Aさん
「御社のおもちゃが子どもの頃から大好きなので、働かせてください!」
就活でよくやりがちな『大好きアピール』。あなたも志望動機などで、このようなアピールをしていませんか。
たしかに人は、好かれて嫌な気持ちはしないものです。しかし果たして企業にとって、これだけであなたを採用して何かメリットがあるでしょうか……?
Bさん
「私は御社の知育玩具が素晴らしいと感じています。しかし、高齢化社会の今、大人向けの商品はまだまだ課題があると思いました。私が入社した際は、高齢者向けの玩具でも業界を牽引し、多くの方が豊かな老後を送れるような商品を開発していきたいと考えております。介護福祉を専攻してきた私なら、そのために貢献することができます。」
いかがでしょう。
あなたが人事担当者だとしたら、Bさんを採用したほうが、自社の将来にメリットがありそうだと感じませんか?
このように就活では、自分という“商品”をいかに売り込むか、戦略立てて挑むことが大切です。これは、企業における「マーケティング」や「制作」、「営業」などの仕事と似ていますよね。そう、就活はある意味、社会人になるための予行練習でもあるのです。
そこで今回は、社会人が“商品”を売るために心がけていることの中から、就活で使える7つのポイントをご紹介します。
〈ダイジェスト〉
1.現状・競合・ターゲットの分析をする
2.根拠・数値・メリットを示す
3.読み飛ばされない工夫を凝らす
4.自分の平均値を把握し、行動目標を立てる
5.短所は隠さず、長所にフォーカスする
6.「商品」が売れなくても「自分自身」を否定しない
7.小さな成功体験を自信につなげる
就活でまず行うのが、自己分析と業界研究ですが、これは「マーケティング」の仕事に似ています。「マーケティング」とは、消費者の求めている商品を分析し、これから売る商品や販売方法などを考えること。ポイントとしては、【1】現状 【2】競合相手 【3】ターゲットに注目することが重要です。
では、就活においては、どのようなマーケティングが必要でしょうか。
●商品=自分
【1】現状……今の自分(=自己分析)
【2】競合相手……ライバルの就活生たち
【3】ターゲット……志望企業(=企業研究)
この中で、特に就活生が見落としがちなのが、競合相手の分析ではないでしょうか。自己分析を一人でしていると、どうしても視野が狭くなりがちですが、他の就活生たちと比べることによって、自分の強みが見えてくることがあります。
例えば、自分があたりまえだと思っていたことを他の人に褒められた経験はありませんか? あるいは、他の人に対して「どうしてできないのだろう」と不思議に思ったことはないでしょうか?
「気が利くね」「勇気があるね」「冷静だね」など、全く自覚していなかった部分が、周囲から見ると他の人にはない“長所”だったという場合もあります。そしてそれは、企業にとって“買う理由”になりえる可能性を秘めているのです。
このように、自分の視点だけでなく、もっと俯瞰して他人と比べながら“商品”の分析をすることは、「マーケティング」においてとても重要なことです。ぜひ、家族や友人、バイト先の同僚などにインタビューして、自分の印象を聞いてみましょう。
人は、買うためには“メリット”を求めます。買う理由がなければ、わざわざ話を聞くのは時間のムダになるので、早めにお断りしますよね。売るためにはその商品をオススメする“根拠”が必要です。そのためには、“数値”などで説得力を持たせると効果的です。
では、この二人の話を見比べてみてください。
Aさん
「頑張って宣伝したので、たくさんのお客さまが来てくださいました。」
Bさん
「たくさんの方に知っていただきたいと考え、SNSとビラ配りで宣伝しました。その甲斐あって、1ヶ月で7260人のお客さまが来てくださり、前月比29.8%の売上増となりました。」
二人は、同じ出来事について話をしています。しかし後者のほうが、圧倒的に仕事が出来そうだと感じますよね。人事担当者がこれだけ聞いたら、ほとんどの人がBさんを選ぶのではないでしょうか。
あなたは欲しいモノがあったとき、すぐにお気に入りの1つを見つけることはできますか? 似たような商品がたくさんありすぎて、迷ってしまうことはないでしょうか。お気に入りの一つになるには何か他よりも秀でていたり、目を惹く何かがあったりするものです。
人事担当者からすると、大量に届くエントリーシートの中から“欲しい人材”を見つけるのは大変な作業です。あまりに多いと、平凡な文章はついつい読み飛ばしてしまうかもしれません。その中で目を惹くためには、読まれるための工夫が必要です。ここは「制作」の人になったつもりで、作成してみましょう。
例えば、広告のキャッチコピーには、一瞬で人を惹きつけるヒントがたくさんあって参考になります。最初の一言を見て、「どういうこと?」と続きが読みたくなるのが理想ですね。
しかし、必ずしも奇をてらったキャッチコピーにする必要はありません。その人の性格や強みによっても、自分の表現の仕方は違ってくるでしょう。また、内容だけでなく、美しい字で丁寧に書いて思いを伝えることも大切です。強調する部分を『』で囲むなど、視覚的に読みやすくするのも効果的ですが、やりすぎると悪目立ちすることもあるので気をつけましょう。
