就活の面接時に必ず求められる自己PR。せっかくならインパクトよりも好印象を残したいものです。
しかし、相手は何百人・何千人もの学生を面接している面接官。どうしたら、面接官の心に伝わる自己PRができるのでしょうか。
一人で考え込むよりも、まずは先例を見てみましょう。
そこで、周りに一歩差をつける自己PRの例文を2つ、ご紹介します。
どのような強みであっても、具体的に紹介するエピソードを後に添えることで裏付けとなり、言葉に説得力が生まれます。
ただし、説得力を増すためにエピソードをいくつも連ねるのはやめましょう。かえって印象が薄れます。「私には○○という強みがあります。たとえば…」という入り方で一つのエピソードを引用して自分の強みを話す形が説得力があるとしてよく用いられています。
理想的なのは、「短編小説」のようなエピソードです。短い言葉の中に、「ああ、この人は本当にそういう人だなあ」と、相手をしみじみ納得させるような象徴的な事柄が含まれており、なおかつ自慢ではなく、相手に伝わって欲しいことがまとまっていれば最高です。
私は軟式野球サークルの代表を勤めています。
私が代表に就任した頃、チームは負け続きでみんな練習への意欲を失っていました。
そこで私は、主力選手にこんな提案をしました。
「楽しい猛特訓、というものを発明しよう」
私たちはピンポン球を使った「超至近距離ノック」、暴投をしたら自分でボールを取りに行く「自己責任送球」などの練習法やルールを編み出し、笑いながら練習に打ち込みました。他のメンバーも「面白そうだな」と少しずつ練習への参加率が高まっていきました。おかげで次の大会ではチーム史上最高の結果を残すことができたのです。
野球サークルで知った「苦しい時にこそ笑う」「楽しむことに必死になる」というこの経験を仕事にも応用して、御社に貢献したいと考えています。
上記の例文の中にも「超至近距離ノック」など、場面を想像すると少しニヤっとするような話を挿入しています。「笑う」ということは、相手に興味と好感を持っている証拠です。少なくとも何らかの感情を動かしたことは間違いない。
面接官が笑ってくれれば、あなたの印象は残せたと考えて間違いないでしょう。
ただし、面接の場はギャグを言うべきところではありません。自分のことを知ってもらう場所だということには常に立ち返りましょう。
私の特技は、ユーモアと機転です。
私は子どもが大好きで、小学校などで絵本の読み聞かせのボランティアをしています。
ある時、「ジャックと豆の木」の読み聞かせをしていると、別におかしくない場面で子どもたちがクスクス笑っています。振り向くと、子どものひとりが私の後ろで変な踊りを踊っていました。
先生がその子を注意しようとしていたので、私はとっさにその子の肩を抱いて前に立たせました。
「そう! ジャックはこういう少年です。悪ふざけをして、よく先生に叱られます。そのジャックがある日、市場に牛を売りに…」
この後は、絵本を見せるのではなく、この子の手を握って身振りをさせながらお話を進行させました。子どもたちは大喜びで、ストーリーに夢中になってくれました。
仕事には真剣に取り組みつつ、困ったことが起きたとき、このようなユーモアや機転を活かしてより高い成果を目指します。
自己PRについて考える時、「自分の強みは何か?」を先に考えてからそれを説明するエピソードを探すより、「感動したこと・心を動かされた印象深い経験」を探してみましょう。
結論ありきで作り上げたストーリーはどうしても淡泊になりがちです。
ESの段階ではシンプルにわかりやすいものの方が良いでしょうが、面接の場面では経験を通じて得たものを「自分の強み」とした方が、魅力的で説得力のある、印象深いアピールができるはずです。