就職活動の自己PRでは「コミュニケーション力」をアピールする学生が多くいます。
そのため、なかなか差がつかないアピールポイントともいえます。
また、コミュニケーション力の意味をはき違えていると、採用担当者の反応も悪くなってしまいます。
今回は「コミュニケーション力」をうまくアピールできない二つの理由を説明し、差がつく自己PRの注意点を解説していきます。
コミュニケーション力を用いた自己PRで差がつかない理由の1つとして、コミュニケーション力の理解が漠然としているからです。
ひとくちにコミュニケーション力といっても、さまざまな能力があります。
その中で、自分自身が具体的にどのような能力を有しているのか明確に伝えられなければ、差別化とならず、採用担当者には伝わりづらいです。
その反面、どこに長けているのかを強調できれば、仕事での再現性が高い自己PRができあがります。
さて、本題に入る前に、定義を見てみましょう。
【コミュニケーション】(大辞林より)
人間が互いに意思・感情・思考を伝達し合うこと。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える身振り・表情・声などの手段によって行う。
類語:交流・ 意思疎通 ・相互理解・相互伝達
ここでのポイントは【一方的ではなく、情報を伝達し合う】ことです。
さらに大きく分類すると、以下の3つに分類できます
1)伝達力
論理的に説明する力。自分の思いや意図を的確に伝える力。
2)傾聴力
相手の意図や本音を引き出す力。
3)理解力
相手の潜在的な思考や意図、感情を適切に把握する力。
例えば、よく「話がわかりやすい」と言われる方は『伝達力』、「1を伝えたら10理解してくれる」と言われる方は『理解力』に長けていると言えるでしょう。
このようにご自身のコミュニケーション力について、もっと解像度を上げてみることで、採用担当者に伝わる自己PRとなり得ます。
ちなみに採用担当者に「コミュニケーション力とは何だと思うか」を聞いてみたところ、以下の意見が挙げられました。
・自分のことではなく、相手へ質問する姿勢があるか(男性/会社経営・役員/48歳)
・「コミュ力」とは、人の言ったことをきちんと理解でき、自分の言いたいことをきちんと伝えることができる力(男性/デザイン関係/43歳)
・難しいが、「相手の意見を取り入れ、相手を満足させつつ、いつのまにか自分の意見が通っている」そんな能力があれば頼もしい(男性/会社経営・役員/45歳)
・端的にいえば「空気を読む力」でしょうか。相手の求める答えを察知し、伝えることだと思います(女性/ソフトウェア/32歳)
必ず、自分が用意したエピソードが「一方的でないか」確認するようにしましょう。
引用元:「コミュ力」アピールはマイナスの可能性 採用担当者に聞いた「コミュ力」とは?
自己PRで差がつかない2つ目の理由は、「企業が求めているコミュニケーション力」を把握していないということです。
学生が考える「コミュ力」は、「友だちが多い」や「話がうまい」となりますが、ビジネスに置き換えるとそれは全く違うものになります。
ご自身のコミュニケーション力がビジネスシーンでどのように応用できるのかアピールするためにも、「企業が必要とするコミュニケーション力」の解像度を上げる必要があります。
まず、一般的なビジネスシーンで求められるコミュニケーション力を見てみましょう。
・言動や態度によって相手を不快にしない力・相手の真意や本質を汲み取り、的確な情報伝達を行う力
・報告、連絡、相談をこまめに行い、双方の認識の齟齬を起こさない力
・社内外の人と建設的に意見を交え、調整していく力
・真摯に、素直に、丁寧に相対する力
もちろん企業によって、この能力はさらに細分化されます。
例えば、不動産の用地仕入れ営業職。
これは町の不動産屋を次々と訪問し、土地の情報を仕入れ、買い付ける仕事です。
この仕事ではよく「年上に好かれる人」が向いていると言われます。
この言葉を分解していくと、「話題が豊富で、相手の興味に合わせた話ができる力」や「愛嬌があり初対面でも臆せずに懐に入っていける力」などが「求めるコミュニケーション力」となるのです。
このように企業が求めているコミュニケーション力を適切に理解することで、他者と差のつく自己PRとして打ち出すことができます。
では、「コミュニケーション力」をアピールする自己PRの作り方を説明していきます。
間違っても「私の強みはコミュニケーション力が高いことです」と言ってはいけません。
散々述べてきたように、抽象度が高い語であるため、まずは具体的な語に分解することが大切です。
その際、5W1Hで書き出してみることをお勧めします。
◆WHERE
家庭教師をしていた生徒の女の子の家で
◆WHO
私が
◆WHAT
生徒の女の子の話を聞いた
◆WHY
モチベーションが急に下がった
◆HOW
自分の過去の話をしつつ、相手の話をじっくり聞いた
このエピソードから生まれる具体的な語は「自己開示し、傾聴した」という箇所になります。
さらに、加点を狙うなら、「物事を進めるために対話をした相手」という要素が必要となります。
・会話や話がうまくいかなかった相手はどのようなタイプか・そうした相手がいた場合、どのように話を進めていくのか
・意見が自分と全く違う相手の場合、どのように話を進めていくのか
実は、採用担当者も「うまくいったこと」を常に求めているわけではありません。どのように苦労したのか、失敗から何を学んだのかが伝わればOKです。
目的が達成されなくてもよいので、「どのような心境の変化が起こったのか」「その後どのような努力をしているのか」を必ず伝えておきましょう。
家庭教師のアルバイトをしていたとき、生徒の女の子のモチベーションが急に下がった時期がありました。
最初は自分の教え方が悪いのかと思って試行錯誤したのですが、一向に状況が変わりません。
しかし、前より暗くなった表情の彼女を見て心配だったので、思い切ってどうしたのか聞いてみると、いじめに合っていることを打ち明けられたのです。
そこで私は、自分も中学生のときにいじめに合って辛かった話をしつつ、彼女の話をたくさん聞くようにしました。
すると、彼女はホッとしたのか少しずつ元気を取り戻し、再び勉強に打ち込めるようになったのです。無事に志望校に合格し、報告をしてくれた彼女の笑顔を見て、私は人の気持ちに寄り添う大切さを学びました。
この経験を活かして、御社の仕事においても、お客さま一人ひとりの気持ちにしっかり耳を傾け、常にご安心いただけるベストな提案をしていきたいと思います。
この先輩は、保険会社の営業を志望していたことから、「コミュニケーション能力」の中でも特に「傾聴力」にポイントを絞り、お客さまの気持ちに寄り添える心をアピールしました。特に珍しいエピソードではないものの、温かく丁寧な人柄が伝わってきますよね。
この先輩は、面接中も聞く姿勢が大変良かったため、説得力がさらに増したようです。話の内容だけでなく、態度で「コミュニケーション力」をアピールするのも重要なポイントです。
引用元:「企業から求められる“コミュニケーション能力”とは? <例文あり>
最後におさらいです。
コミュニケーション力を伝える自己PRは、以下の点に注意しましょう。
・志望企業が求める能力を分析する
・自分の能力がどう生かせるか考える
上記の点に気を付けて、ライバルに差をつけた自己PRを作りましょう!
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