バブルよりも以前は、一般職といえば、高卒・短大卒の女性がメインの「枠」でした。ところが近年は、早稲田・慶応などのいわゆる“高偏差値大学”の女子学生の間で、一般職を目指す人が増えているという話を見聞きしないでしょうか。一般的にキャリア志向のイメージが根強い彼女たちはなぜ、そのような選択をしているのでしょうか。
現在31歳のSさん(国立大学卒、メーカー総合職勤務)が、今の“高偏差値女子一般職ブーム”を分析してもらいました。
――Sさんは、どうして総合職として就職したのでしょうか。
「私の場合は、総合職も一般職も受けたものの、結果的に内定をいただけたところが今の就職先であり総合職だったのでです。
私の場合、この会社なら一般職がいいな、ここなら総合職がいいなという感じで、特に最初から“絶対に一般職じゃないといや”あるいは“総合職じゃないといや”というようなこだわりはありませんでした」
――なるほど。高学歴の女子学生たちに一般職が人気だということは、実感としてありますか?
「実感はすごくあります。 私を含め、時代的に、“自分の時間”を大切にし、“生活”を丁寧に送りたいという考えの人が増えている気がします。そのなかでどんな女性も、自分が“余裕”のもてる範囲で仕事をこなしやすい職を目指すのは、当然といえば当然だと思います」
――自分の“余裕”とはどのようなことですか?
「例えば、結婚や出産なども視野にいれたとき、自分の生活がどのように変わるかわからない。そうしたときに、自分のスキルさえ磨いておけば、休業したり復帰したりしやすい職場(職種)がいい。また、仕事で寝る暇もなく、結果的に体を壊して、さらに精神的なゆとりももてなくなるのは避けたいな、という思いがあります。
そういったもろもろの面において、“遊び”の部分を残しておきたいというか、そのような女性が増えているのだと思います」
――一般職の枠も限られています。競争率が激しくならないのでしょうか。
「もちろん激しくなっていると思います。特に大手企業に入社をして一般職になれる相当数も限られていますし、今や早慶などの高学歴といわれている学校でさえでも、昔に比べて女子学生の割合が増えていますからね」
なお、Sさんの勤務する会社では一般職で入社しても、総合職に転換できる制度もあるとのことですが、実際はかなりの激戦区になることは必至とのことです。
結婚や出産などの将来を見据え、長期的に働ける環境や転勤がない勤務を希望して一般職を目指す女子学生が増えている一方で、当然ながらキャリアアップを目標とする女子学生も多数存在しています。
仕事を選ぶ際には、自分のキャリアプランの中で重きをおく点は何なのかを明確にしておくことで、自分が描く人生プランにも近づくことができるのではないかと思います。