就職活動はタフで孤独な戦いとよく例えられます。人生で初めて、世間に対し「接点をつくる」作業ですし、学生生活では経験したことのない難しい課題でもあると思います。
今回のテーマ「就活仲間はいた方がいい?」についてですが、まず結論から言うと「就活仲間」はいた方が良いと思います。なぜなら就活仲間がいて就活を進める方が、そうでない場合を比較して圧倒的にメリットが多いからです。充実した就活をしている学生を見ていると、大体の場合相談仲間をフル活用していることが多いなと思います。一人で突っ走ったり、一人で黙々と就活に取り組む学生の方の場合、どうしても効率が悪かったり、結果が出にくい傾向があるように思います。
1. 情報量が圧倒的に多くなる
就活に関する情報がネットなどでこれだけ大量に行き来する時代だからこそ、より「生の情報」つまり、自分で体験して自分で得た情報が大切になってきます。ただ、1日24時間の中から得られる生の情報量には限界があります。
ところが、就活仲間がいることで1人仲間が増えれば2倍の48時間、もう1人増えれば3倍の72時間……というように自分1人では得られなかった様々な体験を共有することが出来ます。溢れかえったネットでの情報に惑わされることもなく、自分にフィットした「生の情報」を得ることができ、かつその情報をもとに、自分らしく解釈して行動につなげていくことができると思います。
・面接での面接官の様子
・面接での質問内容
・業界ごと、企業ごとの説明や選考内容の違い
・出された課題やその取り組みで悩んだこと、解決方法
・知り合いの先輩やOBで就活その他で参考になる人を紹介
などなど「生きた情報」をお互いに交換できます。
2. 自分の考えを客観的に整理できる・視野が広がる
就活を進めていく上で自分なりの「軸」を持て! なんて言いますよね。軸を持つこと自体はとても良いと思います。自分の中で仮説を立てることで、一定の方法論が出来上がり、散漫にならずに一定の範囲の中で考えや行動を整理できるからです。例えば、「業界」をある程度絞り込んだとして、その業界ごとの知識はもとより、アピール方法や、志望動機の伝え方も慣れるに従って理解してきます。
次第に自分なりの「勝ちパターン」も見えてきます。しかし、もしかしたら違う業界、違う方法、違う考え方に切り替えることでもっと自分にフィットした情報や、もっと自分のキャラクターを活かせる業界に出会えるかも知れないのに、1人だけで取り組んでしまうと「慣れている業界の情報」や「限られた勝ちパターン」にだけ頼ることになるため、結果的に可能性を狭くしてしまう可能性があります。就活仲間と情報共有をすることが出切れば、自分の知らないの知識と生の情報を得られるのでさらに視野の広い活動が可能になります。
3. 将来につながる人脈が増える
同じ業界、職種、企業を受ける者どうしの横のつながりは自然と増え、自然と深まっていきます。自分の志望する業界のことですから、共通な目標や共通した話題も豊富にあり、情報交換する仲間としても切磋琢磨する仲間としてもとても重要な存在です。また入社したあとの会社の仲間はさらに強い仲間意識が産まれ一生モノの財産になると思います。ただ社会人になった後に、同じ組織や同じ業界経験の仲間内だけで過ごしていると次第に視野の狭いビジネスマンになってしまう危険性があります。
表面的には同質な人間といる限り違和感もなく居心地も良いのですが、他業界や他企業の様子を知らないまま経験を積むと、視野を狭くしてしまう可能性があります。年齢や世代、業種、業界が変わることで同じ仕ことであっても全く違う価値観や方法が沢山存在します。就活時代に知りあった仲間とは入社後も定期的に連絡を取れるように下準備をしておくことをおすすめします。
1. グループワーク、インターンなど共有の場でつくる
同じ選考を受けた、または同じインターンで一緒のチームで取り組んだ後など共通の体験を持った仲間であれば、他の就活生とは違い圧倒的に親近感を持つことができると思います。「吊り橋効果」のように、同じ緊張を味わったり、苦労を共にした仲間とはぜその後も繋がりやすいと思います。
人生何があるかわかりませんから、1人でも多くの仲間を持ちましょう。
2. とりあえず声をかける
一見すると話しにくそうで苦手な雰囲気してるなと思う人でもぜひ話しかけてみて欲しいと思います。こっちから話しかける事で以外にも良い奴じゃん! と思う事は結構多いです。話仕掛ける話題は何でも良いと思います。「笑顔が良いですね!」「どこの業界に絞ってる?」「荷物多いけど遠くから来た?」などなど、ぜひ「自分から」話しかけてみましょう。
3. 連絡先を交換し、情報交換をする
話して終わり。ではなんだか勿体ないなと思います。話が盛り上がれば「せっかくなのでぜひ連絡先を交換しませんか?」と相手に聞いてみても良いと思います。そしてぜひその日のうちにお礼メールをして、再び情報交換できる機会を持てるような関係をつくると良いと思います。就活中はもとより入社後も定期的に会えるような人間関係を作れればベストですね。
同じ就活仲間でも自分の考え方次第ではダメな関係になってしまいます。
1. 傷の舐め合いになる
就活では悔しい事や上手くいかない事も沢山あるはずです。本当に行き詰まった時に弱みを見せるのは良いかも知れないですが、日常的に弱みを見せあう様になるとお互いのレベルは急に低くなってしまうし、そうでなければ、相手に見切られて、自然と離れて行ってしまうかも知れません。
良い仲間でいつまでも居られるような意識を持ち続けて欲しいと思います。
2. 周囲の動きに流されてしまう
自分の仲間の情報ですから、影響は大いに受けると思います。しかし注意したいのは、闇雲に影響を受けて、自分の考えがないままに流されてしまう事です。まずは自分の考えをある程度(仮説で構わないので)ハッキリさせてから、自立した関係の中で情報交換をして欲しいなと思います。自立した関係の中であれば、考えが変化して行く事はむしろ逆に最も有意義な事だと思います。
「自分より優れた部分を探し、お手本にする」という事をクセづけして欲しいと思います。良い就活仲間でいるためにも「相手を尊敬する」という事を実践して欲しいです。必ず一つや二つ自分より勝る部分が必ずあるのでそれをしっかり「発見し」「尊敬する」癖をつけましょう。この考え方は会社に入った後にも役立つ考え方です。すぐれた就活生や社会人が実践している大事な考え方でもあります。
学校では学べない代わりに就活では学べるコトがあります。それは「異質な人間に出会った時、いかに柔軟に適応して、双方にとって有益な状態を導きだせるか?」という答えのないテーマです。
学生時代は好きな授業、好きな教授、好きな仲間だけで周囲を構成して生活していればそれだけで良かったはずです。社会に出ると環境が一変して、好きではない事、選べない仲間、選べない環境下で何かしらの答えを出し続けていく必要があります。少しでも早くその変化に慣れていけるかも大事なポイントではないかなと思います。
ぜひ就活を楽しみ、仲間とともに切磋琢磨して欲しいと思います。
佐藤 大(さとう だい)
神奈川県出身。採用コンサルタント。就活アドバイザー。神奈川県の自動車販売ディーラーにて人事、採用に関する業務に約8年携わり、累計で延べ3,000名の学生の面接や就職相談に応じる。「人」の持つ可能性や組織に与える影響のの大きさを数多く目の当たりにしてくる中で、さらに追求すべく2015年より独立。高校生、大学生に向けての就職指導、企業の採用支援、採用担当者育成などにに携わり現在に至る。