国立大学に通っていた、社会人1年目の女性の話。サークルの友人に、なかなか内定をもらえないことを相談していたら、なんとその友人に内定の“枠”をとられたかも!? そんなことってある??
確かに就職活動において、就活生はみんなライバル。信じるべきは自分であることは間違いないのですが……。その女性が、そう思った理由とは? そして、その後女性がとった行動は……。
私が就職活動をしたのは、去年。理系なのですが、なかなか内定をもらえなかったんです。研究室のコネというか、なんとなくの「枠」もあるのですが、なるべく使いたくないなあと思っていたら、全然面接に合格せず……。
面接で落ちるのって、割とメンタルやられちゃうんですよね。私の何がダメなのって。ペーパーテストで点数が悪くて、合格点に達していません、みたいなことなら納得もできるし、何を勉強すればいいかということも明確にわかるのですが、面接だと、みんな「相性」とか言うじゃないですか。でもそれって、人格を否定されたような気分になるんです。
それで、相当落ち込んで。理系で、なんとかなると思っていたのが災いしているのは間違いないので、自業自得なんですが、焦りばかりが募っていました。前向きに対策をとろうとしても、何をしたらいいのか全然わからなくて、サークルの男子学生に相談というか、愚痴を聞いてもらっていました。
そんななか、私の所属する研究室の先生ではないのですが、学生にとても人気がある先生のことを思い出したんです。あの先生なら話を聞いてくれそうだというのと、私がどうしても入りたかった企業とのパイプが強いような噂もあったので、心の何処かで、“もしかしたら具体的に、採用担当者に繋いでくれるかも”なんて思っていました。完全に甘えですが、この期に及んで、使えるものはなんでも使おうというか、すがろうとしたんですね。
で、先生に相談するまえに、先ほどの友人に話しました。「今度この先生に相談しに行こうと思っている。何かパイプがあるらしい」と。その時は「へえ~」という反応だったのですが、直後、彼から、私の狙っている企業に内定が決まったと聞きました。心底羨ましくて、「良かったね」というと、「実はオレもあの先生に相談していた」って言うんです。
本当に偶然なのか、それとも私が相談したために、そこで先生とその企業のつながりがあることを知って、何くわぬ顔で私よりも早く先生のところに行ったのかと、疑心暗鬼になりましたね。いろいろとガッカリしました。
結局自力でなんとかするしかないと悟った私は、やぶれかぶれでした。就職浪人をするのは避けたいと思っていました。家の事情もあり、自分の生活費は早く自分で稼ぎたいという思いと、就職浪人したら、性格的に、絶対ズルズルと“ダメ”になっていきそうだったからです。
とにかく手当たり次第に面接を受けました。完全に、「素」での体当たりです。もう面接を受けさせてもらえるだけでも有り難いというような状況で、面接に行ける企業のことは徹底的に調べ、そこで働くなら、自分はどういうことを望むのかを必死で考えました。といっても、フワっとしたものです。「こういう社会になったらいいなと思う」「個人ではできない、この会社ならではの、こういうチームとして、こういう風に人が喜べるようなことをしたい」というような。
そうしたら、一社だけ内定をくれた会社があったんです。でも当時の私にとって、そこは積極的に行きたいというよりも、いわゆる“保険”っぽい感じの会社でした。選んでいる場合じゃないのに! なので、「まだ、他にも受けたい」ということを正直に伝えました。内定が取り消されるかもしれないというイチかバチかでしたが、ウソがつけない性格というか。そうしたら、「いいですよ。待ってます。どちらにするか連絡ください」って言われたんです。
その後、ギリギリまで就職活動をしましたが、結果的に追加では一社も決まらず、先の会社に行くことにしました。第一、第二志望ではなかったとしても、「自分の素をさらけ出して、それで採用してくれるっていうんだから、きっと自分にとっていい会社なんだろう」と思えたんです。人事の人も、「そうか!じゃあ一緒に頑張ろうな!」って言ってくれました。小さなことですが、その「一緒に」という言葉が、どれだけ嬉しかったかわかりません。
そして今。おおらかな、風通しの良い社風が私に合っているのか、とても幸せな会社員生活を送っています。会社に入ってみて思うのは、何をやるかも大事ですが、働く人を重視することも大事だな、ということ。一緒に働く人と価値観、考えが合わなかったら、私は何をしていても楽しく思えないと思うんです。だから、自分のやりたいことで頭をガチガチにするのではなく、人事の人と話が合った、「この人がいる会社で、一緒に働きたい」という印象を大切にするのも“有り”。そしてそういう人が、案外自分の思ってもみない職種や業種にいる場合もあるものです。
もし、面接に落ち続けている人がいるとしたら、それはもっとほかに自分を待ってくれている会社があるということなのかも。そう、「相性」って本当なんです(笑)。凹む必要なんて全然ない。でも、学生の側にしてみたら、キツいですよね!? 反省点を振り返りつつ、視野を広げてみると、良い出会いがあるかもしれません。