合同説明会は企業との接点を持てる、採用担当に直接質問できる場としては有効な機会と言えますが、実際にどんな質問をすれば良いのかを迷うこともあるでしょう。
もし、合同説明会での質問で採用率がアップするようなことがあれば、質問はぜひ「質の高い」ものにしていきたいはずです。では、質の高い質問とはなんなのか、自分の選考に有利になる質問などあるのか?今回の内容で、そういった疑問を解消する為の、お役に立てば幸いです。
新卒採用の企業説明会において、質問をする学生というのはそれほど多くはありません。時間も限られているということもありますが、質問をして下手に注目を集めたくないという方もいるでしょう。
では、そもそも合同説明会で質問をする意味のようなものはあるのでしょうか? まずはその辺りから解説していこうと思います。
◆質問をすれば自分の知りたいことを直接聞ける良い機会になる
企業が合同で開催している合同説明会は、就活生にとってはどんな企業があるのか、どういった業界の会社があるのか、また、どのような事業展開をしているのかを知れる貴重な場といって良いでしょう。
合同説明会で企業側が提供してくれる情報は、今後の就職活動において面接を突破する大きなポイントになるでしょうし、自分から企業の担当者に質問を投げかける事もできるため、就活の疑問を取り除ける機会といって良いはずです。
◆質問をしたからといって選考に有利になることはない
ただ、知りたいことを聞けるということ以外は特に採用に有利になったり、逆に不利になるということもありません。よく就活本では「できるだけ多くの質問をすれば採用に有利」などと書かれていますが、必ずしもそういった要素は強くないです。
合同説明会という不特定多数の人が集まる場では、採用担当の印象に残る学生は「よっぽど容姿やマナーが良い」「なかなか鋭い質問をしてきた学生」程度の印象になり、名前まで覚えようという採用担当はいないと思って間違いありません。
また、単純に質問を多くぶつければ良いというワケでもなく、自分の知りたいことだけを聞けば良いので、企業側が喜ぶ質問をしてもあまり意味はないのです。
◆今後の就職活動・面接では役に立つ
合同説明会などで質問をしておくことで、何を言えば面接が通りやすいのか、印象に残る話をすることができるのかという分析には非常に役に立ちます。企業にはそれぞれ色がありますから、同じ業界、職種にだいたい共通しているであろう質問をしておけば、それぞれの仕事のやりがいや楽しさなどを面接時に盛り込むことができます。
就活は情報戦です。
より効率的に就活をすすめるためにも、良い質問をしておきたいところです。
◆今年度の新卒採用枠の人数
採用ページや就活ナビサイトなどの媒体に掲載されているケースもありますが、変更になっている可能性もありますので、合同説明会では質問しておくことをおすすめします。
採用倍率のある程度の指標になるでしょうし、どの程度の倍率があるのかによって、力の入れかたも変わってくると思います。ほとんどの人は狙った企業に一回で内定が出ることはありませんので、指標に応じて事前に多く練習をし、本番に望むことも必要です。
◆入社後にやることと部署決めまでの流れ
実際に入社したあとは、だいたいの企業はマナー研修などがあり、その後希望していた部署に配属になるケースが一般的です。ベンチャー企業などはいきなりOJTという名の実地を行うケースが多いですが、どちらも一長一短があって、一概にどちらが良いとは言えませんが、こういったことを聞いておくと、入社してからのギャップを埋めることができます。
研修があるのかないのか、あるならどんな研修を行うのかを聞いておきましょう。聞いたところでおそらく想像するしかないのですが、研修制度に期待している場合は、聞いておいて損はない情報です。
研修がどの程度の期間あるのかによって、配属先の部署に行くまでの期間がある程度予測できます。
◆福利厚生
会社にどんな福利厚生があるかは、どちらかと言えば女性目線かもしれませんが、女性特有の休暇や社員ならではの福利厚生があることに越したことはありませんよね。ただ、福利厚生の面で企業を選んだことは明言しない方が良いでしょう。あまり印象は良くありませんし、そんな人、あなたなら採用したいですか?
