過酷な就職活動を終えて無事に内定をゲットし、いまやバリバリの社会人……という人でも、聞けば必ず「就職活動のときに、ああすればよかった」というネタは出てくるもの。JOBRASS編集部が社会人10年以内の先輩100名に聞いた調査でも、最も多かった後悔が「業界をもっと広げればよかった」「最初に絞りすぎた」という声でした。
かといって、手当たり次第にエントリーできるわけでもありません。では、どうやって業界を絞ればいいのでしょうか?
多くの学生は、
業界を絞る
↓
企業を絞る
↓
企業研究、エントリー
といった流れにのっとります。が、これが先輩たちのいう「後悔のもと」。学生の時、自分なりに興味ある・向いていると思われる業界を考え、研究したものの、実際にその業界に入ってみれば、思っていたことといろいろ違う……ということは案外多いのです。
マスコミに行きたかったけれど、結果的に食品メーカーに勤務している佳奈さん(29)は、こう振り返ります。
「私はとにかくマスコミ業界にいきたくて、相当もがきました。細いツテを頼って、強引に面接を受けに行ったり……。でも、今は負け惜しみではなく、行かなくてよかったと、心から思います。私には向いていませんでした。
マスコミを受ける人が大体受けるように、広告代理店も受けました。でも、途中で気がついたんです。“広告代理店やマスコミでも、いわゆるクリエイティブなことや報道など、イメージ通りの仕事をしている人たちだけではなくて、経理部門もあれば総務部門もある”ことに。当たり前のことなんですが、学生というのは、企業をみるときに、とにかくアウトプットとしてわかりやすいものだけを見がち。また、まさか自分がコーポレート部門、サポート部門のような仕事をするとも想像していません。
“よっぽど専門職でなければ、どの企業でも、大体することは同じ”と気がついた私は、視点を変えて、“この企業なら、どの部門にいっても、自分が楽しく働けそうだ”という企業選びにシフトしました。その結果、今の会社の、私が会った人たちがみんな良い人だったんです。私も“素”で話せましたし、そこで採用してもらえたので、これは『相性がいい』ということかなと」
佳奈さんいわく、業界を絞って失敗するのは、「“他の業界で、自分がやりたいと思っている仕事はないのか”ということを突き詰めない」から。
「例えばマスコミ業界で、本当に制作しかしたくないのであれば、制作会社にいくべきで、そういう人はいいでしょう。でもマスコミにいったら、なんかよくわかんないけど芸能人と近づけるかも! というような人は、会社のなかでそうでない仕事についた場合、その人にとって“マスコミで”働く意義が見いだせなくなりますよね。芸能人に近づける企業や職種は、マスコミでなくても企業の宣伝など、他にあるかもしれません。
また、例えばIT、WEB業界の志望理由が「これからはネットが不可欠だから」なんていう理由だったら、面接官的には
『別にメーカーでもどこでも、ネットを活用する時代だけど?』
『不可欠なものなら、ガスや電気でもいいのでは』
なんて言っておしまいです。
まとめると、業界を絞らず、まずは純粋に自分が興味がある企業に注目するところからでいいかな、ということと、興味がある業界の研究だけじゃなくて、『興味が無い』業界の研究も大切ということ。ネガティブなことを言う必要はありませんが、どうしてその業界でなくてはならないのかを語るためには、他の業界のことを知っておいたほうが説得力は出ると思います」(佳奈さん)
まずは佳奈さんのいうように、まず自分の興味がある企業を並べてみましょう。もしかすると、それらの企業はさまざまな業界をまたいでいるかもしれません。
そして、それぞれの企業を研究するうちに、自分では気が付かなかった“自分の興味が沸く方向性”が見つかるかもしれません。自分の興味、という軸がブレなければ、業界がまたがったとしても、何かしら共通点はあるものです。
多くの社会人たちは、就職活動期間は、「さまざまな業界に触れられる絶好のチャンス」ともいいます。社会人になったら、案外業界をまたいだ交流はないという人も多いもの。ぜひ就職活動期間中はチャンスだと思って、さまざまな業界に触れてみましょう。