「あの会社に入るのは難しそうだけど、子会社なら狙えそう!」「あの大会社の子会社だから、いい会社に違いない!」「子会社に入社すれば、もしかしたら親会社にいけるかも!?」
学生が考えがちな「子会社勘違い」あるあるです。実は子会社であっても、親会社との間に「溝」を感じる社員は少なくありません。JOBRASS編集部では、どれくらいの人が「溝」を感じているのか、そしてどんな「溝」があるのかを実態調査しました!
【子会社と親会社には大きな溝があると思いますか?】
・思う 56.4%
・思わない 43.6%
「溝がある」と思う人の割合が56.4%と「溝があるとは思わない」という人の割合(43.6%)を上回り、過半数を占めました。では、どういうところに「溝」を感じるのでしょうか?
JOBRASS編集部がきいてみたところ、出るわ出るわ……。
もっとも多く聞かれたのは「給料」。ベースが違い、ベースが違えばボーナスにも差が出てきます。給与体系は、親会社と子会社でまったく異なると思って良いでしょう。
・給料(北海道/男性/営業・販売/26歳)
・給料の昇給など(愛知県/男性/営業・販売/48歳)
・給料格差(福島県/男性/コンピュータ関連以外の技術職/32歳)
また、給与だけでなく昇進や休暇制度にも違いがあります。給与もですが、待遇や福利厚生も別会社と思って臨みましょう(別会社なのですが)。
・待遇(埼玉県/男性/研究・開発/41歳)
・休み(埼玉県/男性/その他/55歳)
「人事」というのも多く上がったポイントでした。実は子会社には「親会社から出向してきた人」と「子会社採用の人」が入り混じっていることによります。
子会社の社員からは、親会社から出向してきた人は「“エラい”立場で突然やってきて、現場のことを何もわかっていない」という嘆き節も耳にします。そして出向社員は、籍自体は親会社のままなので、いずれ親会社に戻る可能性も大。子会社採用の人が親会社にいくことは、(基本的に)ありません。
また、何かと親会社から仕事がふってきがちなのも子会社の宿命。「それっていいことでは?」と思ってしまいますが、現場では人員不足というケースが多いのが実情です。
・人事(山口県/男性/研究・開発/61歳)
・人員等の余裕度(静岡県/男性/研究・開発/48歳)
・社員が出世しない(岐阜県・女性/その他/27歳)
・社長として出向してくる(埼玉県/男性/その他/54歳)
親に力があるのは当たり前といえば当たり前なのですが、そうはいっても理不尽さを感じざるを得ないという子会社の社員たち。ビジネスとして、現場の声も聞いて欲しいのに……と歯がゆい思いをすることも!?
・決定権(岡山県/男性/コンピュータ関連以外の技術職/32歳)
・力関係(京都府/男性/医師/53歳)
・交渉の余地がない(神奈川県/男性/総務・人事・事務/44歳)
・仕事の依頼が命令口調。(福島県/男性/総務・人事・事務/53歳)
・指示は受け入れなければならない(広島県/男性/研究・開発/50歳)
・いうことを聞かない(愛知県/男性/その他/67歳)
・無理難題を言われる(神奈川県/男性/コンピュータ関連以外の技術職/56歳)
力関係と関係しますが、なんとなく親会社の言い方が「エラそう」と思う子会社の社員多し。「こちらの言い分をきいてくれない」といった意見にあるように、コミュニケーションは一方通行?
・会社間のコミュニケーション(兵庫県/男性/総務・人事・事務/58歳)
・親会社はエラそう(福井県/男性/研究・開発/26歳)
・出向社員の態度(千葉県/男性/コンピュータ関連以外の技術職/31歳)
子会社が、常に“いつ畳まれてしまうかわからない”という危機感のもと、がむしゃらに働いているのに対し、子会社の方からすると親会社はどこか呑気にみえるようです。
・親会社にいる人間は概して危機感が薄いと感じるから(広島県/男性/総務・人事・事務/42歳)
・相手の熱意が感じられない(滋賀県/男性/研究・開発/39歳)
・経営悪化(東京都/男性/営業・販売/57歳)
とにかく文書が多かったりして、仕事の進め方が非効率的という声もチラホラ。大きな会社になればなるほど、承認が必要な上司の数が増えるなど、仕事をすすめる手順が増えがち。「子会社の社員からすると、文書だのハンコだの言っている間に仕事をすすめたい気持ちでいっぱいです」(東京都・女性/営業/27歳)
・仕事の進め方(栃木県/男性/研究・開発/50歳)
・現場は一生懸命やっているのに一部の意見に振り回されている(鳥取県/男性/その他/50歳)
・親会社の非効率なやりかたをさせようとする(千葉県/男性/営業・販売/38歳)
子会社に情報がおりてくるのに、タイムラグが生じるのもしばしば。テレビで自分の親会社の情報を知ったというケースもあるほどです。そんなときに、「溝」を感じるという声も。
・情報(富山県/男性/営業・販売/47歳)
・情報のやりとり(神奈川県/男性/研究・開発/50歳)
では子会社のメリットはないのでしょうか? 大手メーカーの子会社に勤務していた経験のある男性(43歳)は、こう話してくれました。
「親会社の冠がついていることで、社会的信用を得やすいのは大きなメリットです。例えば家を購入するときや、クレジットカードを作るときなど、同規模の他企業より審査が通りやすくなります。また自分が勤めている会社を人に説明するときも、“あの会社の子会社の…”と説明することでなんとなく信用してもらえたり、子会社の事業がよくわからなくても、親会社がやっている事業のことで話が盛り上がったりする。そういう点はメリットです。自分の場合、“親会社があるから自分たちがいる”と思っていたので、それほど不満はありませんでした」
もちろん、すべての子会社が前述のようなわけではありません。親会社と子会社がとても密接な関係を築いている会社も多くあります。ただいずれにせよ、子会社を受けるなら、「あの会社が親会社だから……」などという考えは厳禁。どういう経緯で子会社が作られたのか、沿革を知るのは大切なことですが、文化も制度も「別」と思って臨みましょう。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年2月16日~2016年2月23日
対象:メーカーに勤務する会社員 計117名