就職活動を頑張るのは、今後の人生のためですが、初めての就職活動が大変なあまり、気づいたら本来の目的を見失って「内定を取ること」に必死になってしまっているなんてこともあるようです。しかし、人生は長いです。就職活動も大変ですが、就職してからの方が色々なことが起きます。10年後も生き残るために、今、どのような仕事を選んだらよいのか、ポイントは何か考えてみましょう。
10年後、何をしていると思いますか? 今志望している会社で中堅社員としてバリバリ働いている自分でしょうか。それとも、会社に入って5年目に結婚して、2人目の子供の育児休暇中でしょうか。入った会社は辞めて独立起業しているかもしれません。あなたのイメージする10年後と、企業が新卒採用の社員の10年後に求めるものが近ければ、ミスマッチが少なく、双方にとって幸せなことでしょう。そういった状況であれば、すぐに入った会社を辞めるということもなく、5年10年と仕事を続けることができます。
自分の将来を決めるのは、自分でしかありません。外的要因は色々ありますが、どういったことにも対処するのは自分です。まずは、自分の将来像、キャリアイメージを考えてみましょう。人によって、何が大切なのか、どういった人生を歩みたいのかは違います。自分にとって、どのような状況が理想なのかを考えてみましょう。
1.地元企業で長く働きたい。自分が育った場所で家庭も持ち、子育てもしながら仕事を続けたい。
2.自分の専門性を活かして、やりがいのある仕事をしたい。会社で評価されるような仕事をして、昇進したい。
3.新たな人脈、新たな経験を増やして、独立して自分の理想とする企業をつくりたい。
4.最初は企業で働き、スキルを身に付けて、子育て期にはSOHOやクラウドなどフリーで働きたい。
どのキャリアイメージも正解です、あなた自身の描いたものであるならば。まずは、自分の特長、性格、興味、価値観を基に、キャリアイメージを考えましょう。
キャリアイメージを持ったら、どういった企業で、それが実現できるかを考えましょう。
1.「安定を求め、住んでいる地域から離れずに子育てもできる環境で働き続けたい」
と考えているならば、大きな転勤のない地元の企業で、産休や産後の補助制度などの福利厚生がある企業を選ぶ必要があります。
2.「自分の専門性を活かしてやりがいのある仕事がしたい」
と思うなら、専門性を活かせる業務内容がある企業を選ぶ必要があります。
3.「新たな人脈、新たな経験を増やして、独立して自分の理想とする企業をつくりたい。」
と思うなら、自分の理想とする企業の役に立つ経験や人脈作りができる企業を探さなくてはなりません。社内公募型で独立を支援するシステムのある企業もあります。
4.「スキルを身に付けてから、子育て期にはSOHOやクラウドなどフリーで働きたい。」
フリーランスで働くスキルを身に着けるためにどの業界、企業が良いのか、自分に向いている業種はどういったものかを研究する必要があります。例えば、IT関連の企業は、教育も充実しているところが多く、何年か働いてスキルを身に着けてからSOHOを作り、クラウドソーシングを通して仕事をする、というキャリアプランが立てやすい業界かもしれません。
自分のキャリアイメージと合っているかという点と同じくらい大切なのは、その企業が将来的にどうなっているのか、そこで自分がどのような位置を占めているのか、という点です。同じ企業で働き続けるつもりなら、その企業が10年後に続いているのか、発展しているのか、自分がそこでどのようなポジションにいるのか、といった動向を予測する必要があります。
あなたの志望先は、10年後にどうなっているでしょうか。実は、最近の社会動向を考えるとこの予測は非常に難しいです。大企業であれ、必ず10年後に発展を続けるとは言い切れないというのは、ニュースを追っていれば明らかです。ただ、どういった理念を持って企業活動を行っているのかは、見ることができます。企業が生き残りのために行っている企業活動が、あなたなりに考えてみてふさわしいもので、今後10年20年と続いていくものであるかを、考えてみてください。
日本は少子高齢化しているといわれて久しい現在、日本の市場は変容し、市場規模の縮小は必然の状況になっています。少なくとも10年後は、高齢化がもっと進み、人口も減ると予測されています。多くの企業がこの状況を受けて、グローバル化を図っています。業務内容がグローバル化するのに伴って、採用もグローバル化しており、新卒採用の外国人率が上がっています。これは、日本人の学生にとって、採用枠が減るというマイナス要因のようにも見えますが、実は「日本人スキル」を売り物にできるというプラス要因にもなるのです。そうであれば、グローバル化すればするほど、企業の日本企業としてのアイデンティティ、日本人社員としてのアイデンティティを打ち出す必要が出てきます。
東京オリンピックの招致活動で使われた「おもてなし」のように、「日本人としての高いクオリティ」への需要は変わらないはずです。日本独自の機微をわきまえたサービス精神、細かいところまで気を配る職人気質、和を尊ぶチームワークの精神など、日本人の良いところである部分をもった、「クオリティの高い日本人力」を企業は求めるようになっています。この資質は、日本市場で生き残っていくために必要なものの一つになりつつあります。
企業の今後を予測することが難しい不透明な時代である現在、10年後に生き残っているために大切なポイントは2つあります。
1.企業の状態がどうなったとしても求められる人材になる
そのためには、企業活動の本質にかかわる仕事で専門性を高める必要があります。「高い日本人力」はその一つです。営業活動であれ、人事や総務といった社内向きの業務であれ、企画や広報といった部門であれ、日本人として当たり前の考え方をもって、求められている行動をとれる人材であること、ビジネス社会で通用する日本人力を磨き続けることは肝要です。人とのコミュニケーション力を高めることができるなら、営業であれ、人事であれ高いパフォーマンスを見せることができます。
2.変化に対応する力‐フレキシビリティ
企業自体がどうなるかわからないと言いましたが、企業は存続しても大きく業態を変えることもありえます。そういった変化に対応することができるならば、将来の不透明さはそれほど恐れるに足りません。万が一、入社した企業で働き続けられない事態になったとしても、他の企業に移る、もしくは、独立起業する、フリーランスになるなどの選択肢は常にあります。
企業を選ぶ際には
1.自分のキャリアイメージを達成できる要素を持っている企業を探すなら、働き続けるのが容易になります。
2.グローバル化する企業活動の中で「高い日本人力」を含め専門性を磨き続けるなら、求められる人材として働き続けることができます。
3.「フレキシビリティ」をもつなら、変化が起きても対応することができます。
入社した企業で働き続けることも大切ですが、それが不可能になった時には別のフィールドに立つことができると前向きに考えて頑張りましょう。