留学に行く、ということがポピュラーになってきた昨今。
海外留学を経験している学生も多くいます。
しかし中には――
留学には行ったけど、語学力にそこまで自信がない……
仕事に語学力を活かしたいわけじゃないけど、留学経験はアピールしたい……
と、いう人もいるでしょう。
せっかくお金や時間をかけて行った留学なので、きっと語学力向上という目的以外にも貴重な経験をしてきたはず。
では、語学力ではなく、留学経験を上手にアピールするにはどうしたらいいでしょうか。
今回は、すでに留学をした人とこれから留学へ行く人、両方にフォーカスをあてて、就職活動で留学経験を上手にアピールする方法をご紹介します。
まず、留学に行く人の動機は様々です。
語学力を向上させたい人もいれば、それ以外の目的で行く人もいるでしょう。
どういった理由であっても、海を越えて異文化に触れようという“決意”を持って留学したのですから、自信を持ってアピールできるはずです。
しかし、就活時に自己アピールの材料として「留学」を扱うなら、採用担当者を納得させる理由が必要。
しかも、留学をアピールする点として語学力が挙げられることが多い中、その点が武器ではないとなると、それ相応のエピソードで採用担当者を納得させなければならないのです。
ではまず、留学を通じて、何を得たのかを明確にしましょう。
あなたが留学する前に定めたであろう「自分なりのゴール」を思い出してみてください。
外国人の友だちを作りたい
本場の○○を観たい、触れたい、参加したい
○○発祥の地を見に行きたい、その地について調べたい
などなど、難しいものでなくてもかまいません。
何か希望や目的を持って留学先へ向かったはずです。
逆に言うと、これから行く人はこうした「ゴール」を明確にしてから行くと、帰国後に自己PRとしてまとめやすくなります。
出発前の自分なりに設定したゴールを思い出したら、体験したエピソードを書き出してみましょう。
エピソードを書き出し、自己PRに仕上げるためには、まず素材を整理することがポイント。
記録や記憶を元に、箇条書きにしてみてください。
その中から、自分の強みを探し出しましょう。
========<例1>========
エピソード
■ 外国人の日本に対するイメージを聞いて驚いた
■ 外国人のクラスメイトに、日本に対するイメージを調査した
行動をする要因・行動して気付いたこと
■ 世界では日本という国があまり理解されていないことを知った
■ 日本で当たり前だと思っていたことが、海外では通用しなかった
■ 改めて日本の良いところ、悪いところを知ることができた
行動する際、気をつけた点
■ 勇気を出して外国人の友だちをつくることができた
■ 身振り手振りでもコミュニケーションを計る努力をした
■ 積極的に自分のことをアピールして関われるようになれた
行動によって身についた力
■ 思い立ったらすぐに動く行動力
■ 気になったことはすぐに調べる
次は、箇条書きの中からいくつかアピールできそうなポイントをピックアップしましょう。
エピソードに対して[気付いたこと]→[克服したこと]→[経験から得たこと]と、いったように順序だててストーリーにしていくと、上手にまとまります。
では、実際に自己PRを作成してみましょう。
~自己PR例文~
「私は留学時代に得た『相手の認識のズレにすぐ気付き、理解を得るために努力できること』が強みです。
大学●年生のとき、●●に留学した際クラスメイトと話をしていると、外国人がイメージする日本と実際の日本では、かなりかけ離れていることに気づきました。日本のことをより理解してほしいと考えた私は、クラスメイトに「日本に対するイメージ」を調査し、そこから外国人が持つ日本のイメージは何によって形成されているのかを分析し、プレゼンテーションを行うことにしました。
ヒアリングによって外国人が持つ日本のイメージは「アニメ」や「教科書」から主に形成されていることがわかりました。そこで、この2点の実態を導入として取り上げ、興味をひいた上で日本についてプレゼンをすることで、発表がわかりやすくなり、日本により興味を持ったとクラスメイトに言ってもらうことができました。
日本を離れたことで、改めて外から日本の文化を見つめることができただけではなく、事前にしっかりとヒアリングを行った上で外国人にプレゼンテーションをする経験を通して『相手の気持ちをしっかりと捉え物事を伝えること』ができるようになりました。
貴社では相手の気持ちを理解した上で商品の良さをお伝えすることができる力を生かし、顧客満足を実現する社員になります。」
====================
こちらの例は、先に挙げた箇条書きの中から留学で気付いたことをベースに、自分の弱みをいかにして強みに変えたかをアピールしています。
