「エントリーシートを書いていたら、自己PRと長所を書く欄がそれぞれあり、同じようなことを書いてしまった」
「面接で自己PRを聞かれて話した後に、『で、あなたの長所は?』と聞かれて困ってしまった」
という話をよく聞きます。
みなさんは、自己PRと長所をきちんと区別できていますか?
これらの違いを押さえておけば、履歴書作成や面接でも迷うことなし!
それでは、これらの違いとは何なのか、解説していきます!
〈目次〉
・「自己PR」と「長所」の定義
・就職活動における自己PRと長所の意味
・自己PRの具体例
まずは、自己PRと長所の言葉の意味を考えてみましょう。
それぞれの言葉を、goo国語辞書(小学館提供の『デジタル大辞泉』搭載)でひいてみました。
【自己PR】
goo国語辞書に「自己PR」は載っていませんでしたが、「自己」と「PR」は載っていました。
自己:おのれ。自分。自身。
PR:官庁・団体・企業などが、みずからの望ましいイメージおよびその施策や事業内容・主義主張などについて多くの人々に知らせて理解や協力を求める組織的活動。宣伝。
この二つの項目を合わせて、就職活動で使う「自己PR」の意味を考えると、次のように表現できると考えられます。
自己PR:自分が志望先の企業にとっていかに望ましい存在であるのか、その価値を知らせ、理解・協力を仰ぐために行う宣伝活動
より平たく言うと「自分は御社でこんなふうに役に立ちますよ!」を伝えるということです。
ここで重要なのは「企業側の視点をもつ」ということです。
どんなに優れたスキルや能力を持っていても、それが企業の求める人物像と合わなければ、採用する理由にはなり得ません。
例えば、業務で英語を全く使わない企業に対して「私はめちゃめちゃ英語ができます」と言っても、PRにはなりませんよね?
あくまで志望する企業にとって、自分のどのような能力が役に立つのか、アピールするようにしましょう。
その際には、過去の体験談や自分のもっているスキルなど、実体験を盛り込んで、説得力のある内容にするよう心掛けましょうね!
続いて、【長所】です。
長所:性質や性能などで、すぐれているところ。⇔短所。
長所は、あくまでも自分視点で見た、自分の中で優れていると思う点です。自分の性格の中でポジティブな部分、優れている特質を見つけてください。
反意語は短所ですが、長所を探す時には、自分の短所も押さえておくようにしましょう。
尚、基本的に、短所を伝える際には、「○○といった点が短所だと思っています。△△で克服していきたいと奮闘中です…」といった形で、短所をそのままにしているわけではないことを説明できると好印象です。
企業側が採用選考の中で、自己PRと長所を質問する意図は何でしょうか。
<自己PR>
自己PRは、志望者が会社にどのように貢献できるのかをつかむためにたずねられる項目です。ですから、自己PRは独りよがりなモノであってはなりません。
会社の方向性、理念を押さえた上で、自分の長所、強みがどのように活かせるかをアピールする必要があります。
自己分析を行う際に、まず長所を整理し、応募先企業が求める人物像、ビジョンに合った部分、自分なりに貢献できる部分を掘り起こしていくことが、自己PRにつながります。
<長所>
長所・短所は、自己分析がきちんとできているかどうかを見極めるためにたずねられる項目です。
企業側は、自分の良いところ・悪いところを「自覚しているか」を知ろうとしています。
どういった長所があるのか、という内容ももちろん大事ですが、ここで最も重要なのは「自分自身をきちんと把握できているかどうか」という点です。
自己分析をする際には、自分の良いところ、悪いところを自分なりにきちんと整理しておきましょう。
長所・短所は見方によって様々に捉えられるので、客観的に、多角的な視点から考えるようにしましょうね。
<まとめ>
まとめると、自己PRは「企業視点での強み」、長所は「自分視点での良いところ」となります。
長所は企業によって変わることはないかもしれませんが、自己PRは相手企業に合わせて変えていかなくてはなりません。
これらをきちんと区別して、より的確に企業の問いに答えられるようにしましょう!
