ここのところ、学生優位の「売り手市場」が続いており、来年度の新卒採用数はさらに増加する見通しともいわれています。一方で、前年度は就活スケジュールの変更により、中堅・中小企業が採用しにくい、早くに内定を出しても優秀な学生は大手企業にいってしまうといわれました。
では、実際のところ、企業は採用計画の何割増しで採用するものなのでしょうか? JOBRASS編集部では、全国の採用担当者100名に、計画の何割増で採用を考えているのかを聞いてみました。
【計画の何割増で採用を考えていますか? またその理由は?】
・1割程度 15.0%
・2割 10.0%
・3割 4.0%
・5割 4.0%
・計画通り 56.0%
・不明 11.0%
調査の結果、「計画より多めに採用する」と答えたのは33%。3社に1社の割合です。割合としては1割強が最多。では、多めを想定する理由、計画通りの理由をそれぞれみてみましょう。
やはり多いのは「内定辞退者」が出ることを想定するものですが、「すぐに辞めてしまうから」という声も多くみられました。辞める理由には、「景気が良くなっているから」という声も。現在はなんだかんだいって常に第二新卒や中途での求人情報もあふれていて、転職しやすいイメージがあるのかもしれません。
・10%増で実施、内定者の辞退を考慮(男性/兵庫県/51歳)
・1割程度、中途退職者が出る(男性/和歌山県/42歳)
・2割、すぐ辞める人がいるから(男性/大阪府/30歳)
・2割増し、その分は結局、辞めていくから(男性/熊本県/46歳)
・2割増し、景気が良くなって辞退者が出るから(男性/大阪府/56歳)
・3割、自己退職者も多いので(女性/東京都/58歳)
・3割程度、過去の経験から他社に流れる人数を予想して決定(男性/千葉県/45歳)
・3割増し程度、辞退を考慮して(男性/北海道/34歳)
・5割増、三人に一人はやめる(女性/愛知県/38歳)
なお、何割増しで採用するかどうかはメーカーとメーカー以外、また企業規模にも左右されるようです。大手企業の人事部出身で、現在人材コンサルタントをしている男性(39)は、こう話してくれました。
「文系総合職に比べると、メーカーの研究職は、内定辞退者やすぐに辞める人が少ない印象があります。研究室枠で入社したり、就職前に思い描いていたやりたい仕事と実際就職してからの仕事内容にそれほど大きな差がないのかもしれません。そのため、研究職はあまり多めには採用しないかもしれません。
内定辞退者などを想定した採用数増ですが、中小企業よりも大手のほうが多めに採用するでしょう。もちろん中小企業にとって内定辞退者が出た場合の痛手は大きいですが、そもそも思うような人材が来ていないというケースがあり、計画に届かなくても採用活動を中止することがあるからです。その場合、企業は次年度に期待することになります。
また、大手企業に受かる人は、“優秀な人はどこにいっても優秀”の法則で、なかには一人で大企業からの内定をいくつも貰う人が出てきます。ということは、大手ほど“優秀な人材が自分のところにきてくれる”とは限らなくなってくるのです」
とはいっても、内定辞退者がその年、その企業にどれだけ出るかは誰にもわかりません。たとえ公開された採用数が少ないと思ったとしても、本当に行きたい企業であれば、チャレンジすることをおすすめします。後悔しないためにも!
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2016年1月14日~2016年1月20日
対象:企業の採用担当者 計100名