・企業の今後の展望
企業が今後どのような展望を見て、具体的にどのような行動を取って行くのかは最も重要な情報です。新卒ではあまり考えないかもしれませんが、今のご時世、大手企業でも倒産する可能性があります。
・会社全体
会社全体としてどのような展望を迎えるのかは最低限聞いておきましょう。場合によってはいきなり合併や他の会社に吸収されてリストラの危険に陥る可能性もあります。
以前ある企業が新卒採用の求人を出していましたが、その年の12月頃になって合併の話が浮上し、新卒枠がなくなってしまったことがありました。内定を出していた方は当然取り消し、これから面接を受けようとしていた新卒者も残念がったはずです。
◆部署別の展望
会社全体としての展望も大事ですが、自分が希望する部署の目標なども聞ければ聞いておくのが望ましいでしょう。合同説明会でその部署の担当者が出てくる可能性は低いですが、部署別の展望というものをだいたいの企業は設定しているはずですので、例えば営業部ならこう、企画部ならこうなどの目標を知っておくことで、面接時の内容に盛り込みやすくなります。
◆具体的な仕事内容
入社した後、どのような仕事内容が待っているのかも大切なポイントです。一度就職すれば、何年もひとつの企業に務めることになるでしょうから、自分の人生を左右する仕事内容がどのようなものかは、できるだけ正確に把握しておく必要があります。
ただ、話を聞いただけで具体的にイメージを持つのは難しいでしょうから、できればOB訪問などをして仕事のイメージに具体性を持たせておければ尚良いですね。
◆転勤や異動について
例えば、勤務地は東京で応募したのに、いざ入社したら関西に異動になる。こういったことは実はよくあることです。合同説明会で会社の担当者に聞いてみても、「あんまりない」という答えが返ってくるケースが多いですが、事前に自支店や営業所などを確認しておいて、疑問点を指摘できるのが理想です。
◆志望理由
担当者がその企業を選らんだ理由は、単純に多くの就活生が気になる部分だと思います。望んだ答えが返ってくるかどうかはその人次第ですが、「そこしか受からなかった」などの答えでも、その後どうやりがいなどを見つけていったかを聞いておくことは役に立ちます。
転職してきた方の話が聞ければ尚よくて、新卒の時とは違い、明確な目的があって入社してきたはずですので、その時の志望理由は大いに参考になるでしょう。
◆職場の雰囲気
1日の8時間以上を会社で過ごす社会人であれば、職場の雰囲気はある意味一番重要なポイントになるでしょう。怖い人がいるだけなら問題はないのですが、企業によっては、陰湿な方やいじめ問題が未だにあります。
日本産業カウンセラー協会が発表した『働く人の電話相談室』への相談内容によると、働きざかりの30~40代女性に多く見られる三大ストレスは、「人間関係」「パワハラ」「いじめ」となっています。電話相談してくる女性の過半数が、仕事の内容や職業そのものよりも、職場で会う人間のせいで悩んでいるという実態があるのです。また、女性は男性に比べ、同僚との関係に苦しむ割合が高い点が特徴的です。
こういった問題は合同説明会の場では採用担当者も言えないと思いますが、ニュースと関連させて聞いていくことで、雰囲気を掴む回答が得られる可能性はあります。
【質問例】
働きやすい環境としてあげられる項目のトップに「人間関係が良好であること」という項目がありますが、実際に御社では「人間関係が良好」であるために、具体的になにか取り組みをされていますでしょうか? |
◆キャリアアップやスキルアップの話題
入社後の具体的なキャリアアップやスキルアップとして、社内研修の有無、自分で勉強していく必要があるのかなどを聞いておきましょう。
ただし、その研修や講習に頼っていると、自分で勉強する意欲が下がりスキルアップにつながらず、その他大勢の一人になってしまう可能性もあります。日頃から自分の力で勉強することを心がけ、研修などは復習の場などにできるのが良いかと思います。
◆福利厚生など待遇ばかり聞いていると担当者としてはあまりいい印象を受けない
さきほどもすこしお話をしましたが、福利厚生や給与面などの話題が多いと、担当者も良い顔をしません。もしこういった質問に深く回答してほしいならば、その質問をした背景もしっかり説明しておくと良いかと思います。
◆ホームページに掲載されていることは聞かないほうがよい
企業の採用ページや採用情報としてネット上で確認できる内容は、わざわざ聞かなくても良いでしょう。合同説明会では特に問題ありませんが、実際の面接などでは、細かいところに気づけない人と思われてしまう可能性もあります。
最後にどんな質問が採用担当者に気に入られるのかのポイントを抑えておきましょう。
◆具体的な質問であること
結論から言うと、答えが明確になる質問が良いです。例えば、採用予定の人数や会社の今後のことなどが当てはまります。逆にふわっとした質問は、働きやすさや社内の雰囲気などです。
どれも聞きたい質問だとは思いますが、個人の主観が入る質問だと、担当者もかなりアバウトな回答になってしまうでしょう。
◆周りの学生たちも役に立つ質問であること
質問内容が周りの学生たちも役に立つ内容だと、担当者の記憶にも残りやすくなります。皆が気になる質問が出れば、大抵メモを取りますので、そういった行動が多くなる質問をすることで、もしかしたら面接時に覚えていてくれるかもしれません。
◆相手が多くを話したくなる質問であること
究極の質問は相手が話したくてしようがない質問です。具体的にどんな質問が相手に響くかは企業によってさまざまですが、新卒の採用担当も学生の確保が仕事ですし、自社の魅力を語って多くの応募を得たいはずですので、会社の成長や個人的にやってみたいことなどを聞いてみるのが良いでしょう。
シンプルな回答としては、「それは具体的に言うとどういうことですか? 」と、もう一度聞き直しても良いと思います。わからないことをそのままにしておくことの方がよくありません。
合同説明会での質問例はあくまで一例ですが、気になることがあればどんどん聞いていきましょう。