気になる業界や企業の実態を知るための方法の一つに、OB・OG訪問があります。でも、現在大学生のSさんは、「残業や休日の有無をストレートに聞いても“実態”を答えてくれているかどうかはわかりませんよね……?」と不安顔。確かにOB・OGに対し、どういうことをどういうふうに聞いたらいいのか、悩む人も多いのでは?
そこで今回JOBRASS編集部では、採用担当者100名に対し、訪問をした際、どのようなことを聞くとよいのか、アドバイスを質問。その他、話の引き出し方の“テクニック”も聞いてみました。
まずはやりがい、仕事の楽しさ。「もちろん何に楽しさを見出すかは人それぞれですが、会社はチームプレイ。自分と似た価値観を感じられないと、仲間と一緒にチームプレイとして動くのは厳しいかもしれません」(女性/その他/38歳)
・仕事のやりがい(男性/公務員/47歳)
・仕事の楽しさから聞く(男性/コンサルタント/46歳)
・仕事に対する思いや、そのためにしていることなどを聞き出す(男性/総務・人事・事務/45歳)
残業の有無や、仕事の内容を聞くべしという意見も多くみられました。ただし、
「正直な話、訪問までしたところで聞きたい内容が「残業や休日の有無」なのであれば、訪問までして聞くべきことでもないと思う。訪問で時間を割くということは担当者の労働力、それに対する賃金を失わせている、ということ。そのことを十分に理解した上で訪問するべきだし、その際に、結局聞きたい内容が「残業や休みはちゃんとありますか?」程度なのであれば、マイナスイメージは拭えないと思う」(男性/コンピュータ関連技術職/33歳)
という声も。あまりにも残業の有無だけにこだわっている印象を与えるのは、プラスには働かないかもしれません。
・仕事の内容(男性/その他/42歳)
・具体的な勤務の状況や実態(男性/その他/44歳)
・勤務実態や業務内容を具体的に聞く。先月の残業時間等(男性/研究・開発/35歳)
・残業に対しての支払いの確認(男性/営業・販売/40歳)
・社員は何時くらいに帰宅しているのか。働き方は、チーム制か個人プレイか(自分がどっちかのタイプの場合、その職場が肌に合うか確認できる)(女性/デザイン関係/36歳)
長く働くことを前提にするなら、その会社で、どういうキャリア形成を築けるのかを聞いてみるといい、というアドバイスも寄せられました。
・ある程度一人で仕事ができるようになるまでどれくらいかかったか、またそのためにどのようなプロセスを経たか(女性/総務・人事・事務/32歳)
社会人が転職する理由のトップは、「人間関係」だといいます。自分の関心があるだけでなく、社風や職場の雰囲気が自分に合うかどうかも、とても大切なことです。
・社風(男性/営業・販売/38歳)
・会社が大切にしていること(男性/総務・人事・事務/41歳)
・会社の雰囲気(男性/公務員/48歳)
・長く働いている人の有無。居心地の良さの目安になる(女性/その他/48歳)
・企業の雰囲気、社員の目が生きているかどうかで判断すべきだと思う(男性/総務・人事・事務/38歳)
自分の時間の使い方や余暇の過ごし方を聞いてみる、という担当者からは、
「私生活が充実しているかどうか。仕事と私生活のバランスの価値観が合う人がいる会社は、勤めやすいのではないでしょうか」(男性/その他/46歳)
という見方が寄せられています。
・休みの日、何をしているか(女性/その他/32歳)
・休みの日の過ごし方や、終業後の楽しみ(男性/コンピュータ関連以外の技術職/41歳)
・プライベートが充実しているか(男性/コンピュータ関連技術職/45歳)
入社する前と後では、少なからずギャップはあるでしょう。では、先輩自身が感じたギャップは? それを聞いてみることで、“こういう部分にギャップを感じるものなんだな”ということが少しわかりそうです。
・入社前と後のギャップを聞く。やりがいを聞く(男性/総務・人事・事務/47歳)
では、前述のような話を引き出すワザは何かあるのでしょうか?
まずどの担当者も強調したのが、「その企業について、事前に調べられるだけの情報は調べていくこと」「聞きたいことは、ある程度簡潔にまとめておくこと」という点でした。
・聞きたいことをまとめておく(男性/総務・人事・事務/40歳)
・正直に聞きたいことをリストにしてくること(女性/その他/41歳)
・訪問する前に どのようなことを聞くのか 考えておくこと(女性/その他/41歳)
・全ての情報やIRを熟読したうえで聞くべき(男性/公務員/30歳)
聞きたいことをまとめておくといっても、OB・OG訪問はそっけない“質疑応答”の場ではありません。まず自分がどういう人間かをわかってもらい、先輩に心を開くことで先輩も親身になってくれるでしょう。そのためには“雑談力”も必要です。
・一般的な話から(女性/その他/37歳)
・ひとつの質問に対して詳しく質問する(女性/営業・販売/26歳)
・まず自分から聞きたい理由「ここに働きたい」などのプラスの話を持ちかけ、そこから少しずつ、大変な話を聞いていく(男性/研究・開発/45歳)
・最初は学校の話題 現役学生の方が詳しい事もある。打ち解けてから聞きにくい話をする(男性/営業・販売/47歳)
・雑談、プライベートの話から想像する(男性/公務員/45歳)
・雑談はすること。思わぬポロリがあり得る(男性/その他/37歳)
雑談もいいけれど、聞くときはストレートに聞いてほしい、というのが担当者たちのホンネのようです。話がまだるっこしく、「この学生は結局何を聞きたいのかな?」と思わせないように、自分がどういう理由でそのことを知りたいのかを明確にして質問すれば、きっと先輩は答えてくれるでしょう。
・聞きたいことを隠すことなく質問すればよい(男性/総務・人事・事務/42歳)
・あえて短刀直入に聞いてみる(男性/その他/42歳)
・ストレートに聞く(男性/営業・販売/41歳)
・失礼がないようにと思うけど、言葉使いを気にしなが、直球で聞く!(女性/総務・人事・事務/46歳)
その他、OB・OG訪問については、「会社は複数の業種、部署があるので自分がその人と同じ部署になる可能性はわかりません。100%そのとおりではないので何となくこんな感じかなくらいのニュアンスで捉えてほしい」(女性/総務・人事・事務/41歳)という声もありました。1人の人がその企業の代表者ではありません。もし何か疑問が生じたり、もっと知りたいという場合は、他の先輩にあたってみることも考えてみましょう。
【調査概要】
方法:JOBRASS就活ニュース調べ(インターネット調査)
調査期間:2017年8月16日~2017年8月23日
対象:企業の採用担当者 計100名