就活の開始時期になると、同級生との会話も就活に関するものが多くなるもの。学内セミナーには大勢の就活生が集まります。また、学外で行われる企業の説明会へ足を運べば、そこに集まる人数は学内セミナーの比ではありません。就活という共通の目的を持って集まった他校の生徒と、連絡先を交わすこともあるでしょう。
エントリーシート作成や筆記試験、面接などに向けては、学内外の友人と対策に取り組むことがあるかもしれません。集団面接の練習ならば複数名いることは必須ですし、そうした繋がりは就活を進めるうえで有効といえます。
しかし就活は、どこかのタイミングで自分自身と向き合うべき瞬間が訪れるもの。群れることに慣れ過ぎてしまうと、自分で考える癖が身につきません。例えば志望動機や将来のビジョンなど、自分の言葉で上手く語れず、多勢の中の1人として埋もれてしまう可能性も。そこで、ここでは1人で就活に取り組む“ぼっち就活”について、そのメリットをご紹介します。
先の見えない就活戦線、仲間がいれば心強いものです。しかし、実際に志望企業へ足を運び、選考を受け、最終的な入社企業を決めるのは自分自身にほかなりません。その過程では、入念な自己分析は必須。自分自身で考え、行動し、決定すること。就活では、1人で取り組むべきことがとても多いのです。
では、ぼっち就活にデメリットはないのか。1つ挙げられるとすれば、情報収集の面でのデメリットが考えられるでしょう。他学生との関係があればこそ、自然と耳に入る情報はあるものです。地方在住の学生なら、就活を通じて知り合った都市部の学生に、役立ちそうなセミナー等の情報を教えてもらえるかもしれません。あるいは筆記試験が苦手な場合、得意とする人から教わることもできますよ。
デメリットを踏まえ、説明会などで出会った人とは繋がりを持ち、情報交換の相手として活用することをおすすめします。たとえ志望業界が異なっていても、就活全般について役立つ情報を得られるかもしれません。大学で開催されるセミナー1つ取っても、各大学によって多種多様。学べる知識や得られる情報には大きな違いが生じます。志望企業のOB・OGが見つからなければ、他大学の学生から紹介してもらうというのも1つの方法です。
もちろん情報を得るには、こちらも何かしら相手にとって役立つ情報を提供することがマナー。ただ「教えてください」では、誰も情報を与えてくれるはずがありません。1人1人がそれぞれ真剣に活動を進め、そこで得られた情報を交換することで高め合う。つまり不足点を補完し合い、高め合える関係を構築していくということです。
しかしいくら仲が良くても、お互いが厳しい就職活動に取り組んでいることを忘れずに。同業界・企業を志望するならば、その時点でお互いはライバルです。他人から知り得た情報だけで十分と考えるのでは、差別化ができません。そして本当に価値ある情報は、もしかしたら「他人には教えたくない」と考えているかもしれないのです。
そして情報は、自分次第でいくらでも集めることができます。他人が“知っている”ということは、その情報はどこか他のルートからも得られるはず。そのために有効なツールが、インターネットです。
企業のホームページはもちろん、就活サイトや口コミサイトなど、インターネットには就活に関わるさまざまな情報が溢れています。実際に就活を終えた学生のブログを見れば、全体的な流れや準備しておくべきポイントなどが学べるでしょう。上場企業ならば財務状況や株価変動を確認することができますし、事業やサービス内容も顧客向けに分かりやすく掲載されています。
大切なことは、多角的に情報を集め、本当に必要かつ正確なものを選別すること。ホームページはその企業が発信しているものですが、客観性がありません。また就活そのものに関する情報は、ホームページより就活サイトの方が詳しいことも多いでしょう。口コミサイトならば、就活生側の視点から情報・意見を見ることが可能です。
ただしブログや口コミサイトは、“誰もが書き込める”情報となります。中には真実と異なる情報が含まれている場合もあり、すべてを鵜呑みにしないよう注意しましょう。例えば選考内容について詳しく書かれていても、過去の情報であれば今年度も同じとは限りません。
さらに就活を有利にすすめていくためには、同じ就活生より社会人との繋がりを持ちましょう。社会人とは、当然ながらすでに社会で働いている人のこと。働くことの厳しさや楽しさ、やりがい、あるいは社会の流れといったことまで、自らの経験からよく知っています。働くことをイメージするうえでは、とても貴重な情報が得られるはずです。
もちろん志望企業・業界のOB・OGと繋がれれば、これほど素晴らしいことはありません。そこから得た情報は、企業の採用選考にも役立ちます。しかし、例えば親や兄妹、あるいは異業界で働く先輩からも、有益な情報が得られます。例えば「なぜ今の仕事を選んだのか」と聞けば、その理由は千差万別。自分の志望動機を考えるうえで、とても参考になるものです。
なにも、一切他者との関わりを排除しようとは言いません。しかし、あくまで就活は自分自身の活動であることを認識しておくことが大切。情報という側面からお互いを活用し合えば、充実した“ぼっち就活”が進められるようになります。