このように、留学中に得た経験をエピソードとして挙げる際には、語学力以上に社会に出てから(またはその会社に入社してから)どのように活かせるかをアピールしましょう。
オリジナルのエピソードを搾り出すことで、ライバルとの差別化にもつながり、あなただけの自己PRになるはずです。
========<例2>========
エピソード
■ 言葉も、文化も、思想も、習慣も、大きく異なる人たちとの出会いがあった
■ 異なる文化の人たちと信頼関係を築くことができた
困ったこと
■ 一緒に生活する中で文化や考え方の違いに衝突した
課題に対して、どのように克服したのか
■ 諦めずにコミュニケーションを図った
■ 一人ひとりの意見をしっかり聞くことを心掛けた
自分の強み
■ 全く考え方の異なる人たちと、良好な人間関係を築くことができた
諦めずにコミュニケーションを図り、お互いを理解し合って良い人間関係を築けた、という経験は就活で大いにアピールできます。
こちらも箇条書きしたものから、自己PRを作成してみましょう。
~自己PR例文~
「私の強みは、考え方や価値観の違う人同士でも円滑に人間関係を築くことができることです。
○○へ短期留学した際、同じ留学生で異なる国籍の人たちと、休日に遊びに行くことになりました。最初は、意見がバラバラでまったくまとまらずケンカ寸前になってしまったのですが、これでは埒が明かないと思い、私がまとめ役を買ってでました。そして、一人ひとりメンバーの意見を聞き入れる雰囲気を作り出すことに成功したのです。ポイントとなったのはみんなの意見の中から、“この国ならではの場所で写真を取ってSNSにアップしたい”や“自分の国では経験できないことがしたい”など、いくつかの共通点があることに気付いたことでした。最終的には歴史博物館へ行くことが決まり、楽しい休日を過ごすことができました。
育ってきた環境も文化も価値観も違う人たちとでも、個々のメンバーと向き合えば、共通点が見つかり、信頼関係を築くことができたことは私の大きな財産となりました。
この経験から、私は初対面の人とでも円滑に人間関係を築き、誰もが仕事をしやすい職場作りができると思います。貴社でも、この能力で早く会社に馴染んで、チームワークを大切に仕事に取り組みます」
====================
仕事をしていく上では、様々な価値観・年代の人たちとうまく付き合っていかなければなりません。
同じ日本人であっても全く考え方の違う人は当然おり、日本の企業ならば特に協調性やコミュニケーション能力を必要とされます。
価値観や考え方の違う人たちと、うまくやっていける能力は、どんな企業にも求められるはず。
留学経験によって「全く考え方の異なる人たちと、良好な人間関係を築くことができる能力を身につけた」というエピソードは、「この子なら誰とでもうまく仕事がやっていけるだろう」という印象に繋がるかもしれません。
【1】語学力が武器にならない=留学ではなく遊学を疑われる??
1ヶ月の短期留学で、語学力向上を図るのはなかなか難しいものもありますが、期間が3ヶ月、または半年~1年以上となると、疑われても仕方ありません。
そこで「遊学してきたのではない」とアピールをするには、前章の例2でお伝えしたとおり、授業やアクティビティーの中ではなく、遊びの中から得た経験でも、上手くアピールできれば、採用担当者を納得させることができるはずです。
【2】留学はレアな経験ではない
近年、短期留学や語学留学、大学留学など留学のカタチが多様化したことで、留学しやすくなったため「留学をした」という事実だけでは、好印象を与えられません。
他の学生と差別化し、印象に残るためにも、留学中にどのような経験をし、どう成長したかを具体的に採用担当者に伝えましょう。
【3】得られた経験や強みを企業でどのように活かすか
あなたが得た留学での学びは、社会に出て活かせるものでしょうか。
希望している企業が望む人材像と合致しているでしょうか。
「企業に貢献してくれること」を、企業が具体的にイメージできるように説明しましょう。
いかがでしたか?
語学力にそこまで自信のない人も、語学力を武器に仕事に就きたいわけではない人も、上手に伝えることができそうですか?
企業が、留学した学生に求めているのは“主体性”。
日本人の多くは、自分で考えて行動することが苦手です。
特に最近の学生には足りていないと思われているので、留学中に主体的に行動する術を身につけたことがわかれば、好印象を与えられるでしょう。
語学力が武器にならずとも、「自分で作った経験」がそこにあれば、留学経験を存分にアピールすることができるはずです。
これから行く人は、この記事を参考に意義のある留学にしてくださいね。
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