日本企業とは一けた違うお給料、おしゃれで英語を駆使してバリバリ仕事をする、世界中を飛び回っている…外資系企業で働く人にはかっこいいイメージがありますが、果たして、イメージ通りなのでしょうか。メリット・デメリット、日本企業との違いなどについて考えてみましょう。
外資系企業とは、資本の3分の1以上が外資である企業を指します。創業した国や上場先市場が日本であったとしても、さらには、従業員の大半が日本人であったとしても、外国法人や外国人の出資比率が34%を超える企業は、外資系企業となります。経済産業省の「外資系企業動向調査」によると、国内の外資系企業数は3,151社ほどとなっています
外資系企業というと、コンサルティングや投資信託系がまず思い浮かぶかもしれませんが、業種は多岐に渡っています。一番多いのが卸売業、ついでメーカー、サービス業となり、情報通信、小売りがきて、金融・保険業は全体の5%ほどになっています。日本企業同様、業績好調な企業が多く、採用も拡大傾向があります。
【外資系で働くこととは|日本企業との違い】
1.専門性が強く実力主義
一般的に外資系企業は、「実力主義」と言われています。日本企業であれば、様々なジョブローテーションを経て、適性を見極めつつ専門性を身につけていく側面もありますが、外資系企業では一通りの仕事は教えてもらえても、自分で考えて仕事を進めていかなくてはならない部分が大きくなります。一人ひとりに課せられる仕事の役割や責任が明確で、裁量もはっきりしているため、早いうちから積極的に仕事をしていく必要があります。個人としての成長が速いのも特長です。
また、外資系企業は専門性を持つ人材を重視する傾向が強いため、職種別採用が基本となっている企業も多いです。財務や法務、設計、品質管理など特定分野のスペシャリストとして教育を受けたり、資格を持っていたりして、その分野でキャリアを磨きたいというビジョンがはっきりしているなら、外資系企業をお勧めします。
リーマンショックの時には、外資系企業が大規模なレイオフを実行しましたが、企業の業績が悪化したり、個人であっても結果が出せなかったりすると、解雇されてしまうことがあるのも外資系企業の特徴です。ただ、日本企業であっても、ずっと安泰とは言えない状況がありますから、安定性については、自分なりに見極めて選ぶ必要があるでしょう。自分のポテンシャルを発揮しやすい環境かどうか、よく考えて個々の企業を見極めることが重要です。
2.外国的な企業風土
外資系企業は、トップは外国人の場合が多く、働き方も本国に従った働き方になることが多いです。一般的に外国人は、オンとオフを明確に分けますから、終業後に、ちょっと呑みに行って、そこで仕事の続きを話したり、人間関係をつくったりしようというような日本的な習慣はあまりありません。基本的に仕事を離れたらドライな人間関係だと思った方がいいでしょう。仕事が終われば、残業をする必要はありませんし、契約で決められている休みに関しては、取りやすい傾向にあります。一方で、働いているときに、「行間を読む」とか、「あうんの呼吸」といったものは通用しません。
3.英語を使ってグローバルな活躍ができる
外資系企業では、英語はマストです。トップを含め、一定数の外国人社員が働いていますし、本国や他国の支社とのやり取りも通常は英語になってきます。ある程度以上の英語がないと、通常の業務にも差し支えてしまいますから、ビジネス英語は不可欠になります。
グローバル企業も多い外資系企業ですが、場合によっては商品開発や設計といった業務は本国のみで行われている場合もあります。単なる代理店的な機能のみである可能性もあるので自分のしたい業務が、日本支社でも行われているのかは確認しておいた方が良いでしょう。
世界中の有能な人と、切磋琢磨し合い、次々と新たなアイデアを実行していける、自分が描く新たなビジネスモデルをグローバルに実現できる可能性があるという点も、魅力的です。そういった考えがあるなら、挑戦するのは良いことでしょう。
4.人事評価は成果主義
チームで仕事をすることもありますし、自分一人で行う仕事もあり得ます。どちらにしろ、自分がどういった点で貢献し、形となるこういった成果を上げたから、評価してほしい、とアピールしなくてはなりません。短期的な評価になることも多いので、じっくり成長を見てほしいという方にはお勧めできません。また、日本的な謙譲の精神といったものは通用しません。
5.ハイレベルな賃金体系
外資系企業は、成果を賃金に反映するため、日本企業に比べるとかなり高いお給料をもらえる会社が多いです。ただ、ずっと働き続けられる可能性が低い、という点は、注意ポイントです。外資系にしろ、日本企業にしろ、働き方や企業風土が自分に合わない会社だと、就職してから、つらい思いをします。いくらお給料が高くても、それだけではモチベーションを保てないこともあります。他者と競争しても、バリバリ仕事をしながら、見合った評価、賃金が欲しいと思うなら外資系も良いでしょう。
早く成長して、将来は独立したいと思うなら、やはり、外資系の方が近道です。チームワークを大切にして、働きたい、ずっと同じ企業で働いていきたいと思うなら、日本企業の方が向いているでしょう。自分の適性を見極めて、企業選びをしましょう。
就職協定は、基本的に経団連に加盟している企業に縛りがかけられるものです。そのため、外資系企業は独自の採用スケジュールを持っていることが多くなっています。特に、外資系の金融企業は、3年生の夏のインターンシップで募集を開始することが多いと言われています。このインターンシップに参加しそこなうと、採用活動に参加できなくなる場合もあります。通常の日本企業の就職活動よりはかなり早く、内容も厳しいものになっていますから、スケジュールには気を付けておきましょう。
スケジュールの面では、インターンシップの申し込みは3年生の5月や6月に始まり、いっぱいになると募集が終わってしまいます。考えている間に、応募できなくなってしまうこともあるので気を付けましょう。企業のホームページから申し込みをすることが多いので、志望する企業のホームページは、時期になったらこまめにチェックしましょう。
外資系企業では、英語を絡めた選考が入っていることがあります。エントリーシートから英語だったり、英語でのグループディスカッションや、英語面接などです。TOEICのスコアを指定している企業もあります。ですから、英語ができるに越したことはありません。ただ、それでも、日本で展開している企業ですから、顧客は日本人がほとんどになります。日本語のコミュニケーション能力は、英語以上に見られます。面接の際には、日本企業ではそれほど多くない、逆質問の面接が多いのも特徴です。自分が、質問し続けなくてはいけないということは、企業研究や業界研究をきちんとしておかなくてはいけないということです。企業によって内容は違ってくるので、OB、OG訪問をした際や、その企業を受けた先輩たちに、選考過程についても尋ねておくと良いでしょう。