サラリーマンが主役のドラマは数多くありますが、多くが営業職についているのにお気づきでしょうか。あの「半沢直樹」は融資課から営業二課に栄転し、「釣りバカ日誌」の浜ちゃんが入社して配属になったのも営業、「HOPE」 の舞台も営業3課、「営業部長 吉良奈津子」は、広告会社の営業部長……。営業は、身近に感じられるからでしょうか。果たして、本当にドラマに描かれているような職業なのでしょうか。志望者も多い職種、営業職とは、どのような職なのでしょうか。どういった人が向いているのでしょうか、考えてみましょう。
営業という言葉を、「流通用語辞典」で引いてみました。「営業」とは、「広義では企業などが利益を得るために事業を行うことであり、営業活動、営業時間などといった使い方をする。狭義では、生産や製造などと同様に、販売活動や販促活動を中心とした顧客を対象とする業務を意味する」つまり、営業とは「売り上げ、利益を作り出すために行う活動全般」を指します。販売との違いは、営業活動の売る部分だけを受け持つのが「販売」で、「営業」は「販売活動や販促活動を中心とした顧客と関わる業務すべて」を指します。営業は、販売につなげるための活動全般を含みます。
企業がどんなにすばらしいサービスや製品を開発したとしても、売れなければ何の価値もありません。営業は、「企業の顔」、「最前線」という言い方をされるのは、そのためです。営業は、顧客あってのものですが、顧客は2種類に分けられます。「法人」と「個人」です。BtoB、BtoCという言い方をしますが、前者が「法人営業」、後者が「消費者」、「個人」を対象としている「個人営業」です。
営業職の仕事について考えてみましょう。営業は花形だと言いつつも、「営業はきついから避けたい……」という人が多いのも事実です。なぜそう言われるのでしょうか。
営業職の大変な点1:顧客との信頼関係を構築するのが大変
営業の仕事は、お客さん(法人であれ個人であれ)と会ってナンボの仕事です。インターネットを使えばほとんどのものを購入できる現代において、敢えて営業をかけてきた人から物を買うというのはどういう状況でしょうか。インターネットにない、「信頼、安心」というものがあるから、ではないでしょうか。営業職にある人は、顧客の信頼を勝ち得なくてはなりません。そのためには、まず会う必要があります。営業は、日中は「顧客」や「顧客になりえるお客様」と会って商談しなくてはなりません。その後の事務仕事やアフターフォローや準備は、お客様の就業時間後に帰社して行うことになります。そのため、残業が多く、大変だと思われるのかもしれません。
営業職の大変な点2:取引のない企業に0から営業する苛酷さ
営業の方法によるイメージもあるかもしれません。「新規開拓」は、どうしても飛び込みになることが多く、見知らぬ企業や人に会って、売り込んでいくという活動が苦手な人にとっては、きついと思えるのかもしれません。
ここまでは、営業のマイナス面について言及してきましたが、もちろんプラス面もあります。プラス面はどういったことか見ていきましょう。
営業職のプラス面1:時間を自由にコントロールできる
営業は、時間を自分でコントロールすることができます。直行、直帰といった形で、会社に行ったり、戻ったりすることなく比較的自由に時間を使うこともあります。デスクの前にずっといる必要がないといった自由があります。
営業職のプラス面2:顧客に直接感謝される
顧客と直接会うため、感謝される時にも、直接聞くことができます。営業の仕事はただ売る仕事ではありません。肝心なのは、相手にとっても自社にとっても利益になる売り方をすることです。押し売りでは、次につながりません。そのためには、ただモノやサービスを売るのではなく、自社の製品を売ることによって顧客の利益を増やし、結果として自社が利益を得る必要があります。こういった形で営業を行うなら、顧客に喜んでもらうことができます。相手が喜ぶ手助けをできるというのは、営業の醍醐味です。
営業職のプラス面3:人脈ができる
営業活動を通して、顧客になる可能性のある人たちも含めて多くの人に会わなくてはなりません。ですから、その過程で多くの人と知り合うことができます。
営業職のプラス面4:人間として成長できる
これは営業職に限らず、全ての職種で言えることかもしれません。営業の仕事は、多岐に渡り、商品に関しては開発者に近い知識を覚えておかなくてはなりません。また、顧客に関して調べ知識を蓄えておく必要があります。門前払いされても諦めないチャレンジ精神や忍耐力といったものも必要になります。
営業職に向いているのはどのような人でしょうか。どういった資質があると良いでしょうか。
1.コミュニケーション能力
営業職で最も必要なものの一つが、顧客との信頼関係。信頼関係を築くためには、コミュニケーションを取る必要があります。自分が話すよりも、相手の話を聞けること、本音を引き出す力といったものが必要になります。
2.マネジメント能力
営業職は、時間が自由になる部分がありますが、自分で予定を埋めていかなければならず、セルフマネジメントをしなくてはいけません。息抜きができるのも営業職の良いところですが、仕事をした上での息抜きですから、顧客と会う時間や移動の時間等、きちんと計算して自分でマネジメントしていく必要があります。
3.マーケティング能力
営業活動の多くの部分を占めるのが販促・販売活動です。自社製品を売り込むために、必要情報を収集し、相手の状況とのすり合わせを図らなくてはなりません。その上で、必要なアプローチをかける必要があります。企業によっては、マーケティング部がある所も多いですが、得た情報を活かせるのは営業部です。
4.プレゼン力
一般的に営業と言われている、商談、交渉の際に必要とされる能力です。最も効果的な形で、提案を行っていく能力です。それまでの調査やそれに基づく分析、顧客との築き上げた関係といったものを総合的に利用して、顧客に反映させる力であるともいえます。
5.フォローアップ力
営業活動がうまく進み、契約に至るまでには様々な詳細があります。それらを確認していく力も必要になります。また、契約後の顧客フォローも必要です。営業活動がうまく行かなかった際に、問題点を見つけて次に活かしていくことも必要になります。
営業職はやりがいのある仕事です。しかし、適性が全く違うところにあるならば、希望しない方が良いかもしれません。定時で帰りたい、お酒を飲むのは苦手、人と関わるのは最小限にしたい、といった人にとっては、営業職は地獄のように思えるかもしれません。ただ、企業が営業に配属してくるならば、あなた自身が思っているよりも、適性があると判断されたということですから、営業職に必要な資質のうち、弱いところと強いところを抜き出して、自分の売りと言える部分を軸に、頑張りましょう。
営業職で内定をもらいたいと思ったら、どういったことを打ち出していけばよいでしょうか。まずは、営業職に必要な資質を磨くようにしましょう。就活は、自分自身を売り込む営業活動であるともいえます。自分を志望先企業が取ることによって、どれほどの利益が生まれるのかを、相手に納得してもらえたら、営業成功です。また、営業職には、「きつい」というイメージがあり、やめてしまう人がいるのも事実です。自分は、「辞めない、営業活動に喜びを持てる」というのを打ち出せるなら、内定に近づくでしょう。現実に、断られることもある営業活動、常にうまくいくわけではないのが当たり前ですから、そういった際にも、プラス思考で進んでいける力を今から身に着けておくのも良いかもしれません。