自分が就活でどのくらいの市場価値があるのか、初めはわからないものですよね。選考にどのくらい通るかは人によっても年度によっても違うので、周囲の話にとらわれず、“自分自身の平均値”を意識しておくことは大切です。
これは社会人でいう「営業」の仕事に近いのですが、例えば飛び込み営業で100社まわったうち、5社が商品の話を聞いてくれて、1社の受注が取れるということがわかってきたとします。そうすると「1社の受注を取るために、100社まわろう」という行動目標が立てられますよね。逆に断られても、「99社のうちの1社だったんだな」とあまり落ち込まずに済みます。
就活の場合は短期決戦なので、社会人の営業回りと比べると、そこまで平均値を出す時間はないかもしれません。しかし、落ちるたびに凹むのではなく、そのように自分の平均値を考えて割り切ることも必要です。「自分は何社に応募したら、1社受かるのだろう?」そのように考えながら、『行動目標』を立てましょう。
ちなみに、今年の傾向として、エントリーシートの選考をゆるめにして、面接で判断するという企業が多いとも言われています。ですから、エントリーシートで落とされないからといって、自分の力を過信しないようにしましょう。
人は誰でも長所と短所を持っています。それは当たり前のことなのですが、人事担当者はあえて短所を聞いてくることがあります。この場合、よりあなたを様々な角度から知ることによって、自社のニーズと合っているのか判断したいという意図なのかもしれません。
では、これを「営業」に置き換えた場合、社会人はこのようにして自社商品を売り込んでいくのです。
これに倣って皆さんも自分自身を売り込んでいきましょう。
「機能は少ないですが、それによってデザインをシンプルにすることが可能となり、とことん洗練させることができました。インテリアにこだわるお客さまでしたら、絶対に喜んでいただけると自負しております。」
「たしかに不格好なデザインですが、とにかく頑丈で耐久性があります。100kgのものを入れても快適に動くんですよ。これは他社製品にない強みです。」
こんな風に言われたらどう感じるでしょう。話した内容が、ちょうど企業が求めていたニーズと合致していたら、「買いたい」と思ってもらえそうですよね。
話し上手な「営業」の人は、短所をごまかして話さず、正直に話しながら長所を強調し、お客さまからの信頼を得ることができます。就活の自己PRでも、ぜひこのテクニックを意識してみてください。
どんなに魅力的な商品でも、企業のニーズと合わなければ、買ってもらえないこともあります。
例えばあなたも服を買うとき、どんな場面に着るものかによって、流行の安い服を買うこともあれば、きちんとした高級な服を買うこともありますよね。さらにその中でも、明るい色と落ち着いた色ではどちらにするのか、様々なことを考慮して決めるはずです。
このようなことは、就活の場面でも置き換えられます。あなたがいくら良い「商品」であっても、企業のニーズと合わなければ「買わない」という結果もありえるのです。
ですからあまり「自分自身に非があるので」はと、悩みすぎる必要は全くありません。淡々と、起きたことを分析して、次に繋げていくことが大切です。その際、以下のようなことを振り返ってみるようにしましょう。
・なにが相手のニーズと合わなかったのか
・売り込み手法は間違っていなかったか
・自分という「商品」を必要としている企業はどこなのか
就活で「応募した企業に全て受かった」という話はなかなか聞きません。普通は何社か落ちる人がほとんどではないでしょうか。そんなとき、気を落とすなと言われても、やはり選考に落ちれば誰でも多少のダメージは受けてしまうものです。
そこで自信を保つためには、成功体験を持つというのも一つの有効な手段です。皆さんの中にも、高校や大学受験で本命の前に滑り止めを受け、自信をつけたという経験を持つ人もいるのではないでしょうか。
就活でも、もし可能性がありそうな企業があったら、とりあえず受けてみることをオススメします。一度成功した経験をすると、「またこの気持ちを味わいたい」「もっと上を目指してみたい」とモチベーションが高まり、イメージトレーニングできるようになります。
もし最終選考まで行かなくても、エントリーシートが受かったとき、グループ面接が受かったときなど、一つ一つの成功体験を振り返ることが大切です。上手くいった自分を褒めてあげて、自信につなげていきましょう。
今回は、自分を売り込むためのポイントをお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
活動中は、「受かった」「落ちた」ということが続いてストレスが溜まる人も多いかと思います。頑張りすぎてスタミナ切れなどしないよう、時々は休憩を入れて上手に気分転換してくださいね。
あなたが「ここで働きたい」と思える企業と出会い、新しい未来への一歩を踏み出せるよう、私たちも応援しています!
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