企業が、内定をちらつかせてその次への就職活動をさせないように圧力をかける「オワハラ」(就職活動終われハラスメント)。以前より「拘束」などとして“当たり前”に存在していたものだが、改めて注目されている。これは経団連により、今年大手企業の面接解禁日が4カ月繰り下げられたことが関連する。
経団連に属さず、大手企業よりも前に内定を出していた主に中小企業において、人材が流出しないように「オワハラ」をかける事例が続出しているというのだ。朝日新聞デジタルの記事によると、文部科学省の調査では、大学と短大の7割近くが、就職活動中の学生から企業のハラスメントを受けたと相談されていたとのこと。ネット上では、「オワハラ」をする会社は「ブラック」なのではないかという見方が蔓延しているが、本当にそうなのだろうか。採用担当者の声を聞いた。
ツイッターには「むしろ私としてはオワハラされる人が羨ましい。だって内定とれているんだもん」という悲痛な声もみられるが、おおむね
・オワハラするような会社は大抵ブラック。入社してもパワハラセクハラがまかり通る会社である
・オワハラやるような会社の内定なんて蹴ったほうがいいと思う。そういう企業は間違いなくブラックだ。会社に魅力があれば、オワハラなんて必要ないでしょ
など、ネガティブな意見が大多数。しかしある企業の採用担当者は、現在の採用スケジュールでは、熱心に学生を囲い込む企業があらわれるのも、ある程度仕方がないともみている。
「そりゃ、逃げられたらイヤだよね。頭数がないと成り立たない仕事も、あるんです。大企業よりも、中小企業は、『1人』のインパクトが大きいですし…。
スケジュールを繰り下げたうえに大手が採用を増やしたら、中小企業にはさらに分が悪いのは事実。ブラックかどうかではなくて、魅力的な学生と一緒に働きたいと必死なだけ。“オワハラ”という言葉は本当に残念。残ってくれたら、ウチなんかはハラスメントどころか、むしろ有り難く、感謝しますよ」
なお数多の批判を受け、経団連は今後スケジュールについて見直す方針だという。学生も企業も、まだしばらく翻弄されそうだ。