突然ですが、みなさんはどんな職業につきたいですか。
「海外でバリバリ働きたい! 」「キャリアウーマンになりたい」という人もいる一方で、「営業は無理だから、一般職かな?」「プライベートを充実させたいから事務職がいい」という人も多いのでは?
一般職は以前、JOBRASSマガジンでも。「一般職が高倍率に! なぜ高学歴の女子大生は一般職を志望するのか」という記事をご紹介したように、いまや大学や性別問わず人気職業のひとつです。
今回はこれから一般職を目指そう、一般職がいいのかなという方のために意外と知られていない一般職の実態をインタビューしてきました。
今回インタビューに答えてくれたのは、3歳のお子さんを持つママさん社員。前職では営業も経験されており、一般職歴は7年目に。
―― まず初歩的な質問からしたいと思っているのですが、そもそも「一般職」の役割とはなんだと思いますか。
一般職は、直接お金を取りに行くことはできない立場です。営業さんなどお金を取ってきてくれる人が、一件でも多く契約を取れるようにサポートするお仕事というと、わかりやすいでしょうか。
―― 営業のサポートなんですね。前職は営業職をされてたと思うんですけど、営業から見る一般職の存在ってどうですか。
前職の場合は、一般職の方がいなかったら、契約を取ってきたあと、営業だけでは処理できなかったんです。サービスの対象が未成年だったので、親の許可証が必要だったんですが、親御さんから信頼が得られやすいという理由で、その業務は事務の方が行っていました。一般の人は営業に対して「利益のために動く人達」というイメージを強く持っていますから。そういう意味では絶対不可欠でしたね。
―― 業務や役割は会社によって違うのでしょうか。
お金を取ってきてくれる人のサポートをして利益につなげるという意味では、どの会社に行っても、変わらないと思います。ただサポートの方法はいろいろだと思いますよ。
例えば、コピー取りとかお茶くみは必要か必要じゃないかっていうと、私は必要だと思います。だって、オフィスが円滑に回るためのサポート、と考えたときに、営業して疲れて帰ってきた人にお茶を出した方がいいじゃないですか。「コピー取るのが仕事じゃないですけど」っていう人がいるんですが、円滑のため、と考えると仕事だと思いますね。
――学生さんの中には一般職は、お茶くみとかコピーを取るのが仕事って思っている人もいますよね。
それ「も」、仕事のうちのひとつっていう感じですね。営業の人は仕事の目標が明確ですよね。売り上げ目標とか。一般職は非生産部隊であるがゆえに、「円滑にするためのサポート? 何をしたらいいの?」ということもあると思いますが、逆に言うとなにをしてもいいんです。
私はお茶を入れることによって、みんながにこにこ仕事してくれたらそれでいいじゃないって思っています。最初は嫌でしたよ。なんでやらなきゃいけないのかって。
でも仕事を続けていくうちに、同じ仕事をしているのであれば、人に喜んでもらえた方がいいなあと思うようになって意識が変わってきましたね。
一般職はお客様から直接声をもらうことはなかなかないからこそ、誰に喜ばれたいのかって考えると、やっぱり一番身近な「中にいる人」たちなんですよね。
―― 辛いこととか楽しいことは?
辛いことは……ずっと社内にいること(笑)じっとしていられない人は辛いかもしれませんね。
楽しいことはいっぱいありますよ。さっきの話に通じますが、「コピー取ってきましたよ」というと「ありがとう」って言われたり、こんなふうにちょっとした気遣いに対して感謝されることが多いのはやっぱり嬉しいですよね。仕事しやすい環境を作ろうと意識すると、掃除まで楽しくなりますよ。
― ここからは「一般職が高倍率に! なぜ高学歴の女子大生は一般職を志望するのか」で出てきた意見を基に、学生さんが一般職について持っているイメージについてお伺いします。
◎「責任が重い仕事はしたくない」
責任はありますよ(笑)社会人になって責任のない仕事なんてないです。だって契約書の金額、間違えたら大変ですよ?
―― 一般職ってノルマあるんですか。
お金に関するノルマはないですかね。ただ、業務のノルマというんでしょうか。入力処理や時間を追われる締め切りは多いですよ。営業さんは明日に回すことができる業務もあるけど、一般職はまずないですね。
◎「仕事でどうなりたいという志がない。プライベートを充実させたい」
少し厳しいことを言ってしまいますが、総合職、一般職に関係なく、社会人になる準備ができてないと思いますね。志がないと社会人にはなれないです。あと、プライベートを充実させたいという気持ちはわかるんですが、一般職だからといってそうできるとは限らないんですよね。企業によっては、かなり遅くまで仕事している一般職の人もいます。すごく福利厚生が整ってて、この曜日は残業させませんっていう企業の営業職だったら
プライベートはそっちの方が充実させられますよね。
◎「総合職は忙しそうだし、上の立場になったときに人に指示するのが苦手なのでできないと思う」
人に指示することはありますよ。一般職では、派遣さんやパートさんをまとめる立場になることが多いです。それぞれ働き方も違って働く目的が違うという意味では、まとめるのは難しいですね。いかにモチベーションをあげて付き合っていくかというのを意識しないといけないので、人とうまく付き合えない人はこの業務は難しいんじゃないかなと思います。
――人間関係といえば、営業さんと一般職の関係性ってどうなんですか。
サポートしたい! と思える営業の方じゃないと、正直仕事はしづらいですね。だから私すぐに恋しちゃいます。
――え?
