最近「エッ、どうしてウチにそんな高学歴の人が応募してくるの!?」というケースが増えているそうです。高学歴なら歓迎なのではと思いきや、必ずしも内定を出すというわけではありません。
勿体ないと思いつつ不採用にした採用担当者、逆に採用にした担当者のほか、「自分が高学歴すぎて、ひかれた」人、そして新人が高学歴過ぎて「ひいちゃった」職場、それぞれの話をききました。
「高学歴ワーキングプア」「学歴難民」という言葉が登場するほど、偏差値の高い大学を卒業しても就職が決まらなかったり、あるいは決めなかったりする人たちがいることが、社会問題化しています。
JOBRASS編集部では、企業の採用担当者計111名に、「ウチの会社には勿体ない! と正直感じる学生がいたかどうか」を尋ねました。
【ウチの会社には勿体ない! と正直感じる学生がいた?】
・そう思う 51.4%
・そう思わない 48.6%
男女別をみてみると、「勿体ない」と思った男子学生は58.3%。女子学生は26.1%。男子学生は女子学生の倍以上、「この学生、なんでウチに……」という人がいたようです。
ちなみにある中小メーカーの採用担当者・内山さん(仮名)は、「学歴が良いに越したことはない」としながらも、現実に自社を受けにきた“高学歴過ぎる”学生を落としたことがあることを明かしました。え、それって言っていることが矛盾してない!?
「会社というのは“仕事内容”と“職場の雰囲気”との両面から考える必要があります。
偏差値の高い大学出身者は、もちろん何をさせても優秀な確率は高いのですが、すでにいる人たちとのバランスを考えると、“浮く”のは確か。そして、今いる人たちが、“年下のやたらデキる人”を受け入れられるかどうかを考えたとき、お互いに不幸になりそうだった」(内山さん)
小さい会社ほど仲間意識が強いケースも多く、人間関係を心配するというわけ。その人の個性や職場の雰囲気にもよるため、いちがいには言えませんが、自分自身に自信があっても、“受け手側の事情”で落ちることもあるということです。
一方で、採用した担当者もいます。いわく、「自分より学歴が高い人と付き合えないようでは、職場としての成長も見込めない」から。
学歴だけでなく、自分より年下の人が出世することはザラ。能力がある人のことは、年齢や学歴に関わらず認めるべきで、日頃の職場からその空気感をつくっていきたいという考えとのことでした。
自分が高学歴すぎて、現場からひかれた経験をもつ女性会社員は、
「最初に配属された職場は、女性の総合職が初というところでした。取り扱い方がわからなかったようで、まるで腫れ物扱い。新人なのにヘンに敬語を使われたり……。
私自身は他の人の出身大学に興味はなかったのですが、職場では配属される前から私のことはいちいち噂になっていたようで、あれこれプライベートなことも聞かれました。そんなことは大した話ではないのですが、ナルホドと思ったのは、何かを尋ねたときに、
○○大卒なのに、そんなことも知らないのか
と言われた時です。ああ、世間の人はこう見てるんだ、と。会社に入れば実力かと思いたかったのですが、結局どんなときも○○大ということを背負っていかなくちゃいけないんだ、と。いかに自分が世間知らずだったかを知りました」
と話します。
あるPR会社では、東京の有名私立高校から東大という男性が応募してきたことで、「なんでウチに!?」と、社内中で話題がもちきりになりました。会社中の興味もあって選考にすすんだのですが、社員の間では
「何を考えてウチに」
「もっと大手があったのでは」
「いや、大手を落ちたからウチなのでは」
「頭良すぎて、かえって扱いづらいのでは」
などと憶測がとぶ始末。
男性はこぢんまりとしたところで、PR業務に携わりたかったという意思を表明し、社員はたじろぎつつもあたたかく迎えいれました。
つまるところ「その人による」「職場との相性」ということになりますが、高学歴でも内定がとれないのは、コミュニケーションを心配されているケースが多そうです。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2015年9月25日(金)~2015年9月28日(月)
対象:企業の採用担当者計111名