あんなに欲しかった「内定」なのに、いざ就職するとなると迷いや不安が生じたり、憂鬱になったりする学生は多数。「内定ブルー」ともいい、ネット上には、憂鬱な気持ちを吐き出したり、アドバイスを求めたりする投稿が多数みられます。
Yahoo!知恵袋には、「二社内定を頂いたなかで、より条件も良く地元から通える業界に来春就職します」という女子学生が、就職先はすごく悩んで決めたので、「後悔はない」としつつも、「内定を貰った会社で働けるか不安しかありません」と胸中を吐露。というのも、その会社ではどうやら英語力がかなり重視されるようで、面接でも「だいたい2級程度の語学力です」と正直に話し、「なら大丈夫」と言われたものの、「こんなんで入社して、私は大丈夫なのかと不安と絶望でいっぱい」で、「叱られる夢」まで見てしまったのだとか。
総合大学を卒業し、今は外資系企業でバリバリ働くUさん(女性/28歳)も、実は内定ブルーに陥った人の1人。もともと外資系企業が第一志望ではなかったということもあって、入社するかどうか、悩んだのだそう。Uさんに、当時の話を聞きました。
「大学は私立文系で、文学部。留年はしませんでしたが、正直、『勉強をした』と胸を張って言うことはできない学生でした。英語も堪能とは言い難いし、人より自信がもてるものなんて何ひとつない状態で、就活をすることになりました。本当は社会人になる、働く、という現実から逃げ出したくてたまりませんでした……。
でも、大学の授業料で親に負担をかけてしまったので、卒業したあとは、自分の生活費は自分で稼がなくちゃという思いが強く、また辞めるのはいつでもできると思って、一旦新卒で就職することだけは決めました。
でも、どこに就職したらいいのかわからない。好きなもの、興味があるものを扱っている業界とかいったって、食品もマスコミもITも、どの業界って生活に関わりがあり、その意味では、全ての業界に興味がなくはないんじゃないか。自分がどこに就職したらいいのかわからず、苦しかったですね。そんな状態なので、手当たり次第に受けましたが、志望動機だって企業によってまちまちで、落ち続けました。
そんななか、ダメ元でエントリーした今の会社の人事の方が、連絡をくださったんです。その業界は、正直何にも興味がありませんでしたが、エントリーシートに書く記述の量が少なくて、ラクだったので、とりあえず出したという……。気分転換のつもりで、人事の人に、愚痴ばかり言っていました。『なんでこんな、みんな同じようなスーツ着なくちゃいけないんですかね?』とか、『興味ある業界とか、ぶっちゃけ別にないですよ』とか。ヒドイですよね。でも、そういったことをすべて話しても、また次に呼んでくれました。気がつけば役員面接になっていて、合格。
今思うと、そういった私の“愚痴”のなかに、社会に対する問題意識とか、こういうふうに生きていきたい、といった価値観が含まれていて、対人間としてみてくれた結果、面白そうなヤツだと思われたのかな、と。
内定をもらいましたが、悩みましたよ。だって興味ない会社ですから(笑)。一旦承諾はせず、待ってもらいました。でも、その後の就活でもどこも決まらず、『やっぱり行っていいですか』って(笑)。なんて懐の広い会社なんだっていうね。結局、こんな私を合格としてくれたこと、そして私がすべてさらけ出せたというのは、もしかすると一緒に働く人たちと居心地良くいられるかもしれない、という思いで就職したんです」
今では、「とても働きやすくて、拾ってもらって本当に良かった」と笑うUさん。その会社で採用当時Uさんに会った人事担当者は、「基本的に私たちは世間話から、その人の価値観や、ものごとに向き合う姿勢をみます。Uさんは愚痴といいますが、Uさんの場合、常にその先に“前向きな姿勢”がありました。一緒に働く仲間ですから、そういった価値観が同じでないと辛いんです」と振り返ります。
また、内定をもらって悩む学生に対しては、「新しい世界に飛び込むのですから、悩んで当たり前。もし悩み事があったら、Uさんのように、人事担当者に連絡をとってみても良いと思います。すべての会社が待ってくれるとは限りませんが(笑)。やっていけるかどうか、ではなく、一緒にやっていくんです。むしろまっさらな状態で、すべてを吸収するつもりで入社してきてくださいね」と話してくれました。