観光やビジネス、さらに修学旅行生など、さまざまなお客様に快適な空間と時間を提供するホテル。就活生にとっても身近で、親しみやすい業界でしょう。
近年、アジア諸国からの観光客が増えています。また、オリンピック開催に向けて東京だけでなく日本全体で観光業、特にホテル業界に対する期待が高まっている状況。就活生の中にも、そんなホテル業界を志望する人は少なくありません。人気の高い業界だからこそ、志望動機で他者との差別化を図ることが大切です。ここではホテル業界の志望動機について、書き方を詳しくご紹介しましょう。
(※こちらの記事は、2015年10月1日に公開したものを更新しています。)
ホテルにはさまざまな形態があります。そのため、魅力的な志望動機を書くには、まず志望するホテルの規模や特徴を知ることが大切です。具体的には、立地や規模によって以下のような種類に分けられます。
・シティホテル
都会によく見られる大型ホテル。宿泊の他にも、結婚式やディナーショーなどを行える宴会場、またレストランを併設しているところも多く見られます。株主総会や入社式などをはじめ、ビジネスでの利用機会も少なくありません。
・ビジネスホテル
出張客や受験生などを主なターゲットにしたホテル。シティホテルと比べ、小型かつ低料金である点が特徴です。最近は睡眠環境や室内照明などにこだわったホテルも出ています。
・観光・リゾートホテル
温泉地などリゾート地にある観光客用のホテル。和室やヴィラ形式の部屋もあり、ゆったりと過ごすために工夫が施されています。
最近は低価格のビジネスホテルを観光客が利用するなど、形態のボーダーレス化が進んでいます。ホテル側は多様なニーズに応えるため、朝食の充実化やインターネット環境などの設備、あるいは禁煙者・喫煙者に対するきめ細かな配慮などを実施。さまざまな工夫に取り組んでいます。
また、立地や規模だけでなく、経営母体によってもホテルの特徴が決まります。例えばホテル運営会社が土地や建物を所有して運営する「直営」、ホテル運営会社が土地・建物を所有者から借り上げて経営する「リース」、独立したオーナーがホテルチェーンとフランチャイズ契約を交わして運営をする「フランチャイズ」など。ホテルの方針を決めるのが所有者なのか運営企業なのかによっても、各ホテルの特色は異なるでしょう。志望動機を書く際には、志望企業のホテルがどのような経営母体であるかも調べておくことが必要です。
ホテルの仕事といえば、まずフロント係を思い浮かべる方が多いでしょう。形態にもよりますが、ホテルには大きく分けて「現場系」と「管理系」という2つの仕事が存在します。
現場系には客室係やベル係、フロントなど「宿泊」に関する仕事。また、ウェイター・ウェイトレスやソムリエ、料理人など「レストラン」に関する仕事や、予約受付係などの「セールス」に関する仕事などが含まれます。これに対して管理系は、総務・人事・購買などといった仕事です。志望動機では、各職種に応じて自身の得意分野や生かせる経験などをアピールしましょう。
志望動機を考える際には、以下の項目に焦点を絞ることで文章にまとまりが生まれます。
・志望するきっかけとなった出来事
・志望するホテルの魅力と一致する自分の価値観
・仕事で生かしたい自分の能力
・将来の夢や目標
志望するきっかけは、できるだけ具体的な経験を盛り込みましょう。実際に宿泊したことで魅力を感じたという就活生は少なくありません。企業研究のために志望ホテルへ宿泊してみれば、そのホテルの魅力を見つけやすいでしょう。その際、ただ「サービスが良かったから」だけでなく、「どのように良かったのか」「他ホテルと比べてどうだったのか」などを言い添えると、説得力が生まれます。
ホテル業界では、語学力が重視されるケースが多く見られます。特にアジアからの観光客を多く受け入れているホテルでは、英語だけでなく中国語や韓国語の能力も評価されるでしょう。また、「ホテル実務技能認定試験」という資格試験は、ホテル業における専門知識や語学力を判断する試験です。これに合格していれば、ホテル業界で働きたいという熱意がより強く伝わります。
それでは具体的に、どのような志望動機が好ましいのか。最後に2つ例文を挙げておきますので、参考にしてください。
「私が貴社を志望したきっかけは、祖母を連れてホテル○○(志望先のホテル)に宿泊した際の出来事です。脚の悪い祖母に配慮してくださり、部屋の場所をはじめとしてさまざまな面で便宜を図ってくださりました。その際、フロントや客室係、コンシェルジュ、レストランの方が連携して対応しており、情報共有が徹底されていることに深く感銘を受けました。また、貴社はアジアからのお客様に評価が高く、私の勉強している中国語を生かしたいと考えております。将来は企画などにも携わり、新たな顧客開拓もできるようなホテルマンになりたいと考え、貴社を志望いたします。」
「私は父がホテルに勤務しており、そのやりがいについて話を聞くうちにホテル業界を志望するようになりました。高い接客レベルを求められる厳しい仕事である反面、多くの顧客に快適な時間を提供するというホテルの業務に大きな魅力を感じております。実際に、ホテル○○(志望先のホテル)のレストランで2年間アルバイトを経験。さらにホテル実務技能認定試験の勉強をしたことで、接客の難しさと喜びを感じることができました。また、大学では学友会の渉外係を任され、学生と大学の間で折衝を担当。その経験から、異なる立場の人の話を聞いて調整するということを学びました。持ち前の体力と努力で貴社の発展に貢献したいと思い、貴社を志望いたします。」