最近は、インターンシップを必須にする大学も増えているけれど、インターンシップは就職に役立つの? と思っている方もいるかもしれません。でも、インターンシップは、就職活動に本当に役立つのです。ただ就職活動に活かすためには、インターンシップを選ぶ時から目的意識を持っている必要があります。どのように就職活動本番につなげられるのか、考えてみましょう。
インターンシップに参加する際には、何を目的に参加するのでしょうか。その参加目的によって、就職活動本番での活かし方は違ってきます。
内定をとるため? いやいや、確かにインターンシップに参加することが採用活動の第一段階になっている企業もあるようですが、ほとんどの企業は、インターンシップと採用活動を分けています。ですから、就職活動に役立てると行っても、内定に結びつくという考え方は捨てた方がよさそうです。インターンシップは、あくまでも「就業体験」です。実際に業務を通して、働く人の考え方を感じることが肝心です。実際に働いている人たちと間近に関わりながら、そこで働くことが自分にとってどういう意味を持つのかを考えるチャンスなのです。
インターンシップに参加するメリットは、以下のようなものです。
▪実際に業務を体験することによる、就労意識の醸成
現実に働いてみると、責任感を持って働くことの意味を知り、アルバイトとは違う意識が形成されます。就職してからどういう形で働きたいのか、将来どのようにキャリアを伸ばしていきたいのか、といったことを考える機会になります。
▪業界や企業に関する理解の深まり
インターンシップに参加すると、企業や業務内容に関する話を聞いたり、業務を体験したりすることができます。外から見ているのとは違う部分が、見えるはずです。良い点、悪い点、どちらも大事です。その業界や企業に関して、具体的かつ立体的なイメージをつくることができると、自分に向いているのかどうかを、判断しやすくなります。
▪自分の能力や適性の認識と成長
現実に業務に携わることによって、自分でも気づいていなかった得意分野や苦手な分野、好き嫌いに気づくことがあります。一緒に働く人たちから、客観的な指摘をもらうこともできるかもしれません。また簡単に投げ出すわけにはいきませんから、苦手なことでも与えられたタスクを達成することは、自分自身の人間的成長につながります。
▪人とのつながり
業務を経験するなら、その業界、企業の方と知り合うことができます。一緒にインターンシップに参加しているメンバーは、就職活動の情報を共有できる友人となるかもしれません。新たな人と知り合うことにより、人脈を広げることができます。
インターンシップは、就職活動でどのように活かせるのでしょうか。
▪自分研究に活かす
インターンシップの過程で、それまでは気づかなかった得意分野や苦手な分野、好き嫌いに気づくことがあります。一緒にインターンシップに参加しているメンバーから、客観的な意見をもらうこともできますし、インターンシップ担当の社員さんから、実際に働いてみて感じた適性を指摘してもらえるかもしれません。現実に働き始めてからでは遅い適性のギャップに気付くことができるのは、大きなメリットです。インターンシップに参加した企業は「自分の求めるものとは違う」と思う一方で、お取引先の業界に対して適性に気づくということもあるかもしれません。
▪企業研究・業界研究に活かす
インターンシップに参加した業界・企業に関して、リアルな情報を得ることができます。良い面、悪い面、どちらも見つけることができるでしょう。その企業だけでなく、関連しているどういった業界があるのか、どういった企業があるのかといった情報も得ることができるかもしれません。その企業単体ではなく、周りとの関連で社会は成り立っています。その企業の立ち位置もつかめるでしょう。インターンシップに参加している間は、参加企業の業務はもちろん関わりのある業界・企業も含めて、貪欲に観察するようにしましょう。思いがけない適性を発見できるかもしれません。
▪志望動機に活かす
現実に業務を体験してみると、漠然としたイメージではなく、具体的な経験を得ることができます。マイナスかプラス、どちらの経験でも自分のリアルな経験になります。それは、志望動機の中で活かすことができます。
インターンシップに参加すると、現場の社員さんたちがどのように仕事に取り組んでいるのかを具体的に見ることができます。どういった視点から見る必要があるのか、どういったプロセスを踏む必要があるのか、といったビジネス的な視点や考え方を学べます。そういった視点を、志望動機に取り込むことができます。
▪人との関係を活かす
活き活きと働いている先輩たちと接することで自分の将来と重ねて想像することができ、働くことの具体的なイメージを膨らませることができます。
インターンシップに参加した企業の方に、相談をすることや業界に関する具体的な提案をもらうことができるかもしれません。
もちろん、一緒に参加したメンバーとは、その後の就職活動中も情報を共有できるでしょう。就職活動は情報戦という側面がありますから、意見交換しながらお互いに助け合うことのできる仲間ができるのは心強いでしょう。
インターンシップを最大限に活かすために、気を付けてほしいことをまとめてみました。
▪インターンシップに参加する前に
まずインターンシップに参加する前に、参加する業界・企業に関して調べて、書き出しておきましょう。企業の内容だけでなく、自分のイメージ・適性といったことも書き込んでおいてください。
▪インターンシップに参加中
就業中は自分から積極的に参加するようにしましょう。与えられたことに取り組むことも大事ですが、それだけでなく自分が取組めなかったことも、自分だったらどうしたか、うまく行く可能性はどのくらいだったのかと検証するようにしましょう。
その企業のこと、関連企業のこと、働いている人たちの本音といったことを貪欲に観察しましょう。
一緒に参加しているメンバーとも、コミュニケーションをとるようにしましょう。仲間を増やすチャンスです。または、コミュニケーション能力を伸ばすチャンスともいえます。
▪インターンシップ後
インターンシップが終わったら参加する前に書いたものを出して、その横に終わってからのイメージ、適性、自分が得た企業、業界の現実の情報を書き込んでください。前後のギャップは志望業界を定めるうえで大きな助けになるはずです。また、自分がどういった面で成長できたかというのを、確認することもできます。適性を考えるうえでもヒントがつかめるでしょう。自分研究にも役立てることができます。
インターンシップで経験したこと、自分がどのように感じたかといったことも記録に残しておきましょう。志望動機を書く際に、具体的な経験として活かせるエピソードになるかもしれません。
また、参加した企業の方にお礼状を出すのを忘れないようにしましょう。人とのつながりは、とても大事なものです。