(※このコラムは、2015年6月12日に2016年卒学生対象メディアの就活NEWSにて公開されたものです。)
こんにちは、勝間和代です。
就活コラムの2回目、前回は、人気職種に能力のマッチングも考えずに子どもサッカーをして突進してはいけない、という話をしました。
2回目は
「就職先はあなたの何を見ているか」
です。
では、ここで、質問です。企業にとって、一番重要なのは経営者ですが、次に重要なポストはなんでしょうか。私は
「人事責任者」
だと思っています。なぜなら、将来予測は基本的にはできないし、環境は変化していくので、社員が自ら市場を開拓し、業務を考え、効率化をしていかないと企業が存続できないからです。
人事がまっとうなら、営業、企画、会計、総務、管理、研究開発その他、大したことはおきません。そして、まともな人事の人なら、単に採用するだけではなく、育成することも大変重要だと言うことを知っていますので、採用した人材を伸ばすことに注力してくれます。
なので、優れた人事責任者と、その下に属する部下がいる場合は、就職のテストや面接も非常によく練られており、たかだか学生の小手先のテクニックは通じません。逆に、小手先のテクニックが通じてしまうような人事に採用されることは、あなたにとって、とんでもないリスクです。それは、とんでもない人事がそういう権限をもっている、ということです。
したがって、とにかく、就職のテストの時には
・必要以上の卑下もしないが
・必要以上の誇示もしない
という等身大の自分を見せる必要があります。学生時代のさまざまなエピソードも、就職のためにあえてやったことではなく、自分がやりたくてやったことを中心にしてください。
私も歴代、勤めていた会社で面接官を務めていましたが、面接官はさっき言ったような、人事を大事に思っている会社は
「その面接官が採用した人の業績」
というのを監視してまして、その人が面接に関して、目利きかどうかも査定していて、目利きができない人は人事から外してしまうようなことも行われています。
採用基準という本を著し、マッキンゼーの人事を長年担当していたことで著名な伊賀泰代さんに私もマッキンゼーの入社の時に面接試験を受けましたが、とにかく、自慢じゃないですが、
・マッキンゼー
・コンサルタント
の仕事についてまったく前提知識のないまま面接に向かい、模範解答はまったくしませんでしたし、ロジックに従った話も何にもできませんでしたが、伊賀さんが私を採用しようと思った一番の理由というのは
「とにかく、頭の体力がある」
ということだったそうです(笑)。
何を聞いても、とにかく、ロジックや事例はしっちゃかめっちゃかでも、「まだありますか、ほかにアイデアないですか」という追加質問に対して、「答え続ける」ということが目にとまったそうです。スカッシュラケット担いで、ロングのパーマの髪で、紫のスーツ(!)を着ていても、面接官にとっては関係ないのです。
第1回では、あなたの得意なことが生きる会社や職種を探すのがいいというアドバイスをしましたが、面接では、
「あなたが何が得意か」
ということが相手にわかるような受け答えを心がければいいわけです。
私たちの言語、そして、非言語の情報というのは、驚くほど多くの情報を相手に渡しています。その中で、熟練の人事担当であれば、
・その人が自分の会社のどのポジションでどれくらい活躍できるか
ということを見抜けるわけです。だから、あなたのしなければいけないことは、飾らない情報を相手がこちらを理解できるよう、提供することです。
そして、横柄な人事担当であったり、こちらの強みを理解してくれない人事担当者とは、
「相性が悪かった」
と割り切って、お別れしましょう。そこに就職しても、どちらも不幸になるだけですから、事前にわかってよかったと思います。
ちなみに、マッキンゼーの面接官でもっとも評判悪かった学生は
・生半可にビジネスやコンサルティングの勉強をしてきて
・それを蕩々と述べる
人たちでした(笑)。付け焼き刃であることがすぐにわかってしまうので、こちらもしらけてしまうのです。
一方、ほんとうに学生時代に起業している学生などの事業モデルや具体的な数字、実績などは真剣に聞いていました。
そう、あなたの本物の経験に面接官は興味を持っており、後から上乗せしたような一夜漬けのやりとりはいらないし、そういったものにだまされる人事がいるような会社には逆に入ってはいけないのです!!
勝間 和代(かつま かずよ)
1968年東京生まれ。経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授。
早稲田大学ファイナンスMBA、慶応大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。
現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授として活躍中。
ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出
エイボン女性大賞(史上最年少)
第一回ベストマザー賞(経済部門)
世界経済フォーラム(ダボス会議)Young Global Leaders
少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上、など、幅広い分野で発言をしており、ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている。Twitterのフォロワー61万人、FBページ購読者4万6000人、無料メルマガ4万7000部、有料メルマガ4000部などネット上で多くの支持者を獲得した。5年後になりたい自分になるための教育プログラムを勝間塾にて展開中。
著作多数、著作累計発行部数は500万部を超える。