その人が喜ぶことをしてあげたいし、気配りって好きじゃないとできない。
――逆に総合職に入った子が、一般職の先輩に好かれるにはどうしたらいいでしょうか。
かわいげじゃないでしょうか? 男性であっても女性であっても。
あとは、感謝の気持ちを伝えることですね。感謝されることでこれ喜ばれるんだとか、
逆に「こうしたら嬉しい」って言ってくれると、次はこんな風に工夫しようって自分の業務の方向性も決まるんです。
◎「中小企業の総合職よりも、大手の一般職のほうがネームバリューがあるし楽だから」
―この意見、最近高学歴の学生に多いようなんですが。
楽じゃないでしょうね。絶対辛いと思う。
だってこの大学出てこれくらいできないのか! って言われるの、辛いですよね。ハードルあがりますよね。悪い意味で大学名をみられちゃうことが多いんじゃないかな。
あと、総合職ってチームでやる仕事が多いけど、一般職って一人でやる業務が多いので
より個人を見られるんですよ。商社とか銀行とか大手の一般職だとなおさらでしょうね。
責任がないからよさそう、っていうことですが、大手企業はより一層何をやっても責任を問われてきますよ。
―男性で一般職を目指す方も増えているようですが、こちらについてはどう思いますか
女性が気づかない男性ならではの視点があるから、重宝されるでしょうね。だからこそ仕事に対する周囲からの期待は高いと思います。現時点で絶対数が少ないから重宝されるんですよね。期待されたくない人は難しいと思います。一般職は女性の方が圧倒的に多いんですが、あえて企業が男性を採用するということは男性ならではの仕事を頼みたい!と思っているんですね。だから女性が求められるものより、現時点では求められるものは高いと思いますね。力仕事も考え方も含めて。
◎「安定してそう」
けど安定して給料安いですよ? (笑)時間があって、プライベート重視できる、けどお金ないってこともありますからね。
あとは、仕事が楽しくなければプライベートも充実できないです。例えば、一生懸命働いてためたお金で参加できた趣味のライブ・コンサートの感動ってすごいです。それで次の日から仕事がんばろうってなります。プライベートを充実させたいならば、仕事を充実させなきゃいけませんね。
本当にプライベートの時間を大切にしたいんだったら一般職っていうよりは、企業の福利厚生を見るべきですね。あとは雇用形態を見直すとか。
◎「コミュニケーション力に自信がない……」
何回か言っていますが、中にいる人の方が圧倒的に人と接する時間は多いんです。対お客さんの方がコミュニケーションは楽だと思いますよ。お客さんとのお付き合いって、契約が終われば関係性はそこで終わるけど、社内のコミュニケーションってそこで評価されると会社にいる間ずっとついて回ります。ちょっと対応悪かっただけで、印象が決まっちゃったり、噂はすぐ広まるし。一般職を目指す方が営業職に対して嫌がっていることって実はより一般職の方が強い気がしますね。
◎「仕事に変化を求めていない」
―ルーチンワークのイメージが強いかもしれませんよね。
変化だらけですよ。ルーチンワークをしているだけで、会社の売り上げ下がったとすると、じゃあ仕事の効率化をはかりましょうってなりますよね。一般職の業務の効率化によってまず営業さんの仕事を減らさないと、営業の仕事は変化しないです。
たとえ同じ仕事をしていても、毎年仕事は大変になっていきます。
例えば昔は個人情報とかセキュリティなんてそんなにうるさく言われなかったんですが、いまや二重チェックをしましょう。徹底管理しましょうっていう項目がひとつずつ増えていっています。変化は毎年ありますね、必ず。
―では最後に一般職に向いている人ってどんな人なんでしょうか。
人が好きなことですね。じゃなきゃサポートできない。人と関わりたくない人はできない仕事です。
業務的には正確性があることでしょうか。素直なことも大事ですね。
―逆に向いていない人は?
そっけない人ですかね。営業さんもあの人に仕事頼みたいってならないじゃないですか。この人にサポートしてほしいと思われない人は難しいでしょうね。
―営業さんに対する営業ってことでしょうか
私は一般職というのは同じ社内にいながらも、営業さんの下請け会社だとずっと思っています。
私たちが提供するサービスで営業さんが利益を生む、そしてまた仕事を受注される。だから一般職とか総合職って分かれていますが、業務は同じなんです。責任もあるし、正確性も求められるし、人と接するし。総合職は社外の人に対して、一般職は社内の人に対して相手がだれかっていう違いだけですね。ただそれだけ。
―一般職の志望動機を作成するポイントはなんでしょうか。
業務と企業を理解することですね。総合職と同じ。一般職の業務を理解して企業を受けると、とてもいい人材になると思いますよ。一般職を志望する学生さんってワークライフバランスとか、プライベートっていう自分の願望が強い傾向がありますが、総合職と同じように「会社」のことをしっかり見て「会社」が好きだっていう気持ちで、志望動機を考えてほしいですね。
意外と奥深い……! というのが、第一印象でした。一般職の方は営業のサポートのイメージが強かったのですが、その心配りや志、仕事の在り方は総合職と同じなんですね。一般職を目指す場合も総合職と同様に志望動機をしっかり考える必要がありそうです。
▼他にもJOBRASSマガジンでは、現役一般職社員の方にアンケートを実施しています▼
・一般職の面接で聞かれる特徴的なこと 先輩578名が赤裸々告白
・一般職面接でアピールすべきこととは? 578名の“現役”の先輩から学ぶポイント10
・一般職に向いている人とは?現役会社員578名にきいた6つの特長
・【現役 一般職578名が振り返る】就活中 選考に落ちた原因トップ10