「留年」と言うと、多くの方はついネガティブなイメージを持ってしまうでしょう。ひと昔前ならば、「留年」は学業面が振るわずに単位を落としたり、出席日数が不足して単位が取れなかったりすることが主な理由でした。しかし今では、就職のために敢えて留年する「就職留年」を行う学生が増えています。
就職留年にしろ、成績不振や出席日数不足による留年にしろ、就活の際に面接で話題になることは間違いないでしょう。そのため、面接官からの質問に慌てなくても済むよう心構えが重要です。また、むしろ留年をアピールポイントに代えられるような回答を用意しておくと良いでしょう。
ここでは就活が思ったように進まず、留年を決めて再チャレンジする方々に向け、時間の使い方等のポイントを考えていきます。
まずは留年前の就活をよく思い出し、反省してみましょう。
・志望する業界や企業をどのように決めましたか?
前回志望した業界は、きちんと自己分析したうえで決めたのでしょうか?「今トレンディーな業界だから」「誰もが知っている知名度の高い企業だから」「給料が高いから」「人に自慢できそうだから」など、安易な理由で選んでいないか確認してみてください。
・志望する業界や企業についてよく分析しましたか?
自分が働くに当たってやりたいことや貢献できることと、志望した業界や企業は合っていたでしょうか。じっくり時間をかけて考えてみて、もし疑問が残るようなら、もう一度業界や企業を分析し直してみましょう。もしかすると、別業界あるいは別企業の方が意欲を掻き立ててくれるかもしれません。
・就活を開始する時期は遅くはなかったですか?
就活が始まった頃、「まだ始まったばかりだから」と甘く考えていなかったでしょうか。「まだ大丈夫だろう」なんてタカをくくっていると、あっという間に就活はピークを迎えます。そうなれば、気が付いた頃には周囲に取り残されているかもしれません。中には志望する業界・企業が予定の採用人数に達し、心ならずも同じ業界の別企業へエントリーせざるを得なかったなどという話も少なくありません。
・エントリーシートや履歴書、面接では自分の強みをアピールできましたか?
就活では、必ずエントリーシートや履歴書の提出が求められます。心を込めて丁寧な字で正確に記入することはもちろん、「どのように企業へ貢献できるか」「そのために役立つ自分の強みは何なのか」といった点が、分かりやすく説明できていたでしょうか。企業への熱意が具体的に伝わる書類や面接対応は、就活成功の鍵と言えます。
就職留年を決めたことにより、次の就活に約1年という時間が与えられたことになります。この1年をどのように使うかによって、就活の成否が決まると言っても良いでしょう。繰り返しになりますが、自分がなぜ就職留年を決めたのか、まずはその理由をもう一度考えてみて下さい。
就職留年を決断した学生の多くは、「第一志望の企業への入社が叶わなかった」という理由を挙げるのではないでしょうか。大手の有名企業を中心に就活していた学生が、なかなか採用内定をもらえず、そのうちに受けられる企業が無くなってしまったという話はよく聞きます。しかしその場合、また同じことの繰り返しとなってしまう可能性もあるでしょう。今一度、就職したい企業とのその理由についても確認してみる必要があります。
場合によっては、業界選びからやり直すことも視野に入れてください。時間ができたからこそ、自分を見つめ直すことができるはずです。
「留年したことが就活に不利になるのでは?」と心配している学生は、当然ながらたくさんいるでしょう。確かに、不利と言えば不利になることはあります。しかしそれを逆手に取り、自分の強みに変えてしまうことはできないのでしょうか。
ただ「大企業だから」「有名企業だから」「待遇が良いから」など、漠然とした理由で就活に臨む学生は例年多く見られます。これに対し、留年生は留年してでも自らを見つめ直し、チャンレンジしたいという意欲があると言えるでしょう。前向きな理由なのであれば、留年は必ずしも不利になるとは限りません。前年と同じ企業を志望した際、もし採用担当者があなたを覚えていれば、「そんなに入社したいのか」と意欲を感じてくれることだってあり得ます。
つまり留年を選考において不利とするかどうかは、自分の気持ち次第ということです。「本当に働きたいと思える企業を探したい」「就活について今一度見直してチャレンジしたい」「どうしても就職したい企業がある」など、ポジティブな意味で留年を決断したのであれば、アピールポイントとして伝えることができるでしょう。
また就職留年することによって、当然ながら就活の流れはよく把握しているはずです。余裕を持ったスケジュールで活動を進め、選考でも落ち着いて対応できます。一度就活を経験したというアドバンテージは、自身の就活においてプラスの力にもなるのです。失敗した経験があれば、原因追求と対策あら次回はそれを回避することもできるでしょう。留年を自ら不利なものと捉えるのではなく、前向きに新たな就活へチャレンジしてください。