ここからは、面接などで「自己PR」を聞かれた際、具体的にどういった回答をすれば良いのか、例を挙げてみます。
「好奇心旺盛」「人見知りをしない」という2つの強みについて、それぞれ2社に対する自己PRの例が続いています。
どちらの自己PRの方が適切か、これまでの内容を振り返りながら考えてみましょう。
強み:好奇心旺盛
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A社への自己PR:私は好奇心が旺盛で、知らないこと、見たことがないことは調べないと気がすみません。そのため、例えば卒論を執筆する際に、基本線とは外れたところにどんどん入り込んでしまってなかなか進まないという欠点もあるのですが…御社は、多角化を進めておられ社内起業にも積極的に取り組まれているとうかがいました。私は、自分の好奇心を満たすために、新たな分野に対するアンテナを常に広げている状態です。また、知らないことをそのままにしておくのではなく、納得のいくところまで調べるのが癖になっています。こういった部分を、新たな事業開発に邁進しておられる御社で活かせたらと思います。
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B社への自己PR:私は好奇心が旺盛で、知らないこと、見たことがないことはとりあえず調べてできることがあれば試してみないと気がすみません。ゼミのフィールドワークでフィリピンに行った時に、住環境を改善するために何ができるかという取り組みがありました。以前に発電機能を付けたサッカーボールのことをテレビで見て興味を持ち調べていたので、その応用で原始的ですが、風力を使った発電装置を作ることができました。私は、御社の理念の「常に新しい分野に挑戦し、時代のさきがけとなる事業をダイナミックに創造」するという部分に特に共鳴しております。新しい分野に挑戦するためには現在どんなものがあるのかを知っておく必要あると考えます。私は、現在あるものに関するアンテナを張り巡らし、調べることによって、新しい分野を見つけていきたいと思います。
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強み:人見知りをしない
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C社への自己PR:私は人見知りをしません。父の仕事の都合で引っ越しが多く、小学校を6回転校しましたが、そのおかげで誰とでもすぐに打ち解けることができるようになりました。実習で老人ホームに行った時にもたくさんのお年寄りと仲良くなり世代を超えたお付き合いを続けることができています。私にとって人と知り合うことは新たな経験として楽しみなことになっています。御社で営業職として、多くの人と知り合いながら、御社の誇れる商品を売り込んでいきたいと思います。
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D社への自己PR:私は人見知りをしません。父の仕事の都合で引っ越しが多く、小学校を6回転校しましたが、そのおかげで誰とでもすぐに打ち解けることができるようになりました。大学で私は奇術サークルに入っていますが、私たちの年まで、毎年新人が入ってこないことが悩みだったそうです。2回生になった時に、サークル勧誘の方法を変え、関心を持ってくれた新入生たちとじっくり知り合う機会を設け、フォローを密にする体制を作りました。今では、学園祭の奇術興行を毎日打てる人数を揃えることができています。週に二回ですが、サークル活動を通して、さらに個々の人との理解を深めることができていると思います。こういった経験を活かして、御社のシステム開発の場面でも相互理解を深め、お客様が本当に意図するところをくみ取り、最大の利益を上げていくことができるよう頑張りたいと思います。
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それぞれの自己PRの適切な点・不適切な点は見つけられましたか?
答え合わせをすると…
NG……A社・C社への自己PR
GOOD……B社・D社への自己PR
A社・C社への自己PRは、独りよがりな内容になってしまっていますね。
一方で、B社・D社への自己PRは、自身の長所が「会社視点で」どのように活かせるかがきちんと述べられています。
みなさんも、B社・D社への自己PRのような回答を心掛けていきましょう!
さて、実際に仕上げた自己PRや長所は、”第三者目線でのアドバイス”を受けるとよりブラッシュアップできます。
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