一度にさまざまな企業について情報が集められる「合同説明会」。就活スタートの初期に開催される場合が多く、会場には実に大勢の就活生が集まります。
合同説明会では各企業がそれぞれブースを持ち、訪れた学生に対して会社の説明を行います。企業ホームページなどからは読み取れない、細かな情報を直接聞くことができるでしょう。企業の実態を知り、自身の向かう方向性を確認するうえで、とても貴重な機会となるはず。中には合同説明会を通じ、志望業界を決めたという学生も少なくありません。
せっかくの合同説明会ですから、ただ人事担当者の話を聞いて終わるのではもったいないでしょう。多くの場合、説明後に質疑応答の時間が設けられています。形式にもよりますが、場合によっては個別に人事担当者や現場担当者から話を聞けるケースも多いのです。
説明会では、新入社員が手伝いに参加していることもよくあります。新入社員であれば年が近く、より身近な視点から話が聞けるかもしれません。あるいは説明会で知り合った社員と、後日改めてOB・OG訪問の時間を設けてもらえる可能性もあります。こうした繋がりは、ベテランの人事担当者より、むしろそうした新入社員などの方が得られやすいでしょう。
もちろん合同説明会での質問が、そのまま他の就活生との大きな差に繋がることはないでしょう。しかしそこから得た情報は、自分自身の就活に必ず役立つはず。そもそも社会人とのコミュニケーションそのものが、就活生にとっては貴重な経験となります。そのため合同説明会では、ぜひ積極的に質問するようにしましょう。
ここで大切なのが、「いったい何を質問すれば良いのか」ということ。もちろん疑問に感じたことを聞けば良いのですが、中には質問したことで顔を覚えてくれている担当者もいます。そのため、できるだけ「また会いたい」と思ってもらえるような質問をしたいものです。
合同説明会でどのような説明が行われるかは、当日会場へ行ってみなければ分かりません。しかし多くの合同説明会では、事前に公式ホームページなどで参加企業が確認できるでしょう。あらかじめ企業について調べ、興味のある企業を絞っておくことは可能です。
「この企業の説明を聞きたい」と感じる企業があれば、コーポレートサイトなどで事前に情報を収集しておきましょう。そうすれば、当日の説明も理解しやすくなります。また調べた情報から、事前に気になる点や疑問をメモしておいてください。メモに残した項目のうち、説明を聞いても解決できないものがあれば、個別に質問するのです。
あるいは企業を問わず、共通して確認しておきたい事柄があるかもしれません。例えば総合職なら、その中に含まれる具体的職種は気になるところですよね。いくつか質問を用意しておけば、説明を聞き終えて「何も質問することがない」という状態を回避できます。
もちろん当日の説明を聞いて、その中に疑問を感じることもあるでしょう。そのため合同説明会の場では、常にメモを取るように心がけることが大切です。
最後に、具体的な質問例を挙げておきます。同じ質問内容でも、問いかけ方によって印象は大きく異なるもの。例示するような質問であれば「この学生とはまた会いたいな」と、興味を持ってくれることでしょう。
「どんな仕事が自分に向いているかは、やはり経験してみなければ分からないものだと思っています。そのため、チャンスがあればいろいろな仕事に挑戦してみたいのですが、総合職の場合、具体的にはどのような職種が含まれているのでしょうか。」
ただ職種だけを聞くと、「何かやりたくない職種でもあるのでは?」と受け止められてしまうかもしれません。しかしこの質問であれば、あくまで前向きな姿勢が感じられるでしょう。
「私は現在、企業で扱われる数字に強くなるため簿記を勉強中です。入社後も実務に役立てられる資格取得や、その他幅広い知識を学んでいきたいと考えています。例えば継続研修や外部セミナーへの参加、あるいは資格取得支援など、スキルアップに向けた制度などはございますか?」
ただ制度有無を聞くだけでは、自分で学ばず会社に頼ろうとしているように思われるかもしれません。しかし“現在も自ら勉強している”と加えることで、そうしたマイナス面を払拭しています。学習意欲を示すと共に、その学びを仕事に活かしたいという考えが感じられる質問です。
面接の逆質問とは異なり、合同説明会で質問ができなくても、採用選考には特に影響しないでしょう。しかし自分自身の情報収集から考えると、大切な機会の損失となります。合同説明会の場で解消し切れなければ、後日時間をとってもらえたり、連絡先を聞いてメールや電話で質問に応じてくれたりする可能性もあります。相手に良い印象を与えられる質問を用意し、説明会を有意義なものにしましょう。