面接が進むにつれ、採用担当者から聞かれることが多くなる「なぜ同業他社ではなく当社を志望しているのか?」という質問――。過去、就活を経験した先輩方の中には、第一志望でやる気があったにも関わらず、具体的な理由を問われて答えに詰まってしまったという人も多いようです。
企業はなぜ、このような質問をするのでしょうか? それは、あなたの「本気度」を見ると同時に、「企業研究の深さ」を確認したいから。ここでもし、曖昧な回答をしてしまった場合、「それなら他社でもいいよね」などと突き返されてしまうこともあるのです。
2025卒のみなさんは、この質問に答えられるほど、じっくり企業研究できていますか? それぞれの企業について一度調べたつもりでも、それらを“比較”するところまで出来ていなかったという人もいるのではないでしょうか。
就活は、ただ「好きだから」だけでは受かりません。「なぜその企業を一番に志望するのか」理由をしっかり説明できることが重要なのです。そこで今回は、企業比較に便利なチェックリストを作ってみました。今後この質問をされたときは堂々と答えられるよう、ぜひこの記事を参考に、志望企業への理解を深めていってくださいね。
〈ダイジェスト〉
1.業界研究はここをチェック!
2.企業研究はここをチェック!
ー(ⅰ)会社概要
(ⅱ)事業内容
(ⅲ)仕事の内容
(ⅳ)労働環境
3.「なぜ同業他社でなく当社なの?」に対する回答例
それではまず、企業比較をはじめるために、以下のものを準備してください。
準備するもの……パソコン、ノート&ペン、業界・企業情報が書かれた資料
この記事をパソコンのExcelなどにコピー&ペーストして、どんどん答えを記入してみてください。手書きのほうが、頭が働いて作業しやすい人もいるかと思いますので、ノートとペンも用意しておきましょう。
答えを書く欄は、余白を多めにとっておくことをオススメします。一度記入した後も、思いつくたびに何度も書き足せるようにしておきましょう。
企業比較の前に、まずは志望している業界のことをおさらいしましょう。下記に挙げたチェックリストの答えを埋めていき、業界の全体像を再度チェックしてみてください。
・業界の特徴 ・業界の現状 ・業界の将来性 ・業界内の相関図 ・業界の国際性 ・業界の景気動向 ・業界が社会に与える影響 |
では、ここからが本番! 志望業界の企業を比較してみましょう。有名な企業、個性のある企業、大企業、中小企業など、複数社を並べて見比べてみると、よりそれぞれの特徴が浮かび上がってくるはずです。
自分がなぜその企業に就職したいのかえを改めて考えるためにもなるべく多くの違う特徴を持った同業の企業との比較をしてみましょう!
【会社概要】
・経営理念 ・売上推移 ・社会的評価 ・市場シェア ・国際性 ・従業員数 ・業界内ポジション ・社員インタビュー |
【事業内容】
・商品・サービス ・顧客ターゲット ・事業戦略 ・将来の展望 ・他社にない強み ・他社に劣る欠点 ・他社と違うアピールポイント ・取引先企業 |
【仕事の内容】
・職種 ・業務内容 ・勤務地 ・関わる人々 ・誰の役に立つか ・やりがい |
【労働環境】
・社風 ・評価制度 ・研修制度 ・給与・手当 ・休日 ・勤務時間 ・福利厚生 ・離職率 ・男女比 ・産休、育休取得率 ・有給取得率 ・他社にない魅力 ・役員、管理職の男女比 ・社員の平均年齢 |
全体が把握できたら、次に具体的な回答を考えてみます。その際、ポイントを絞ってから内容を深めるのが、説得力を深めるコツです。また、回答には必ず志望動機を絡めること。自分なりの視点を入れて「本気度」をアピールしましょう。
●回答例1……特徴的な事業戦略を理由にする場合
志望企業が業界内での特徴がしっかりしている場合、そこにフォーカスを当てて説明することにより「業界・企業研究をしっかりしている」と評価してもらえる可能性が高まります。例えば、「業界内で圧倒的なシェアを誇っている」「特に○○の分野で強い」「△△の技術力で今後の成長が期待できる」などがこれに当てはまるでしょう。さらに、その内容に自分の志望動機を絡めれば、説得力のある回答ができるはずです。
「私が御社を特に志望する理由は、( マレーシアに留学をしていた経験)を活かして、(アジアの発展に貢献 )したいからです。御社は、○○業界の中でも特に○○の分野で、日本のみならず、海外の人々からも愛される(商品 )を多数開発されています。また、業界で唯一(マレーシアに進出 )するなど(アジア戦略 )に力を入れており、非常に(将来性がある )会社だと思いました。実際(マレーシアの友人に御社の商品について感想を聞いた )ところ、(とても可愛くて使いやすい )と評判で、(教えたことを感謝された )されたほどです。私は、(民族を超えて誰とでも仲良くなれるコミュニケーション力)があると自負しておりますので、ぜひ御社で(アジアの人々を喜ばせる仕事 )をしたいと思い、業界の中でも一番に志望しております。」
●回答例2……企業理念や社長の信念を理由にする場合
企業理念や社長の信念などに特徴がある場合は、そこにどれだけ共感したのか、自分なりの考え方を合わせて伝えましょう。そしてその企業理念をどのように事業として実現させているのか、出来る限り具体的に例を出すことで、企業研究ができているということをアピールできます。
「私はこれまで、何事も(初志貫徹 )をモットーに行動することを心がけてきました。御社は(山の幸で人々を幸せにする )という設立当初からの企業理念を(50年)貫きながら進化を続け、売上を伸ばしています。特に、(いち早くインターネット販売)に取り組み、(ふるさとネット販売大賞を受賞)するなど、(全国のお客さま)に(美味しいものを提供する)ために挑戦し続ける姿勢は素晴らしいと思いました。また、(生産者の方)との(真剣なやりとり)を(詳細に伝える)(森田社長のブログ)からは、(お客さまの笑顔)のために(一切妥協しない信念)が伝わってきて、大変感銘を受けました。私は(15年間)(柔道)を続け、(継続力)と(体力)は(誰にも負けない)と自負しております。その強みを、今後は(尊敬する森田社長のもと)で、全力で活かしていきたいと思い、第一志望とさせていただきました。」
いかがでしたか? 「なぜ同業他社でなく当社なの?」という質問に対する回答の仕方がイメージできたでしょうか?
この質問であなたの本気度を伝えるためには、他社比較が大事だということがわかっていただけたかと思います。他社比較をすることによって、自分の中でもどうしてその業界、企業に魅力を感じたのかということを整理することができるようになります!
よりその企業が好きになったり、逆にもっと良い企業を見つけたりすることもあるかもしれません。ぜひしっかりと比較して、最後まで納得のいく就活をしてくださいね。