まだまだ日本企業における新卒採用の多くは「一括採用(メンバーシップ型雇用)」を行っています。
一般的な就活スケジュールは、大学3年生の夏から秋にかけてインターンシップに参加し、大学3年の3月~大学4年の6月にかけて説明会や面接等の選考が行われます。
企業によって多少時期はズレども、大学在学中の学生を対象とし、一括で複数名を採用する日本。
しかし、海外に目を向けると……国によって大きな違いがあるんです!
今回は世界各国の「就活事情」と「年収」についてお伝えしていきます!
<目次>
1.アメリカの就活事情と年収
2.ドイツの就活事情と年収
3.韓国の就活事情と年収
4.インドの就活事情と年収
1.アメリカの就活事情と年収
アメリカには新卒採用の概念がありません。
企業の雇用スタンスとしては、「ジョブ型」が多く、例えば「経理の人が辞めたから補填したい」「業績拡大のため営業職を増やしたい」といった空きポジションが出た際に採用を行います。
日本では、何十人と総合職で採用し、研修と教育を経て各ポジションに配属することが一般的ですので、アメリカとは真逆です。
そのため、アメリカの大学生は学期休み中にインターンシップに参加し経験を積み、大学を卒業してから就職活動に臨みます。望みの企業が募集を開始したら、インターンシップを職歴として企業に伝えることで「即戦力PR」を行わなければならないのです。
一見大変そうに見えるかもしれませんが、全米大学卒業者調査(2020年)によると、卒業者のうち94%が卒業6ヶ月以内に就職しているとのことです。
ちなみにアメリカの2020年新卒者の年収中央値は50,000ドル(約535万円/当時レート1ドル107円)で、同年の日本は約半分の272万円でした。
【参照】
National Association of Colleges and Employers, “Class of 2020 Student Survey Report,” (2021).
2.ドイツの就活事情と年収
ドイツも基本的にはアメリカと同じで、新卒一括採用はありません。
ちなみに、ドイツは10歳で進路を決めなければならない教育システムを導入しています。日本でいう小学4年生の時に、基幹学校・実科学校・大学進学準備学校の3つに分かれます。
基幹学校はいわゆる工場・建設系に就業する人、実科学校は警察官や官公庁などの公務員に就業する人、大学進学準備学校は大学に進学し教員・医師・弁護士などに就業する人が通うとのこと。
また、もう一つ「デュアルシステム」という職業訓練と一般教育が並行して行われる教育システムがあります。指定の職種は342種あり、小売販売職から歯科助手、事務職、電気設備工と幅広く、希望する職種にて2年半~3年間訓練を行います。
学校に通いながら、給料をもらい、技術や能力を高めていく。日本でいう長期インターンシップがこれに該当するかと思いますが、ドイツではこの職業訓練を経ないと、就職が厳しくなるようです。
そんなドイツの新卒者の年収は約4~6万ユーロ(584~882万円/2023年4月レート)です。
【参照】
ドイツ統計局 公式サイト
3.韓国の就活事情と年収
韓国は日本より就職が難しいといいます。
韓国の4年制大学卒業者の就職率は約60%前後。一方で、令和4年の日本の数値を比べてみると95.8%(厚生労働省)と大きく差が開いています。
特に韓国では、”スペック”と呼ばれる「経験・スキル上げ」が重要であり、学業の成績とともに”スペック”を身につけていくことで大手企業への就職が近づきます。
”スペック”には、留学経験、長期インターンシップ、英語力、学歴、学外活動等が含まれ、いわば日本の「ガクチカ」ともいえるものを必ず複数以上、会得していくのです。
一方で、企業は通年でポジション別に採用することが多く、ポテンシャルで見極める日本とはやはり異なっています。そのため、アメリカ・ドイツと同じく、希望職務に対して自分のスキルや経験をアピールしなければ採用されにくいのが現状と言えるでしょう。
さて、韓国の新卒者の年収は約384万円(2020年)。
ただし、大企業と中小企業では給与が2倍近くの差になるケースもあるようです。
【参照】
4.インドの就活事情と年収
インドの特徴としては、大学の「プレースメントセンター(就職支援課)」が企業を斡旋するキャンパスリクルーティングが多いようです。
上位校にもなると、学生が応募するのではなく、企業がスカウトする、いわば「ダイレクトリクルーティング」のような方式になり、成績の上位者から順番に大手有名企業の選考に割り当てられることもあるそうです。
キャンパスリクルーティングの驚くべき点は、1~2日で筆記試験から面接までをこなし、内定・内定承諾を決めること。
短期決戦で進路先が決まるというメリットもありますが、インドの人事開発省による2019年の大卒就職率は約45%と低く、州や大学によってはさらに大きく差が出るとのことです。
最後に、インドの新卒者の年収は、約60万円というデータ(PayScale, 2020)もありますが、インドでは職種や地域による差が非常に大きいため一概には言えません。
【参照】
日本の就職活動も大変であることは重々理解していますが、諸外国に目を向けてみると、日本より学歴が重視されたり実践的なスキルに左右されたり、過酷な競争が存在するようです。
以上、各国の新卒採用・就職活動についてお伝えいたしました。
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