企業へ就職し、ネットワークシステムエンジニアを務める。システム構築のため官庁へ出向していたが、出向先の変更が告げられたタイミングで退職
2社目:知人会社に転職し、官庁に残る。所属会社は変わったが、業務の変更はなし
3社目:イベント会社に転職し、イベント広報として勤務。しかし、会社が事実上の倒産。その後4ヵ月間、放浪(バックパッカー)の旅
4社目:不動産会社へ入社し、注文住宅の営業
5社目:マンション・ビルの管理会社に入社し、現在7年目
全く考えていませんでした(笑)。新卒の就職活動のときは理系大学ということもあり、数学が得意だったので何となくIT企業を中心に受けていました。当時の狙い通り、IT企業へ入社できたのですが、業務に喜びを感じることができずに、1年目の12月に退職しました。人間関係の不満はなく、ただエンジニアとして生きていくことに面白味を感じることができなかったことが原因です。大きな夢があるわけでもありませんでしたが、この仕事をして一生を終えるのは嫌だと感じました。やはり、働いてみないとわからないことがたくさんあると実感しましたね。
1社目を辞めようとしたときは、ありがちな「3年間はとりあえず耐えろ」といったアドバイスをする人が多かったですね。今思えば、反対を押し切って早く辞めてよかったです。2社目と4社目の会社は、離職率が高く、人事の入れ替わりが頻繁にあったので、特に違和感なく辞めることができました。3社目だけ俗にいう“ブラック企業”で、辞めると言ったときに厳しい罵声を浴びせられて、辞められなかったのですが、倒産に救われました(笑)
特にありません。1社目を早く辞めたことにより、20代のうちにたくさんのチャレンジができてよかったと思います。世間の一般的なレールを外れることが恐ろしくも恥ずかしくもあり、辛く感じる時期もありましたが、生存力を養うためには必要な選択だったと思います。今では、会社に依存することの方がはるかに不安定だと思えるほど、自分のキャリアに自信が持てるようになりました。
やる気と行動力さえあれば、どんな失敗でもリカバリーできるはずなので、新卒の就職活動に、気負いすぎることはないと思います。僕は、今の会社が好きなので辞める気はないですが、もし嫌になったら誰かと不動産会社をやるかも知れないし、全く違う業界に転職するかもしれないし…。結局やってみなければ、どんな出会いがあるかもわからないと知って、未来の姿に固執しなくなりました。山に登りたくなったら、本気で登るし、もしかしたら、宇宙を目指すかも知れないし…。とりあえず、どんなに考えても悩んでも目の前にあることに集中するしかありません。
「新卒の就職活動に失敗しても、今は楽しく仕事している」という話で、気持ちが楽になった学生もいるのではないでしょうか? 将来のことを心配するばかりではなく、どんな失敗でもリカバリーできると信じてチャレンジすることが重要なのかもしれません。