商社勤めといえば、海外赴任がつきものというイメージ。でもそれって、みんながみんな行くの……? 実際はいったいどれくらいの割合で、海外赴任に行っているのでしょうか。JOBRASS編集部ではアンケート調査を実施。そして、海外赴任に行って何か変わったかどうかを聞いてみました。
【海外赴任の経験はありますか?】
・ある 19.6%
・ない 80.4%
海外赴任が「ある」と答えた人は約20%。もっとも若い人で25歳、平均年齢は48歳でした。では、海外赴任する前と後では、何か変化があったのでしょうか?
海外赴任経験者に尋ねてみたところ、「価値観」と答えた人が目立ちました。その他、自分に自信がついて積極的になることができたという人や、実績ができたことによりヘッドハンティングされたという人も。
・価値観などが変わった(東京都・男性/会社経営・役員/45歳)
・世界観(静岡県・男性/総務・人事・事務/57歳)
・積極的な気持ちになった(京都府・男性/営業・販売/49歳)
・ヘッドハンティングされた(東京都・男性/会社経営・役員/55歳)
うーん、でも、「価値観が変わった」って、どういうこと? オーストラリアに赴任していたことのある大手商社勤務のAさん(31歳)は、「例えば、わかりやすい話でいうと」と前置きしたうえで、
「まず、働き方や仕事の進め方の“常識”が違う。例えば転職は当たり前で、一つの会社にずっといる人のほうが不思議がられたくらい。休暇はゆっくりとるべきで、残業なんて意味不明。資料は簡潔に要点だけ。英語で資料をつくっていると、いかに日本語の資料がムダなページだらけかというのを痛感させられます。海外では、やるかやらないか、やるならいつまでに何をどうするかがとても明確。コミュニケーションにおいて、本音と建前とか、面倒なこともありません。生活への向き合い方、仕事に対する取り組み方が変わりました」
と話してくれました。そして、
「行く国によっては、水が出ないなど、日本では当たり前のことが全然当たり前じゃない。“当たり前”とは何か、考えさせられます。現地の人たちの生活に寄り添い、そこで暮らす人の気持ちになることで、日本にいたら見えなかったことが見えることは多く、人が生きるうえで大切なものは何なのかを、改めて考えさせられます。
大手商社は、世界を相手にしているので、動かす相手や金額は大きいものですが、根本的には一人でも多くの笑顔をつくること。その点で、やはり実際に赴任して、現地を知るのは大きな意味があったと思います」
と話してくれました。
ちなみに海外赴任となると、既婚者の場合、家族はどうするのかという問題が出てきます。また別の商社勤務のMさん(40歳)は、「家族崩壊しました」と告白。どうしても海外赴任したくて、入社時から希望を出していたものの、なかなか叶わないまま職場結婚したそうです。すると結婚したとたん、スイスへの赴任が決定! 長年の夢とあって、新婚早々単身赴任となり、3年後に日本へ帰ってきて女の子を出産すると、今度は夫がドイツに赴任……。子供のことや自身のキャリアを考え、Mさんが出した答えは、ついていくことはせず、夫の単身赴任でした。離婚はしていないとのことですが、「すっかり家族は崩壊しています」とのこと。なかなか難しい問題のようですが、Mさんは、
「まあでも、特に女性の場合、キャリアを考えるときに、結婚や出産のことまでわかりませんからね。その時その時、いちばん良いと思った判断で生きていくしかないですよ!」
と笑っていました。
就職活動だって、悩みすぎても埒があかないもの。Mさんのように、意欲と行動あるのみで前に進むしかない、というのもひとつの考え方ですね。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年2月16日~2016年2月23日
対象:商社に勤務する会社員 計100名